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アフターケアの現状
写真:コラム【精神的不安02:アフターケアの現状】子どもの後ろ姿

児童養護施設や里親家庭で暮らした子どもたちにとって、一番身近な大人といえばおそらく施設職員や里親でしょう。「子どもたちが巣立った後も、施設職員や里親が支援をし続ければいいのでは」と考えるかもしれませんが、実はなかなかそうした支援を続けることが難しいのが現状です。

 

◆自治体や施設によってばらつき

児童養護施設に対しては児童福祉法で、巣立った後の継続支援(アフターケア)が義務付けられていますが、具体的な内容は決まっておらず、自治体や施設によってかなりのばらつきがあります。また、里親家庭については、アフターケアは義務付けられていません。

 

児童養護施設でも、どこまでを職員の業務として位置付けるべきか、定めることが難しい面もあります。例えば、職員が退所した子どもと食事に行き、生活の様子や悩み事を聞いたりすることは、業務時間内にすべきなのか、費用は施設が持つべきなのか。施設によって判断はまちまちです。

 

自治体や施設によっては、専任のアフターケア担当者を置いているところもあります。例えば東京都の場合は、専任の「自立支援コーディネーター」を置いています。アフターケアに専念でき、施設にいる時から巣立った後まで、継続的な支援を行うことができるのはメリットですが、小さい時から近くで子どもを見ていた職員ではない場合もあり、子どもとの関係性を構築しづらい面があるかもしれません。

 

一方、兼任にもメリットとデメリットがあります。子どもが施設で暮らしている時に、日常的にケアをしていた職員が兼任でアフターケアも担当する場合は、子どものことをより深く理解しており、子どもも話しやすいと感じるかもしれません。ただ、目の前にいる、現在施設で暮らしている子どもたちのケアで手一杯になってしまい、退所した子どもたちのケアまで手が回らなくなる可能性もあります。子どもたちは、施設職員の忙しさを知っていますから、退所すると遠慮してしまい、頼ったりしにくいという子どももいます。

 

◆施設職員の退職で、つながりが途切れることも

また、よく知る職員が施設にいるうちはいいのですが、その職員が退職すると、施設と疎遠になる可能性があります。施設職員の仕事は、泊り勤務などもあり非常にハードで、結婚や出産・育児と両立しにくいことも多く、離職率の高さも問題になっています。施設とのつながりが途切れると、子どもたちへの支援が届きにくくなってしまいます。

 

東京都が2019年に発表した、都の児童養護施設や里親家庭などを巣立った子どもたちを対象に行ったアンケート調査によると、困ったことを相談する相手として一番多く挙がっているのが「施設の職員」の32.7%で、「施設の元職員」も8.0%います。

 

困ったことを相談する相手(複数回答)(※)

棒グラフ(精神的不安02:アフターケアの現状)困ったことについて相談する相手(複数回答)

 

施設によっては、巣立った子どもたちが働けなくなった時や、生活の立て直しをする必要がある時のために、宿泊施設を用意し、寝るところや食事を提供しているところもあります。制度上は、施設がアフターケアを担っていますが、子どもたちが行き場がなく困ったときに、本当に頼れる場所となっているかについては、その施設次第のところがあり、まだまだ格差が大きいと言わざるを得ません。

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