ニュース・活動報告

数値からわかること・できること 自立状況を可視化するための評価指標を作成中 

今回のクラウドファンディング【親を頼れず支援制度も対象外…ひとりで苦しんでいる若者を助けたい】2024年4月の改正児童福祉法の施行により、支援対象枠が”社会的養護出身者のみ”から 、“親を頼れず困っている若者全般”に大きく広がったことに起因する、下記3つの予算の確保が目的となっています。

 

クラウドファンディングで募集する予算と目的

 

1.ショートステイ

緊急時に一時的に住める場所の拡充として、関東の2か所と北海道の1か所にショートステイできる部屋と光熱費等の生活費を確保するための700万円。

 

2.伴走支援の拡大

自活ができるためのプログラム提供として、アプリで家計簿をつけ、月1回メンターと面談をする「家計やりくりサポート」、自宅を訪問して一緒に家事をしながら生活を整える「訪問家事サポート」に必要な200万円。

 

3.アフターケアの支援基準を整備

私たちが独自に作成した、アフターケアの明確な基準を作るための、7区分56項目からなる「自立度チェックシート」で、自立度をはかれるのかを検証するための100万円。

 

【ショートステイ】に関しては、既にステイ先の物件を確保し、家電等の生活必需品の購入を進めるなど、順調に準備が進められています。【伴走支援の拡大】における「家計簿」の重要性を含む、【アフターケアの支援基準】の検証に関しては、現在以下のように検証作業を進めています。

 

みなさまにご支援いただきました費用で、【アフターケアの支援基準】を明確にし、実際の支援の実務を担当する自治体の予算確保のための政策提言につなげるためのエビデンスとして活用していきたいと考えています。

 

私たちが作成した、7区分56項目からなる「自立度チェックシート」で、自立度がはかれるかの検証に際して、2024年5月6日から5月19日までの2週間の間、ブリッジフォースマイルがつながりをもつ対象者約800名を対象にアンケート(※)を依頼しました。そのアンケートデータから、以下のような状況が確認されています。

※有効回答数は164、回答者には電子マネー1000円分の謝礼を提供

 

■家計簿をつけることで、生活費は充足傾向に

毎月「家計簿をつけているか」と「毎月の生活費は足りているか」の回答を掛け合わせると、以下のような結果となりました。

 

 

毎月家計簿をつけている人は、73.3%が「生活費は足りている」と答えています。

一方で、家計簿をつけていない人の中で「生活費は足りている」と答えているのは、52.7%で、家計簿をつけている人よりも20.6ポイント低い結果となっています。

 

さらに、家計簿をつけていない人は、32.2%が「生活費が足りているか、分からない・どちらとも言えない」と答えており、約3人に1人以上は生活費が足りているか明確にできていいないことが分かります。

 

家計簿をつけることで、むだ遣いもコントロール可能に

では、家計簿をつけることにより、むだ遣いや使いすぎのコントロールができているかを確認してみましょう。「家計簿をつけているか」と「むだ遣いや使いすぎのコントロールができているか」の回答を掛け合わせてみました。

 

すると、家計簿をつけている人は、64.4%がむだ遣いをコントロールできているのに対し、家計簿をつけていない人は、むだ遣いをコントロールできているのは26.8ポイント低い37.6%にとどまっていることが分かりました。また、家計簿をつけていない人は、約3人に1人となる32.2%が「むだ遣いをコントロールできていない」と回答しており、家計簿をつけている人の6.7%と比較して24.5ポイント高い結果となっています。

 

これらのことから、しっかりと家計簿をつける習慣を身につければ、無駄な出費を抑えて自立した生活費の管理ができるようになることが期待できそうです。私たちの「伴走支援」で、成果が生み出せるエビデンスとなると考えています。

 

■相談相手がいないと、重要な判断に自信が持てない

もう一つの検証として、困ったり悩んだりしたときに、相談できる相手がいるかどうかで、仕事や住まいなどの自分に関わる重要な判断ができるかを検証してみました。

 

 

 

すると、下記のような状況が見えてきました。

困ったときや悩んだときに相談相手がいる人は、88.3%が「仕事や住まいなど自分に関わる重要なことを決められる」と回答しているのに対し、相談相手がいないもしくは分からない人は、約18ポイント低い70%程度にとどまっていることが分かります。

 

一方で、相談相手がいないもしくは分からない人は、約4人に1人が「仕事や住まいなど自分に関わる重要なことを決められるか、どちらとも言えない・分からない」と回答しており、人生の重要な判断に相談相手の存在が重要であることが見えてきます。

 

さらに、自立した生活に欠かせない、「就寝、起床時間、通勤・通学などの生活リズムの安定」と「相談できる相手の存在」を掛け合わせてみましょう。

 

 

相談や助けを求められる人の69.1%が「生活リズムが安定している」のに対し、相談や助けを求められない人の「生活リズムが安定している」は、27ポイント低い42.1%にとどまっています。

相談や助けを求められる人の存在が曖昧な人(どちらとも言えない・分からない)は、41.2%が「生活リズムが安定しているかも判断できていない」ということが見えてきます。

頼れる大人がいれば、自立した生活を送れる若者が増える可能性があります。

 

このように、実際の支援者に対するアンケートデータから、私たちが想定した「自立度チェックシート」の実用性に関する検証を進めています

 

 

■全国の自治体が予算と手法を確保するための政策提言

これまで、親を頼れない若者たちの支援は、児童養護施設などで既に支援の必要性が確認され、家庭環境なども調査できている状態で進んできました。しかし2024年4月の改正児童福祉法施行により、支援対象枠が「支援の必要性が確認できていない、支援を求める若者本人からの連絡」に拡大しています。

 

そのため、支援を担当する自治体においては、前例のない対応が求められ、対応に苦戦している状況です。私たちは、上記のような取り組みで対応手法を検証し、必要な予算を確保できるよう政策提言をまとめたいと考えています。

 

 

■最後のお願い、SNSでの投稿にご協力を

クラウドファンディングの受付終了まで、間もなくとなりました。

今一度、目標額達成に向けて、みなさまのご協力をいただければと考えています。

 

みなさんのSNSで、「親を頼れずに育った若者を支援する、こんなNPOの取り組みを応援しています」という投稿をお願いできますでしょうか。

 

みなさんの投稿が積み重なることで、目標達成に向けてラストスパートを頑張っていきたいと思います。

ブリッジフォースマイルにつながった若者たちの多くは、「社会に温かい大人もいるんだなと思った」と言ってもらうことが多くあります。それと同時に、「社会の多くの人に、自分たちのような立場の人がいることをもっと知ってほしい!」という心の叫びを吐露されることもあります。

 

ブリッジフォースマイルのヴィジョンである、

親を頼れないすべての子どもが笑顔で暮らせる社会へ

を実現するために、ぜひ一緒に力を合わせていただけたら幸いです。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

Bridge for Smile

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