ニュース・活動報告

巣立ちプロジェクト2022 <北海道での新規立ち上げ:全4回を振り返って>
北海道巣立ちプロジェクト記事用画像

今年度、初めて開催された、北海道での巣立ちプロジェクト。全4回が終わりました。

ブランチリーダーの「りの」が、立ち上げまでの経緯や、最終回の様子、今後に向けた想いを寄せてくれました。

 

◆北海道で巣立ちプロジェクトを! 「思い」から「確信」へ:ブランチ立ち上げの経緯

私「りの」は東京在住時にブリッジフォースマイル(B4S)を知り、B4Sの社会人ボランティアとして活動していました。その後、北海道に移住。7年が経過して北国での生活にもすっかり慣れ、生活が落ち着いてくると、やはり気になるのは児童養護施設の子どもたちのこと。

 

「また北海道でB4Sの活動がしたいな」。最初はそんなふわりとした気持ちでした。

調べてみると、北海道では退所後支援を実施している機関がなく、現状は各児童養護施設に任されている状況が分かってきました。

北海道での巣立ちプロジェクトは絶対にニーズがある!
施設訪問を開始し施設長さんや自立支援担当の職員先生のお話を伺う中で、私の中の「思い」は「確信」に変わりました。

 

◆ドコモ市民活動団体助成金事業を受託で大きく前進

活動をするにあたりどうしても避けて通れないのが「お金」の問題です。
会場費、講師を依頼する費用を始め、トドクン購入金の原資、備品などなど。思いだけでは事業は開始できない…。

厳しい現実に煮詰まっていた、そんな時にB4Sの代表「えりほ」からドコモの助成金のことを知らせてもらい光が見えてきました。他のB4Sスタッフの多大な協力もあり、受託にこぎつけることができました。

 

◆巣立ちセミナー開始に向けて

スタートするとは決まったものの、一体何から手を付けていいのか分かりません。B4Sでの活動経験があるとはいってもそれはボランティアとしてのもの。事務局としての準備は想像以上に煩雑で膨大でした。

「今までお気楽だったなぁ、こんなに事務局でやってもらってたんだ...」。
今さらですが思い知る認識不足の甘さ。とはいえ、抜け漏れがあればB4Sやボランティアに迷惑がかかるだけでなく一番大切な子どもたちの期待を裏切ることになりかねません。フルタイムで仕事をしながらブランチリーダーをする私が手の回らないところは、知人のつてで知り合った「くみみん」にフォローしてもらうことができました。

 

はじめて開催するプロジェクトですから、新人の現地ボランティアだけでは心配だったため、首都圏でボランティアとして活動している方に呼びかけ、助っ人として加わっていただくことで、ボランティアの人数と質を確保しました。会場探しも、コロナ禍の影響もあり、毎回苦慮したことのひとつです。
いま改めて振り返ると綱渡りばかりでしたが、無事に開催できたのは関わっていただいた方たち全員の熱意なくては成しえないものでした。

 

◆迎えた最終回「知ってるだけじゃダメな大人への相談」

札幌は、前日から降り続いた雪が道を覆い、すっかり白い世界となりました。巣立ちプロジェクトもいよいよ最終回です。

今回の会場は中央区民センターの「娯楽室」。実は普段使っている会議室が抽選にもれたため、急遽普段はヨガ教室などで利用されるクッションフロアの部屋を利用となりました。

 

もとは和室だったようで靴を脱いであがります。最初は「どうかな?」と思いましたが、これがかえって好都合でした。北海道の冬は雪が深いため道民はしっかりした雪靴を使います。

今回は巣立ちクエスト。お金が無くなった、仕事を辞めたといった課題を与えられた参加者は、同じグループのメンバーと一緒に、大人に相談して解決策を考え、報告するもので会場内を動きまわるため、雪靴を脱ぐことができたのはとてもよかったようです。

 

グループ分けでは、今回はあえて普段はなかなか話をしない子ども同士をマッチングしました。次々と提示される問題に必要に迫られ意見を出し合い、自発的に調べる担当・メモ担当と子どもたちの中で作業分担し効率を図る頼もしい姿も。

午後からの難しいバージョンの課題には初回からご参加いただいた支援コーディネーターさんに相談し、真剣に話を聞く高校生もいました。支援コーディネーターさんとの関係性を構築し、今後につなげるための練習になっていたようです。

 

クエストで困り事の相談をプレ体験した後は支援コーディネーターさんから、自立支援事業と地域の支援団体の紹介です。子どもたちは最初は、「何となく聞いたことはあるけど…」という様子でしたが、相談窓口が近くにしかも複数ある、複数あるから相性を見て、選べるんだと新たな気づきと安心につながったようです。

 

コーディネーターさんからは、終了後の振り返りで「子どもは誰でも自分を“できる子”に見せたいもの。そのため、困ったことが発生してもなかなか相談を持ち込むことができない。今回のセミナーで課題を与えられ体験することで相談ハードルが下がってくれたのではないか」とありがたい言葉をいただきました。

 

今期の北海道のセミナーは、首都圏などで行っている全6回のダイジェスト版で全4回でしたが、子どもたちとボランティアさんたちの間に確かな絆ができていたようです。

セミナー中は渋々ワークをこなしていたような表情をしていた女の子が、最後のお礼を伝えるサンキューカードの時間に、(イケメン!?)ボランティアに「カード書いてください!」と逆指名していたのが微笑ましく、胸が温かくなりました。

 

これからは我々大人ががんばる時期です。

北海道ブランチ2023を実施するべく事務局も新たな目標を胸に歩き続けます。

 

生まれたばかりのピヨピヨのブランチを応援し、自腹で駆けつけてくださった全国のB4Sボランティアのみなさん、セミナー初回の虎の巻ミーティングから最終回までずっと伴走してくださった自立支援コーディネーターさん、子どもたちに紹介し(会場まで送迎も!)参加を促してくださった施設職員さん、見学しに現地までご来場いただいた多くの関連団体の方々、それからもちろん、よく知らない団体のよく知らないボランティア活動に言葉ひとつ信じて集まってくれた北海道ボランティアのみなさん、この場を借りてお礼を申し上げます。

 

北海道ブランチ リーダー:りの


<北海道ブランチ:開催概要>
期間:2022年10月15日~2023年1月9日 (全4回)
参加施設:札幌市1施設・北広島市3施設
子ども参加人数:14人
ボランティア参加人数:13人(北海道在住者5人と事務局2人含)

 

<第4回:開催概要>
開催日時・場所:2023/1/9(月:祝)実地開催 
テーマ:知ってるだけじゃダメな大人への相談
参加者数:子ども11人、ボランティア9人、見学者6人、自立支援コーディネーター2人 見学:退所後支援紹介のため、4団体参加
講師:マイケル


ドコモ助成金画像

Bridge for Smile

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