ニュース・活動報告

祝☆誕生 たくさんのエールが詰まった新しい居場所『せたエール』@下北沢

親を頼れない若者が、気軽に立ち寄れる『居場所』。※1「よこはまPort For」(横浜市受託事業)、「さが・こんね」(佐賀県受託事業)、「かたるベースくまもと」(熊本県・熊本市受託事業)、「えんがわ」(江戸川区受託事業)に続き、東京都世田谷区からの委託を受け下北沢の地で『せたエール』が動き出しました。「社会的養護下の若者の巣立ちや歩みを応援したい」という想いと「時には楽しく、時には一休みして、それぞれの明日へ一歩踏み出すための居場所になってほしい」といった願いを込めて名付けられた『せたエール』の開所までの歩みと情熱!?を、ご紹介します。

※1 居場所事業   

 

 

■演劇の街・下北沢に『せたエール』 誕生

 

2023年3月、世田谷区が「児童養護施設や里親等のもとを巣立った若者が安定して社会的自立を図ることができるよう支援するため」に新たに実施した相談支援事業【世田谷区児童養護施設退所者等相談支援事業】を、ブリッジフォースマイル(以下、B4S)が委託を受けプロジェクトがはじまりました。世田谷区内に個別相談も受けられる「相談・居場所」事業を展開するこの事業の上で、まず必要なことは”場所“です。世田谷区の中のどこに居場所を開所するか、物件探しがスタート。いくつか候補があがり見学に行くも、なかなかご縁がなく困っていた最後の最後5月末に出会ったのが、演劇の街・下北沢の中で代表格とも言える本多劇場がある建物の一室。キレイにリフォームされたその部屋は、壁が優しいブルーで塗られたリビングや、都会にしては空を広く感じられる見晴らしなど、居場所にぴったりな装いでした。最終的に、この部屋での『せたエール』開所が決まった時は、まるで「ここにおいで」とお呼ばれしたような、そんな気持ちにスタッフ一同がなりました。

 

空を感じられる、リビングからの眺め。
休日の下北沢は、駅前広場でも古着マーケット。

 

 

 

■ヒト・モノ・ココロ たくさんのエール

 

部屋が決まって嬉しいのも束の間、部屋には何も無い!!

開所まで1カ月を切ってしまい、オープニングスタッフ3名の走り回る日々が始まります。ライフラインの契約や、間取りに合わせた冷蔵庫などの家電調達を、他の業務も兼ねながら進めていきます。そんな折、嬉しいニュースが飛び込みました。今まで、子どもたちの巣立ち後の生活を支援する「トドクン」※2や他の「居場所」にも家具を無料提供してくださっている、家具ブランドunicoを展開する協賛企業のミサワ様から、『せたエール』にも家具一式をご提供いただけることになったのです。しかも、プロが部屋に合うように見立ててくれるというのです。家具は部屋の顔、こんなに有難いことはありません。開所4日前、応援スタッフが大勢駆けつけて、家具が無事に配置されました。

※2 トドクン   


家具が入ったのは、開所の4日前。応援スタッフも駆けつけて、なんだかワクワク。

プロにお見立てしてもらった、統一感バッチリの落ち着く空間。

 

開所に合わせて、世田谷区の関係者との交流も始まりました。同じように若者支援をしている方々や民生委員の方。区内には青少年交流センターが充実していて、利用することもできます。世田谷区社会福祉協議会を通してフードバンクの提供もしていただけることになりました。世田谷区のみなさんに、温かい言葉をかけてもらいながら、いよいよ利用者さんたちがやってくる日が近づいてきました。『せたエール』が地域の中に根差した、施設退所者等が気軽に立ち寄れる場所になれるよう、ここからスタートです。

 

 

■イメージは、サザエさんのおうち

 

開所まで大忙しだったスタッフに、「どんな場所にしたい?」と聞いてみると、一瞬立ち止まって一息ついてから、「サザエさんのおうちみたいな、平屋にみんながいるような感じ」と教えてくれました。室内は、どこかの雑誌に載ってもおかしくないくらいおしゃれな仕上がりなのですが、「たぶん、どんどん実家みたいな空気になっていくと思う」と笑って話してくれました。誰でも自由にやってきて、ここの空間にいたら穏やかになれる、そんな場所にしていきたい、と。

でも、「理想の居場所のカタチというものは、そもそもありません」と、きっぱりと言います。その時その時に合わせて、スタッフと利用者がオリジナルの居場所を作ることを大切にしたい。どこか他の居場所の真似ではつまらないから、ここに集う人たちで場作りをすることを楽しんでいきたいそうです。利用者さんたちが、自分の意見が尊重される経験や、言葉を受け止めてもらう瞬間を重ねながら、自立への自信に繋がっていくことを願いながら。

 

 

■利用者さんからのエールも届く

 

7月7日から利用がはじまり、17日にオープニングイベントが開催されました。「下北沢街ブラ&たこ焼きパーティー」がお題です。巣立ちプロジェクト※3にかつて参加していた子や、自分が住んでいた地域でB4Sと繋がりがあり進学のために上京してきた子、近くの他の居場所から紹介されて来てくれた子などが集まりました。中には、「よこはまPort For」から異動になったスタッフを労いに、横浜からやってきてくれた子もいます。最高気温36.2℃の中、みんなで下北沢街ブラ開始。珍しい食品屋さんをのぞいたり、古着を見たり、思い思いに散策するも、暑さに負けたスタッフと一緒に数名がたこパーの材料を買いに、一足早くスーパーへ向かいました。「お吸い物を作って、たこ焼きを明石焼き風にも食べよう」と提案してくれた子が率先して買い物を進めてくれました。部屋へ戻り、たこパーがはじまると、キッチンで調理をしている子、たこ焼きを作り続ける子、食べ続ける子、みんながさまざまに楽しんでいる様子。“居場所”について聞いてみると、「行けば誰かがいるというのが、やっぱり嬉しい」と教えてくれました。『せたエール』はアクセス面や空間の心地よさから、早くも気に入ってくれたようで「次は水曜日に来るね」と、帰り際にスタッフに告げてくる子がたくさんいました。今、夢中になっている仕事の話をしてくれる子もいれば、ソファーでウトウトしてリラックスする子、みんなの為に珈琲を煎れてくれる子。『せたエール』がそれぞれの安心できる場としてあり続けられるように、利用者さん・ボランティアさん・スタッフのみんなで育てていきたいなと思える1日でした。みんなが帰った部屋には、利用者が職場から持ってきてくれたお花が、スタッフが持ってきた実家感溢れる花瓶に活けられて名残惜しそうに鎮座していました。

※3 巣立ちプロジェクト 

B4Sの他の居場所に野菜やお米を提供してくださっている方々が、

「せたエール」にもご寄付くださることになりました。

実家感が出ちゃう花瓶と素敵な花瓶に生けられたお花たちは

利用者さんが持ってきてくれたもの。

思い思いに集まれる場所としてスタート!

 

せたエールサイトはこちら 

 

 

 

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