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小さなトラブルが生活崩壊に
写真:コラム【経済的な不安6_小さなトラブルが生活崩壊に】高台から眺める女性

初めて一人暮らしをした時のことを覚えているでしょうか? 生活費のやりくり、ご近所づきあい、社会保険、防犯、健康管理……。うまくいかなかったり、失敗したりしたときに、実家を頼ったことはないでしょうか。親を頼れない子どもたちの場合は、ちょっとしたつまずきやトラブルで、一気に生活が壊れてしまうことがあります。

 

◆一人暮らしはわからないことの連続

出かける時の戸締りの習慣、近所の人に出会ったときのあいさつ、ゴミ出しのルール、テレビや音楽の音量、深夜に帰宅したときの足音や洗濯、掃除などの音など、集合住宅に住むときには、さまざまなルールやマナーがあります。

 

親と一緒に生活していると、親の様子を見ていたり、お手伝いをしたりする中で、自然に身に付けていることが多いものですが、施設での生活が長い子どもは、こうしたルールやマナーが身についていないことがあります。近所の人や管理人さんに注意されてもどう対応していいかわからず、トラブルになったりするケースもあるようです。

 

頼れる親がいて、実家がある場合は、わからないことがあったら気軽に聞けますし、金銭管理についても、月末に「ちょっとやりくりが厳しい」となれば実家にSOSを送ることができるでしょう。

 

◆セーフティネットがない中での巣立ち

しかし、親を頼れない子どもたちの一人暮らしは、そうしたセーフティネットがありません。例えば、病気やけがで働けなくなり、収入が減ったりすれば、すぐに家賃や生活費に困ることになります。貯金がない場合は、借金をせざるを得なくなり、消費者金融などに頼る子どももいます。

 

詐欺の被害に遭う子どもも少なくありません。集団生活をしていた児童養護施設から、急に一人暮らしになり、寂しさから、優しく話しかけてくれる人への警戒感が薄れてしまうのです。「儲かるから」と出資を求められ、そのままお金をだまし取られたり、断り切れなくなって高額な商品の購入契約をしたりするなど悪質商法の被害に遭うこともあります。

 

ご近所トラブル、金銭管理、詐欺などの被害は、一人暮らしを始めたばかりの子どもたちにはつきものかもしれません。問題は、親を頼れない子どもたちの場合は、小さなつまずきが大きなトラブルにつながりやすく、そこから一気に生活が崩れてしまうところにあります。

 

コロナ禍では、親や実家というセーフティネットがない中で、ぎりぎりの生活を強いられている子どもたちの姿が浮き彫りになりました。急に職を失ったり、給与がカットされたりして、生活に困窮する子どもたちがたくさんいたのです。

 

ブリッジフォースマイルの調査では、自宅待機や出勤時間の削減、解雇など、仕事が減ったりなくなったりしている人が半数を占めていました。これは収入減にもつながっていて、パート・アルバイトの人の75%、正社員の30%が、4月の収入について減少するという見通しを持っていました。

 

コロナ禍の影響:3月までと比較した4月の収入減少の見通し(2020年4月実施)(※)

棒グラフ:経済的不安6_コロナ禍の影響:3月までと比較した4月の収入減少の見通し(2020年4月実施):パート・アルバイトの75%、正社員の30%が、4月の収入について減少する見通しを持っていた。

 

このため私たちは、緊急支援プロジェクトを行い、多くの個人・企業のみなさまから集めた寄付金を子どもたちに家賃として現金を支給したり、食料品を送るなどの支援を行いました。セーフティネットを持たない子どもたちの危うさを痛感した出来事でした。

 

Bridge for Smile

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