ニュース・活動報告
親を頼れない子どもたちが巣立つ際、お金の問題が大きく関わるのが進路です。少しずつ変わってきてはいるものの、今も施設出身者の大学等への進学率は全国平均より大幅に低く、半数以上の子どもたちは高校を卒業すると就職しています。
◆6割が就職、3割が進学
施設生活経験者の高校卒業後の進路(※)
ブリッジフォースマイルの調査によると、2020年春に施設を巣立った子どもたちのうち、31.8%が大学などに進学、62.1%が就職していました。進学率は、ここ3年ほどは30%台で推移しています(※)。
全国平均と比較するため、文部科学省の調査と同様に、高卒認定や通信制高校の卒業者、特別支援学校の卒業者を対象者から除いた数値に直すと、大学、短大、専門学校、専修学校への進学率は40.2%となります。文部科学省が出している同じ年の全国平均は76.1%なので、今も30ポイント以上の差があります。
◆お金だけじゃない進学の壁
進学率が低い理由は複数ありますが、もっとも大きいのがお金の問題です。親を頼れない子どもたちは、学費や一人暮らしの生活費も自分でまかなわなくてはなりません。ただし近年、公的な奨学金制度が新設されたことで、お金の問題は大幅に改善されました。子どもに貯金がなくても進学する見通しが立てられるようになったのです。とはいえ、アルバイトなしでは生活は成り立たず、学業と両立するのは簡単なことではありません。
虐待の経験を持つ子どもも多く、長く勉強に集中できる環境がなかったために学力に差がついてしまっている場合もあります。また、本人に進学の意欲があっても、生活の安定、高校卒業者の就職のしやすさなどから、施設職員が就職を勧めることもあるようです。奨学金などの情報を積極的に集め、子どもの進学意欲を引き出し励ます大人が周りにいるかどうかも影響します。こうした点でも施設間格差が生まれています。
◆高校生の就職活動の課題も
就職する子どもたちも、課題を抱えています。残念ながら、日本のキャリア教育はまだ充実しているとは言えません。「働く」とはどういうことか、自分はどんな仕事に就きたいか、などを具体的に考え、イメージすることなく高校3年生を迎え、勤務地や寮の有無などの条件だけで就職先を選ぶ子どもたちもおり、早いタイミングでの離職につながるケースもあります
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