ニュース・活動報告

せたエール DAYS 2023.07ー2024.03

2023年7月に、世田谷区児童養護施設退所者等相談支援事業としてはじまった親を頼れないユースのための相談・居場所「せたエール」。カルチャーの街・下北沢で、元気に活動しています。初年度だった2023年度に行われたイベントを中心に、レポートします!

 

◆いつもの せたエール

水・金・日・祝日がせたエールの開所日です。水曜以外は、夕食もできます。食事は1食300円。食事利用希望の利用者は、16時までにブリッジフォースマイル(以下、B4S)スタッフに連絡を入れるのがルール。「今日の食事は、利用者4名、スタッフ3名・・・全員で7名」と、人数が確定すると、300円×7名=2100円が、本日の食材費となります。お米はありがたいことに寄付をしていただいているので、食材費はすべておかずに回せます。冷蔵庫の残り物をチェックして、当日のメンバーで献立を出し合い、数人でスーパーへ出掛けます。ここで大活躍しているのが、シフト制のせたエールの専属サポーター(社会人ボランティア)軍団!お料理上手が多く、手際もよく、家事のロールモデルとしても最適です。料理が得意な利用者さんはもちろん、最近一人暮らしをはじめたばかりの家事に不慣れな子も、その日の気分で一緒に台所に立ち調理しています。みんなで食べる夕食は、からだもこころも元気にしてくれます。

 

日々、何を作ったか、メニューの共有をしています

 

◆シャベル!

当事者活動の場としても、せたエールは活動をはじめています。「親を頼れない経験」を持つ仲間たちが、テーマに沿って気軽に話しあえる場『シャベル!』を立ち上げ、ファシリテーターに田中れいかさん(一般社団法人たすけあい 代表理事・モデル・児童養護施設出身)をお招きしています。当事者が自分の言葉を紡いで吐き出すこと、そしてそれを仲間の一人として受け止めること、時には苦しい気持ちになる人もいますが、この時間の大切さをお互い分かち合っているのが『シャベル!』です。会が終わった後は、ほとんどのメンバーがその場に残り、一緒に夕食を食べて帰ります。

※オンラインのみで開催している「オンライン シャベル!」もあります。

 

田中れいかさんを囲んで、テーマに沿って座談会。

 

 

 

◆特別開所 年末年始

クリスマス・大晦日・お正月。年が変わる年末年始には多くの行事があります。せたエールにとってはじめての年末年始は、完全予約制という形での開所をすることにしました。たくさんの人が集まったクリスマスの夕食メニューは、シチュー・ペスカトーレパスタ・グラタン・揚げ物(唐揚げ、エビフライ、ポテト、レンコンチップ)・懇親のオードブル!調理をする人、オードブルをせっせと量産する人、準備段階からワイワイと楽しい時間となりました。夕食後はビンゴゲームで盛り上がり、手に入れた景品を開ける度に笑顔がこぼれるひとときとなりました。お正月はお正月らしく、ちらし寿司やお雑煮。「あけましておめでとう。今年もよろしく。」と挨拶。半年前までは、まだ出会っていなかったのに、こんなに身近にお互いを感じられるところまで成長したせたエールに、B4Sスタッフは密かに喜びを感じていました。

 

せたエールのお父さん!?的スタッフがケーキになりました。

B4Sスタッフからの粋な差し入れで、メリークリスマス!

 

 

 

◆3月 茶道体験会

利用者さんとの何気ない会話から企画された『茶道体験会:お茶会』。「茶道、やってみたい!」との利用者の声に応えてくれたのが、茶道歴20年のせたエール専属サポーターのPさん。お茶菓子・お道具を家からすべて持参してくれた上に、師範役としてお着物で登場。B4Sスタッフの計らいで、BGMは小鳥のさえずり♪お茶室に変身したせたエールの様子をPさんからコメントいただきました。

 

ちょうど桜が咲く時期に、利用者さんが春の季節を感じながらおいしい抹茶と和菓子を味わえる時間をつくれたら素敵だな…と思ったのが、お茶会を企画したきっかけです。気軽に参加できるように「正座はナシ」「難しい作法もナシ」としながらも、茶道が大切にしている季節や心静かなひとときを感じてもらえるように工夫しました。掛け軸や抹茶椀、和菓子などには春の喜びを表すものを選び、1つ1つに込められた意味をお話すると、参加者は見るもの、触れるものにぐっと関心を持った様子でした。

飲みたい茶碗を選んでもらい、一碗目は私が参加者に抹茶を点てておもてなし。二碗目は参加者が自分でお茶を点てて自分におもてなし。三碗目はスタッフのためにお茶を点てておもてなし…という3方向のおもてなしができたのも、良かったなと思います。同じお茶でも、味わいや気持ちの在り方が少しずつ違ったことと思います。自分のお茶を点てる時より真剣に、スタッフのためにお茶を点てていた参加者の表情が印象的でした。体験会に参加できなかった利用者さんには、夕食の時に抹茶をお出しし、「抹茶は大好きだけど、飲む機会がないからうれしい」と、お替わりする利用者さんもいました。

400年以上続く茶道ですが、抹茶じたい、飲んだり点てたりする機会がなかなかない中で、「桜の季節にせたエールでみんなと抹茶を飲んだな」と思い出の一つになったら、何よりうれしく思います。                           

 

 

◆せたエールがはじまって

7月に開所したせたエール。最初は、誰か来てくれるかな?とスタッフもドキドキでした。じわじわと登録者が増え、気づけば顔なじみが増え、10月頃のふとした時に、「利用者とスタッフ、サポーター、みんなの距離が近づいてきたな」と感じました。それまでは、スタッフ側から話を振っての会話が多かったものが、いつしか自分が声を掛けられる側になっていたのです。さらに、11月には、「年末年始って、なんか寂しい気持ちになるんだよね」と気持ちを吐露してくれた利用者さんがいたおかげで、せたエールがはじめて迎える年末年始での開所への動きにもつながりました。

居場所は、利用者・B4Sスタッフ、そしてPさんのようなサポーターさんたち、みんなで作り上げる場所です。それぞれの温かな気持ちが交叉する空間で、利用者さんたちが「よし、明日からまたがんばろう」と少しでも思ってもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。

そして、この居場所の活動の裏には、お米やお野菜を寄付してくれる支援者の方々、物品や資金など様々な形で応援してくださる企業のみなさま、そしてこの居場所の活動を応援してくれる多くの方々のエールがあることを忘れずに過ごしたいと思います。どうぞ、これからもよろしくお願いします!

 

生花関係で働く利用者の方が持参してくれた花束

 

 

 

 

Bridge for Smile

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