ニュース・活動報告
2021年11月1日:プレスリリース(PDF)
11月の「児童虐待防止推進月間」によせて
18歳で「自立」を求められたら、あなたは?
全国の児童養護施設へのアンケート調査で見えてきたこと
2019年の渋谷区・施設長殺害事件は、なぜ起きたか―
『2021年退所者トラッキング調査』は、2020年から 10年計画でスタートした調査です。今回は、全国47都道府県にある552の児童養護施設にアンケートを送付。132施設(2016人分)の回答が得られました。
退所者の進学・就労の実態、支援制度の利用状況、住まいの状況、親族との関係、性別による傾向など、さまざまな側面から得られた回答結果を報告書(88ページ)にまとめています。
今回の調査では、昨年に続き「子どもたちの精神面の課題」を掘り下げました。その結果、施設で暮らす子どもたちが、18歳で自立をする時点で、精神面に課題のある子どもが約4割に上ることがわかりました。
さらに、「施設の退所後支援(アフターケア)の現状」の項目を追加し、調査しました。施設を退所した子どもへの支援(アフターケア)には、予算もつき始め、体制が整いつつあることも見えてきました。
一方で、「精神面に課題のある子ども」への退所後の連絡頻度は「課題のない子ども」より落ちることもわかり、退所後支援の難しさが浮き彫りになりました。調査数値はリリース後半にまとめております。
合わせてご覧ください。
【アンケート調査で見えてきたこと】
◆施設で暮らす子どもたちの精神面での課題
・児童養護施設で生活した経験者のうち 10%近くが不登校の経験がある。自傷行為は約6%
・施設を退所する「18歳の3月末」時点で、精神面に問題のある子どもは 40%前後
・中退理由は、経済問題よりも「学習意欲低下」「メンタル不調などの気持ちの問題」によることが顕著
・18歳の進路選択時に、子どもたちの6割弱が、「給付型奨学金」「自立支援貸付制度」「障害福祉系施設・ホーム等への入居」など、何らかの支援制度を利用していた
◆施設の施設退所後の子どもたちへの支援(アフターケア)の実態
・アフターケア担当職員のいる施設は83.3%。経費の使途や支援体制には施設間格差がある。
・施設の「精神面で課題のある退所者」への連絡頻度は、全体の平均より低い。
【全国児童養護施設 退所者トラッキング調査2021】
調査実施者:特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル
調査対象:全国の児童養護施設 552件
調査時期:2021年6月1日(火)~7月5日(月)
調査方法:Web回答
有効回答数:児童養護施設数 132件(有効回答率 24%)/ 退所者数 2,016人
調査目的:
全国の児童養護施設を退所した人の進学や就労の状況、施設の自立支援の現状などを把握し、自立に向けた支援の課題を明らかにすること
主な調査内容:
退所年や高校卒業の有無とその後の進路について、「退所時」もしくは「18歳の3月末時点」と、「現在」における状況の調査
・児童養護施設のアフターケア体制
・児童養護施設退所者の高校卒業後の進路
・大学等進学者の中退率
・高校卒業後の就労形態、離職率
・支援制度の利用状況
・退所時の同居者
・就労者の勤務先からの住宅支援
・退所前の特筆すべき出来事
・性別による傾向
・施設とのコミュニケーション状況
・メンタル面での課題
退所者一人ひとりの状況を、1年に1度、10年間継続して調べるトラッキング調査
次年度以降は前年に登録した退所者については「現在」の状況のみの回答を回収する予定
※本件へのお問い合わせ・取材のお申し込みは、お問い合わせフォームからお願いします。
-
2024.11.22広報・啓発活動【プレスリリース】全国児童養護施設 退所者トラッキング調査2024 報告書が完成しました
-
2024.09.18広報・啓発活動株主優待に寄付制度 コクヨが放つ「自律協働社会」実現への一手
-
2024.11.07広報・啓発活動コエールが、新しくなります! ③ワークショップ大学編