ニュース・活動報告
「ブリッジフォースマイルのスタッフって日中どんな仕事をしているんですか?」
ある時、ボランティアさんからこんな質問を受けました。
NPOのスタッフが実際何をしているのかわからない方も多いと思います。
B4Sのスタッフは、プロジェクト運営・退所者への個別支援・支援に関わる大人たちの人材育成など、目的ごとにチームに分かれて活動をおこなっています。そのなかで、私は「施設コミュニケーション」というチームに所属し、児童養護施設や自立援助ホーム等の施設の窓口となり、就活に関するセミナーや退所後の自立に向けた巣立ちセミナーなどのプログラム利用を促進したり、個別対応が必要な支援対象者がいれば専門支援チームに繋ぐ役割を担っています。
しかし、私たちが施設へ情報を提供しても、毎年利用する施設もあれば、様々な事情で利用していない施設もあります。B4Sは設立15年ですが、15年間でプログラムを利用したことのない施設が、じつは1都3県のうち11%あるのです。
15年も活動しているんだから、100%利用してるんじゃないの?と思われるかもしれませんね。
ですが、施設によっては日々の業務に追われ、子どもたちの退所後支援まで見据える余裕がなかったり、人手不足により外部の資源を活用するマンパワーがなかったりする場合もあります。また、B4Sのプログラムを利用するにも業務連絡や引率など職員の負担がかかり、現場ではとにかく人手が必要なのです。
それをどれだけカバーできるのか、 事情を一つ一つ聞き出し解決していくのが、施設コミュニケーションの仕事です。
私は4月に、プログラムをほとんど利用していない児童養護施設の担当となり、職員さんと入所中の高校3年生 Aさんの退所後の自立支援について話す機会が増えました。この施設は八王子から1時間という遠方にあり、アクセスの不便さから都心の会場に子どもたちを簡単に送り出せない事情がありましたが、今年度から八王子で集合型セミナーを開催することになり、職員さんへAさんの参加を打診してみました。
「毎年参加させたいと思っていましたが遠方で諦めていました。八王子なら参加させやすい!」と、就職活動や施設を退所することへの気持ちが向いていないAさんに対して、セミナーへの参加を強く勧めてくださいました。
結果、Aさんは、B6月「真剣☆発見☆Myキャリア」、7月「コミュニケーションセミナー」に参加しました。Aさんの参加したセミナーには私も毎回スタッフとして参加していたので、Aさんとの関係性も生まれ、セミナー終わりに本人から個別に就活の悩みを打ち明けられました。
Aさんの悩みを聞いた私は、それを施設に共有し、職員さんも日々の生活のなかでAさんの悩みに気づいていて、「ぜひ個別支援をお願いしたい」と依頼を受け、B4Sの専門支援チームに共有してつなげました。
専門支援チームとAさんで相談して、キャリアガイダンスツールである職業レディネステスト(VRT)というを実施したところ、就労へのイメージが具体的になり、Aさんは就活に意欲を見せ始めました。そして、9月には「高3就活セミナー」に自主的に参加するまでに!
現在は、全6回の退所後自立準備セミナー「巣立ちプロジェクト」に毎月参加しています。
施設に対して、資源であるB4Sの情報を提供するのが施設コミュニケーションチームの仕事ですが、ただ情報提供する一方的な関係ではなく、職員さんと一緒に協働し子どもたちに向き合っていきたいと考えています。また、今回Aさんへのサポートも、私と職員さんが連絡を取り合い、お互いに違った視点でAさんに働きかけたことで、就労への意識が自然と向いたのだと思います。
子どもたちに必要な情報を届け、利用してもらうまでの道のりは、決して容易なことではありません。未だに11%の施設は、B4Sのプログラムを利用したことがないので、全体を見てもまだまだ施設によって格差が生じているのです。その施設間格差を埋めることも、私たちのミッションの一つです。
子どもたちの生活の場にいる職員さんの想いや考えを知ること、そこから私たちが施設に必要なサポートを継続して提案していくこと。
これからも細く長く、双方にとってより良い支援体制を築いていけたらと思います。
-
2024.09.18広報・啓発活動株主優待に寄付制度 コクヨが放つ「自律協働社会」実現への一手
-
2024.08.23広報・啓発活動コエールが、新しくなります! ②ワークショップ企業編
-
2024.07.22広報・啓発活動数値からわかること・できること 自立状況を可視化するための評価指標を作成中