ニュース・活動報告

里親として、リアルな自立支援に寄り添って【里親月間によせて】

ブリッジフォースマイルのスタッフとして、約5年間 社会的養護の子どもたちの自立支援にさまざまな形で関わって来た私。知識としては、ほぼ全ての自立支援について分かっている気になっていたものの、養育里親として高校生の里子の自立支援に携わった3年間は驚きの連続でした。

◆親権者同意書の不在よる自立の壁
未成年である里子の公的手続きにつきまとう「親権者同意書の壁」。

児童養護施設に措置されている場合は、施設長に未成年後見人と同等の権利があるので、実親の同意がなくても手続きは可能ですが、養育里親の場合、後見人相当の権利がないので「親権者同意書」が必要な手続きができません

 

年々可能な幅は広がって来ているものの、いまだに里子の銀行口座開設はできませんし、パスポート取得にも特殊な手続きが必要です。アルバイトの契約を結ぶのにも、企業によっては親権者同意書がないためにNGを出されるところもありました。


一番苦労したのが「携帯電話の契約」。数カ月にわたり4社と交渉しましたが、2018年当時「親権者同意書」なしで格安スマホの契約はできず、結局里親である私の名義で携帯を契約し、子どもに貸与するしか方法はありませんでした。2021年現在、状況は随分良くなって来ているようですが、自立に不可欠な携帯の契約を、「親権者同意書」がないことが理由で結べないのは大きな壁だと思いました。

◆金銭管理の難しさと学費の立て替え
ブリッジフォースマイルでは、自立を控える中高生向けにさまざまな金銭管理のセミナーを行っています。私も高校1年の時から里子に金銭管理を身に付けてほしいと、あの手この手で練習してもらうことを試みましたが、どうにもうまくいきません。
高校2年の春、TikTok経由のネット詐欺で数十万円の契約をしてしまった時は、消費者センターに散々お世話になりました。これ幸いと浪費グセが治るかと期待しましたが…。

 

高校卒業後については、専門学校へ入学することができたのですが、学費は合格後すぐに振り込まなければ入学は取り消されてしまいます。アルバイトの収入もすぐ使ってしまい、貯金が無かったため、里親である私が学費を立て替えるしかないのですが、国(直接には日本学生機構)から返金される入学金と前期分の学費7割は なんと入学後の9月下旬まで返金されません!

※入学する学校の種類にもよりますが、残りの学費3割と設備費など学費以外にかかる諸経費への補助はありません。

 

後期分まで入れると全額返金されるのは1年半後。しかもその時期にはすでに2年生の学費を払い終わっていなければならないのです。驚きました。

「国から学費が減免される」なんて言っても、数百万円のお金を、入学よりずっと前の時点で本人が貯金して用意するか、または、立て替えてくれる誰かがいないと、結局進学なんて夢のまた夢というわけなのです。

◆身元保証人と住まい探しの難しさ
一番苦労したのが、住まい探しでした。

とにかくたくさんの物件を見てもらおうと、進学先が決まった11月から不動産周りを始めたのですが、「未成年で親族の身元保証人がいなければ、紹介できる物件はありません」と言われ、早々に不動産難民となりました。

 

もちろん最近は「保証会社を使う」という方法もあるのですが、それでも未成年の場合は「保証会社との契約」という壁が大きく立ちはだかります。

困り果てた挙げ句、社会的養護出身者で不動産業務についている知人に数カ月かけて住まい探しを手伝ってもらい、やっとのことで「生活保護や水商売の人でも入居可能なシェアハウス」を見つけ出してもらいました。しかし、その物件も保証会社との契約書類を何枚も出した後になって、「未成年で親族の保証人が不在」という理由で契約を断られてしまいました。

 

措置解除が近づいていたので、焦ってあちこちのシェアハウスを当たりました。しかし、同じ理由で下見さえさせてもらえません。絶望の淵まで追い込まれましたが、なんとか措置解除2週間前に前金3カ月分を払うことを条件に、とあるシェアハウスへの入居が決まりました。

 

措置解除、つまり、自立を目前に控えた3カ月は、生活をともにする、まるでわが子のような里子へ次々に立ちはだかる壁に対し、里親として何もしてあげられない自分に無力ささえ感じてしまう日々の連続でした。知識としての自立支援は知っていても、現実に目の当たりにするのは雲泥の差です。

この経験を、里親としてもブリッジフォースマイルのスタッフとしても生かしていければと思います。

企業渉外チーム むーく
福祉とは何の関係もない業界からブリッジフォースマイルのスタッフとなり、同年養育里親へ登録。高校生里子の自立支援ほか、短期里親、一時保護などの小・中・高校生も受け入れています。
里親になったことによって、ママ友や自治体の方たちなど、これまで全く縁のなかった人たちとの繋がりが広がりました。そして、子どもたちの未来=地球の未来について、より「身近で」「具体的に」考えるようにもなりました。

Bridge for Smile

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