ニュース・活動報告
ブリッジフォースマイル(以下B4S)のご協力企業の担当者間ではじまっている、合同ワークショップについてご紹介します。
10月21日、PwCコンサルティング合同会社の呼びかけのもと、2回目となる「子どもたちの未来を考える企業合同ワークショップ」が開催されました。本ワークショップでは、育成環境に困難を抱える子どもたちのために企業が連携して実現できることを考え、最終的にはその実現のためのプラットフォームを立ち上げることにより、アクションを実行するところまでを目指しています。
全5回構成のうち2回目となる今回は、4社と1団体が集まり、ホワイトボードを囲みながら熱い議論を交わしました。
「この状況を見て見ぬふりしちゃだめだ」「きっと、何かできることがあるはず!」そんな思いを持っている方々が企業を超えて繋がり始めています。
私たちだけでは力不足と、もどかしい想いでいる中、社会に影響力を持つ企業が親を頼れない子どもたちの課題に一緒に取り組んでいただけることは、とても心強いです。
◆「理想の状態」とは?
前回の第1回ワークショップでは、まず各企業がB4Sに対して実施する活動内容の共有がありました。
例えば、オラクルさんの「ジョブシャドウイング」では、児童養護施設で生活する子どもにとって就労観の育成は大事であること、社員の横で仕事をしている姿を1日体験することが貴重な経験になることなど、実感のこもったお話をしていただきました。受け入れる現場側も普段の業務をするだけなので負担が少ないというコメントもあり、ご協力に感謝すると同時に、他の企業さまにも活動が広がれば良いなと感じました。
フジテレビさんからは、「ソーシャルアクションを行っている人を紹介するBSテレビ番組」のご紹介がありました。B4Sも取り上げていただいたことのあるこの番組は、社会で起きていることを知る・理解する入口としての放送で既に200回超えているそうです。
次に社会的養育についての現状を理解し、「社会的養育の理想の状態」のイメージを参加者で共有しました。理想の状態としては大きく2つ、様々な親の事情や環境が受け入れられていること、社会的格差が小さいこと、という意見にまとまりました。では、具体的にはどうすれば良いのか、以下のようなアイデアが出たところで初回は終了となりました。
- 子どもや親が孤立しない社会をつくる
- コミュニティ形成を促進して、みんなで子育てをする風土をつくる
- 社会的養護の傘の下にいることへのネガティブな印象をなくす
- 社会的養護を受ける子どもに対し、大学卒業まで見越したパスを描く
第2回では、各企業が事前課題として“社会的養育または社会の理想の状態“と”関係者(親、施設職員、行政など)の「理想の状態」と「今の取組と課題感」“について事前に考え、持ち寄った意見をベースに「理想の状態」のイメージおよび関係者の「理想の状態」を共有することをゴールとしてワークショップを進めました。
具体的に「理想の状態」として挙げられた意見をご紹介します。
- どんな環境で育っても夢や希望を諦めない社会
- 選択肢があり、頼れる人、場所がある
- 困っている人、助けが必要な人に対して手を差し伸べる
- 自然に社会の中ですくすく育っていく状態
- 明日が楽しみになる社会
目指す方向性は同じ参加者でも、いざ言語化をしてみると、それぞれ少しずつ違う「理想の状態」を思い描いていることが分かります。企業や部署の垣根を越えて意見を交わすことで、自分からは出てこなかった言葉に出会い、それぞれの考えをより一層深めるきっかけになったのではないでしょうか。
◆「子育ての社会化」とは何か
これは議論の中でも特に盛り上がり、印象に残っているキーワードです。子育てを社会化する、つまり親以外の人が子育てに参加する社会を目指すということですが、様々な観点から意見が出ました。あくまでも親が子育てをできる支援をするべきなのか、子育てが難しい状況の場合はバトンタッチするべきなのか、子育てをしない親を社会が許容するということなのか・・・。心理的にも物理的にも密になりやすい親子関係において、外の風が入ること、休憩できることは大切であり、もっと気楽に子育てができれば良いのでは、という意見もありました。そもそも家庭で育つ子、施設で育つ子の2択で考えがちですが、その間にいる子も含めてグラデーションで捉える必要があるのでは、という意見には「たしかに・・」と考えさせられました。
もちろん、これは正解がある問いではないので、全ての意見に正しい/間違いということはありません。私自身、毎日の仕事の中ではつい急いで答えを見つけたくなるところがありますが、今回のワークショップを通して、お互いの考え方の違いを受け止めて話し合うこと自体に価値があるのではと感じました。自分の日常から少し離れて社会課題について考える機会を持つこと、これが解決に向けた第一歩なのだと思います。
◆企業の社会貢献担当者同士、一緒に活動しませんか?
社会課題の解決の方法はひとつではなく、時間がかかるものです。それでも同じ目標を持つ仲間と繋がり、議論を重ねることはとても楽しく、わくわく感もあります。1つでも多くの企業の皆さまとこの素晴らしい時間を共有したいと思っていますので、この記事を通して少しでも興味・関心を持ってくださった企業の社会貢献ご担当のみなさま、ぜひ一緒に活動していただけると嬉しいです。
<次回の開催予定>
日時:12月6日(火) 16時~18時
場所:日本オラクル青山センター 受付14階 (最寄り駅:銀座線「外苑前」4B出口直結)
◆参加者コメント
最後になりますが、第1回、第2回のワークショップの企画・運営をリードいただいたPwCコンサルティング 吉川さんにコメントをいただきました。吉川さんをはじめとするPwCコンサルティングのプロボノメンバーの皆さんとは、約1年半に渡り、週1回のミーティングを重ねてきました。“Warm heart, cool head”、熱い心と冷静な頭脳で、私たちの組織課題に一緒に向き合ってくださいました。いまでは、子どもたちの課題についてもよく理解してくださり、とても心強い存在です。
***************************************************************************************
B4Sを通じて繋がった企業が、垣根を超えて力を合わせ子どもたちを支える社会づくりを目指す
企画のきっかけとなったのは、プロボノ活動でB4Sの団体運営を支援しているPwCコンサルティング職員の声でした。約1年半に渡るプロボノ活動を通じて、団体の運営課題の解決をサポートすることに加えて、企業としてもっと主体的な活動ができないかという意見が出てきました。
ちょうど同じ時期にB4S主催の啓発イベント「コエール2022」があり、PwC Japanグループの社内で告知し、参加を呼び掛けたところ、約100名の視聴希望者が集まりました。また、同時募集した「巣立ちプロジェクト2022」のサポーターには、20名以上のボランティアが集まりました。普段の業務の中で社会的養護の話がでることは決して多くはないのですが、関心のある職員、自分も何かしたいと考えている職員が少なからずいることに気づきました。
一企業としての活動に閉じてしまうのではなく、様々な意見を取り入れることで活動の幅を広げた方がよいのではという発想から、一より多様な企業のメンバーで一緒に進めることができないかとB4Sさんへ相談をしました。その流れで、「コエール2022」のアフターパーティに参加している企業の皆様に向けて、「企業の垣根を超えて力を合わせて、子どもたちを支える社会を創りましょう」と、呼びかける機会を頂きました。とても好意的な反応があり、最初の取り組みとして、企業合同ワークショップの開催に繋がりました。
実際にワークショップを開催して、例えば「各社からの取組事例紹介を聴いて、自社の活動へのヒントになった」とか、「他の企業と合同で、将来の社会づくりに参加できる期待感」などの声を頂いています。既に2回ワークショップを開催しておりますが、途中からの参加も可能なネットワークです。活動への参加に少しでも関心のある企業の皆様からのご連絡をお待ちしております。
「子どもたちの未来を考える企業合同ワークショップ」運営事務局
***************************************************************************************
-
2024.11.07広報・啓発活動コエールが、新しくなります! ③ワークショップ大学編
-
2024.09.18広報・啓発活動株主優待に寄付制度 コクヨが放つ「自律協働社会」実現への一手
-
2024.08.23広報・啓発活動コエールが、新しくなります! ②ワークショップ企業編