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巣立った子どもが抱える「孤独」
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親を頼れない子どもたちが巣立ちで直面する壁は、経済的なものだけではありません。児童養護施設の職員や、同じ施設で暮らす仲間たち、里親家族など、多くの人に囲まれた生活から、急に慣れない一人暮らしになることで、不安や孤独に悩む子どもたちがたくさんいます。

 

◆巣立ちの最初の壁

東京都が2019年に発表した、都の児童養護施設や里親家庭などを巣立った子どもたちを対象に行ったアンケート調査があります(※)。

この調査結果によると、施設を退所した直後に困ったこと(複数回答)として、「孤独感、孤立感」を挙げた子どもが最も多く、34.6%にのぼりました。

 

施設退所(措置解除)直後に「まず困ったこと」(前回調査との比較)

「東京都における児童養護施設等退所者の実態調査報告書」2017年2月より

 

特に、施設職員や、似た境遇にある多くの子どもたちに囲まれて児童養護施設で暮らしていた子どもたちにとって、一人暮らしはとても寂しく感じるようです。一人きりで生活をしていることの寂しさだけでなく、自分の境遇を知っている人たちが身近にいないという孤独感も大きいようです。

 

例えば、多くの人が帰省するお盆休みやお正月。事情を知らない同僚や友達から、「お正月はどうやって過ごすの?」「帰省はしないの?」と聞かれて辛い思い、気まずい思いをする子どもは少なくありません。

 

◆わかり合い、共感しあう人がいない寂しさ

まだまだ社会には、児童養護施設とは何か、里親とは何かを知らない人もたくさんいますし、知っていたとしても、そこで育った子どもたちに、どのように接していいかわからずとまどう人もいます。誤ったイメージや偏見を持つ人もいるでしょう。このため、自分の境遇を職場や学校でオープンにしていない子どもたちもいます。

 

施設や里親家庭で生活していれば、こうした辛い思いや気まずい思いをしても、家に帰ればそれを受け止めたり共感してくれたりする人がいます。一人暮らしの場合は、わかりあえる人が近くにいないため、一層寂しさを感じたり、孤独を感じたりするのです。

 

子どもたちの中には、こうした孤独感から、精神的に不安定になったり、孤立を深めてしまう子もいます。私たちが一番恐れているのが、こうした孤立です。不安なこと、困ったことがあるときに、相談できる大人が近くにいないと、子どもたちは小さなつまずきをなかなか解消できません。結果的に、大きなトラブルにつながってしまうことが多いのです。

 

しかし、身近に気軽に相談できる大人がいれば、それを防ぐことができます。問題が小さなうちに一つひとつ解消していけば、大きな問題を予防できるのです。

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