ニュース・活動報告
◆一般家庭と同じレベルの生活を保障
児童養護施設の子どもたちの日常生活は、一般家庭の子どもたちとさほど変わりません。朝は決まった時間に起き、朝食を食べて学校や幼稚園へ。帰宅後は宿題をしたり遊んだり。夕食後は入浴や学習、テレビ……。お小遣いも年齢に応じて支給されますし、中学生や高校生は部活に励むことも、希望すれば一定の予算内で塾に通うこともできます。スポーツや音楽などの習いごとは地域や施設によって異なりますが、ボランティアの手によってさまざまな習いごとができる施設もあります。
季節ごとの行事も豊富です。お正月、ひな祭り、お花見、卒業・入学・進級祝い、子どもの日、夏祭り、紅葉狩り、クリスマス、それに毎月のようにある誕生会。夏休みなどには、旅行やキャンプに行く施設もあります。さまざまな団体による支援で、プロスポーツの試合や観劇に招待されることや、海外短期留学に行くケースなどもあります。
◆集団生活ならではの制約
もちろん、集団生活による制約はあります。個室のある施設もありますが、多くは2~8人程度の大部屋生活なので、プライバシーは守られにくいといえます。外出には原則として許可が必要ですし、施設外の友だちを施設に呼ぶことができない施設もあります。外泊は、児童相談所の指導の下に実家に泊まるか、学校行事以外は原則としてできません。
携帯電話の所有やインターネットの利用は、施設の対応が分かれるところです。携帯電話は自分で稼いだアルバイト代から通信料を支払うことを条件としたり、SNSなどインターネットでのトラブルを予防するためにパソコンの利用を制限したりする施設は少なくありません。
◆子ども同士のトラブルも
また、施設に入所している子どもの6割強は虐待された経験があり、心身に深い傷を負っています。知的障害、自閉症スペクトラム、注意欠陥多動性障害、反応性愛着障害など、何らかの障害を抱えている子どもが3割以上にのぼるというデータもあります。こうした子どもたちが生活をともにするのはお互いに大変なことで、子ども同士でトラブルが起きることも少なくありません。
◆不安定な人間関係
何より、一般家庭との最大の違いは、人間関係が不安定なことです。職員は24時間体制で子どもたちの面倒を見てくれ、勉強を教えたり、相談に乗ったりしてくれますが、親のように「常に自分だけを見ていてくれる」わけではありません。ローテーション勤務のため、会いたい時にいないこともよくあります。激務のため離職率の高い仕事ですし、大きな施設なら人事異動もあります。ともに暮らす子どもたちも、平均在所期間は5年弱です。10年以上在所する子どもも1割強いますが、長くいればいるほど、多くの別れを経験することになります。
◆迫られる“自立”
18歳になれば施設を出て自立することを前提とした生活でもあります。そのための訓練として、中学生以降は洗濯や掃除など、身の回りのことが自分でできるよう、指導を受けます。高校生になれば、ほとんどの子どもがアルバイトをします。卒業後に就職するにせよ進学するにせよ、自立生活のスタートを切るためにはお金が必要だからです。奨学金や自立支援資金の制度は整ってきていますが、何かあった時に頼れる親のいない暮らしには、ある程度の貯えがどうしても必要です。
迫りくる“18歳”のタイムリミットを前に、進路、住まい、お金のことなど考え、決めなければいけないプレッシャーは計り知れません。
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