ニュース・活動報告

人とのつながりが深まった2年目。まだまできることはたくさんある!
~2年間の巣立ちプロジェクトを経験して(後編)~
巣立ちプロジェクト寿司ボーイ体験記の記事用画像

2021年・2022年度の巣立ちプロジェクトに参加した社会人ボランティア「寿司ボーイ」による体験記の後編をお届けします。

 

<前編サマリ>
頑張っているのに、生まれた環境、育った環境によって、理不尽な思いをしていたり、チャンスを逃していたり、チャレンジをあきらめざるを得ない若者がいることを知り、何か力になりたいと、B4Sの巣立ちプロジェクトへ参加しました。初めての巣立ちプロジェクトは「オンライン」かつ「メンバー」としての参加でしたが、多くの学びや気づき、出会いがありました。そして、「今度は、新たな視点で活動にチャレンジしてみたい」という気持ちから、翌年の巣立ちプロジェクトは「オフライン」かつ「リーダー」としての参加を決めました。
>> 前編はこちら

 

◆僕が巣立ちリーダーにチャレンジした理由

まず、B4Sの活動をより深く知りたかったということが理由の一つです。社会的養護の現状や課題、支援の在り方などについて知れば知るほど、B4Sの看板プロジェクトである巣立ちプロジェクトそのものについても理解を深めたいと思うようになりました。

 

次に、1年目の巣立ちプロジェクトの経験を通じて、仕事とは別のやりがいや存在意義を見いだすことができ、純粋にもっと貢献したいと思ったことです。僕は、会社員として仕事にもやりがいや責任感を持っていますが、給料や職責などは関係なく、自身の時間や労力を惜しまずに、真摯にB4Sの活動に取り組み、子どもたちの笑顔のために活動されている他のボランティアの方々からは、人としての在り方のようなものを学ぶことができました。

 

だからこそ、僕自身も巣立ちプロジェクトの高校生やボランティアの皆さんにも同じようなWinを何か一つでも感じてもらえたら、そんなブランチを作れたらと考え、巣立ちリーダーになることを決めました。

 

1年目は「メンバー」かつ「オンライン」だったことから、2年目は「リーダー」を経験しての気づきと、「オフライン(リアル会場)」ならではの気づきを得ることができました。


◆最大の結果を出すために試行錯誤した日々。つながりが増えた嬉しさも

まず、リーダーを経験しての気づきについては2つあります。

 

1つ目は、運営の難しさとやりがいについてです。
メンバーとして参加していた1年目とは異なり、リーダーになると、プロジェクト開始前から終了後まで細かな調整がかなりの頻度で発生します。巣立ちプロジェクトの大目的はもちろんのこと、B4S、施設、里親家庭における規則やルールなども前提としてある中で、高校生とボランティアの想いや特性等を踏まえての各回の人員配置や、当日運営は想像以上に難しかったです。ブランチミーティングやメンバーとの1on1、各回終了後にメンバーに提出してもらう振り返りシートなどを通じて、ブランチとして最大の結果を出していくにはどうすればよいのだろうかと試行錯誤することは、決して簡単なことではなかったです。その分やりがいも大きく、メンバーと協力しながらの企画が形となり、高校生に喜んでもらえたときの感動はひとしおでした。1on1のときにとあるサポーターの方から「利害関係がない関係者を束ねていくことは容易なことではないと思うので、すごいですね」と言っていただけたことも、大変ありがたく、その後の活動の励みになりました。

 

2つ目は、B4Sの事務局や、他ブランチのリーダーとの接点が増えることです。
メンバーのときにはほとんど接点がなかったB4S事務局の方、ベテランリーダーや僕と同じ2年目で初リーダーの皆さんとの接点が増えるので、新しいつながりができたことは嬉しかったです。何か困ったときにはアドバイスをもらえたり、他ブランチの事例を聞くことでノウハウを自ブランチに反映できたりと、プロジェクトを運営するうえでのヒントや貴重な機会も皆さんから得ることができました。


◆リアルで会える良さ。対面のコミュニケーションで深まる関係性

次に、オフラインならではの気づきについてです。
まず、対面でコミュニケーションをとる中で気づいたことは、会話以外の情報から、その人の哲学や、価値観を想像することができるということです。オンラインでは相手の顔と会話から得られる情報を頼りにコミュニケーションをとっていましたが、オフラインでは、身に着けているものや、持っているものから趣味やこだわりなどを想像し、会話することで理解を深めることができます。

 

また、同じ空間をともにすることで得られた気づきもあります。休憩時間に自分のグループ以外の高校生とちょっとした談笑ができたり、各回のランチやお菓子、飲み物の好みを高校生に聞きながら工夫したり、ハロウィーンやクリスマスなどの時節イベントの際には、会場をいつもよりも少しだけ華やかに装飾してみたりと、高校生、サポーターがコミュニケーションをとりながら試行錯誤して運営をよりよいものにしていけるのはオフラインならではの醍醐味だと思います。ちなみに、僕のブランチの高校生は、お米派よりもパン派が多いのも印象的でした(笑)。

 

対高校生だけではなく、ボランティア同士のつながりもできました。オフラインの場合、毎回会場の最寄り駅にみんなで集合してから会場に向かうのですが、歩きながらお互いに近況報告や雑談をしたり、各回終了後の食事会などでプライベートな一面を共有しあったりと、オンラインでは味わえないお互いの「人となり」を深く知ることができることができました。今後もこのつながりを大切にしていきたいです。


◆支援の輪が広まれば、課題解決も加速すると信じて…次のチャレンジへ

今年の1月に、無事今期の巣立ちプロジェクトを終えることができましたが、2年間を振り返って思うことは、「結局、一番学ばせてもらったのは自分だった」ということです。


相手の話を聞き共感することやB4Sの研修でも習う「I’m OK, you’re OK」の姿勢が大切であることは理解しているつもりでしたが、いざ意識してみると案外難しいということに気が付きました。グループでのファシリテーターやリーダーという大役を担い、方向性を決めて利害関係のない人たちと一緒に企画を進めていくという経験も、自分自身が成長できる素晴らしい機会となりました。
 
そして何より、巣立ちプロジェクトを通じて、社会的養護下の子どもたちの現状や課題、支援の在り方についての理解が深まるとともに、自分にも貢献できることがたくさんあるという学びを得ることができたと同時に、まだまだ支援が不足しているとも感じています。 

 

僕自身、今後も自立後の若者との接点を増やすべく、アトモプロジェクトへの参加や自立ナビを継続していくつもりです。より多くの子どもたち、若者たちと触れ合うことにより、自身の知見を高めて、課題解決に貢献できるように継続して支援をしていきたいと考えています。そして、そのきっかけをくれた巣立ちプロジェクトにも、ご縁があればまた参加したいと思っています。

 

子どもたちの巣立ちを応援してくれる仲間が増えればとても心強いですし、支援の輪が広まることで子どもたちを取り巻く課題の解決も加速すると信じています。皆さんの巣立ちプロジェクトへのご参加をお待ちしています。

執筆:寿司ボーイ(社会人ボランティア)
毎日の仕事に忙殺されて自分を見失っていたときに、気分転換に南の島に逃避行。「自分が本当にしたいことは何だろう…」と考え…
頑張っているのに生まれた環境、育った環境によって、理不尽な思いをしていたり、チャンスを逃していたり、チャレンジをあきらめざるを得ない若者がいることを知り、何か力になりたいと思ったのが、B4Sに関わるようになったきっかけです。

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