ニュース・活動報告

巣立ちプロジェクト2020@熊本<第2回 しっかりさんの一人暮らし>
熊本巣立ちプロジェクト2回目に参加した社会人ボランティアとセミナー内容

開催日時・場所:2020/11/14・21 オンライン(Zoom)による実施
参加人数(両日合計):高校生32人/ボランティア24人
講師:マイケル


児童養護施設を来年春に退所予定の高校生たちを対象とした「巣立ちセミナー」。熊本では全4回全てをオンラインで行います。第2回目の今回のセミナー、テーマは「一人暮らし」です。住まいの探し方をはじめ、一人暮らしに役立つ知識を学んでいきます。
講師は、みんなの兄貴分、マイケル。経験豊かなマイケルの一人暮らし体験談も交えながら、内容盛りだくさんのセミナーとなりました♪

 

◆みんなのお金の使い方

まずはアイスブレイク。「1000円あったら何に使う?」というテーマで、みんなでZOOMのホワイトボードに意見を書き込んでいきました。お肉、馬刺し、お刺身、ケーキ、アイス、マック…など食べ物が目立つ中、洋服や本、映画、(携帯ゲームの)課金といった高校生らしい意見が次々と並びます。

 

さらに金額を1万円、10万円と増やしてみました。「10万円…想像できない~」「旅行に行きたい!」「ライブに行きたい!」と場が和んできたところで、講師からの質問。

「1000円はだいたい(アルバイトなどの)時給。1万円はだいたい1日働いて稼げるお金。では10万円は?」

 

この問いの答え、実は「施設を出た若者が架空請求詐欺で支払ってしまった金額」なのだそう…!驚きの表情を見せる子どもたち。
「一人暮らしは自己判断・自己責任の連続」と講師のマイケルが真剣な面持ちで伝えます。

 

一人暮らしに潜むいろんなトラブルに巻き込まれないように、今日は1日頑張って学ぼうね。

 

◆初めての住まい探し
一人暮らしをするにあたり、まず最初に思いつくのが「住まい探し」。今回、一人暮らしをするにあたり、初めて住まいを探す高校生もいます。ここでは不動産屋さんの役割や、専門用語、物件を選ぶにあたりどんなことに注目したらいいかを学びました。「自炊をする人はガスコンロが1口だと大変だよ~」「1Rの家で焼肉すると、部屋にかけてある服とか布団も全部焼肉の臭いになるから気を付けて!」など、講師のリアルな一人暮らし体験談に、高校生もボランティアも「なるほど~」と聞き入ります。
「四畳半」「六畳」「八畳」と、それぞれの部屋の広さも写真を見ながらイメージしてみたところで、実際に物件を探してみます!

 

◆優先順位をきちんと決めよう
熊本市内の物件リストを見ながら、自分はどの物件がいいか、その理由とともにグループで意見を出し合います。


「築年数浅めで敷金・礼金不要だから、この物件かなぁ」「オートロック付きで防犯カメラもあるから、この物件が安心して住めると思う」「鉄筋コンクリートだから、隣の音とかも聞こえないこの物件が良い」など、それぞれ物件情報を細かく見ていて、聞いているこちらも「なるほど~」と感心しました。
東京のボランティア(オンラインのため熊本以外からも社会人ボランティアが参加しています。)からは、「5万円以下で40平米の物件に住めるのはすごいね!」との感想。東京や大阪・福岡に住む場合は、熊本市内よりも家賃が高くなるから気をつけようね。

 

◆契約してみよう!
ランチの後は、契約について学びます。ここではB4Sでつくった模擬契約書をつかって、実際に契約書のどういうところをしっかりチェックするべきか、みんなで確認しました。ランチ後の眠い目をこすりながら、慣れない難しい言葉の並ぶ契約書とにらめっこして頑張る子どもたち。
そんな中、「連帯保証人」というワードについて講師から真剣なお話がありました。
連絡を取ってなかった親から急に連絡があり、「保証人になって」と言われ、親が住む家のローンを子どもが支払っている、というケースがあるそう。保証人も含めて、なんでも安易にサインせず、迷うことがあったら周りの信頼できる人に相談しようね。

 

◆全部でいくらかかる?

いよいよ引越し!引越しに当たって必要な一連の手続きについて学んだあと、実際に初期費用はいくらかかるのか、ワークシートを使って計算してみます。
生活必需品リストの中から、自分が必要だと思うものを選んで、その購入金額を足していきます。「結局いくらになった?」と聞いてみると、(住居にかかる敷金・礼金等の初期費用は除き)堅実な子で12万円、多くて15万円程。
「掃除機はいりますか?クイックルワイパーではだめ?」「洗濯機は無くても、コインランドリーで良いんじゃないかな?」と、どれだけ節約できるかみんなで真剣に考えていました!

 

◆社会人ボランティアに聞く、一人暮らしのコツ
ここで、一人暮らしを体験してきた社会人ボランティアの一人暮らし体験談を聞いていきます。
ササさんは、18歳で上京、一人で住まいを探していましたが、「今決めないと別の人に取られるよ」と不動産屋さんに決断を迫られたと語ります。「10代の女の子はなめられるケースもあるから、できれば大人と契約に行った方がいいよ」と教えてくれました。
はらでぃも最近引越ししたばかり。「不動産屋さんに物件の下見をお願いすると、だいたい3~4件見せてくれるけど、1件目より2~3件目に良い物件を見せてくれるから、できれば1件目で決めないようにね」とのこと。
高校生も、リアルな体験談に真剣な面持ちで聞き入っていました。

 

◆少しでも不安なことがあれば、周りを頼ろう!
最後に、これから社会に出る高校生が、もしかしたら遭遇するかもしれないトラブルと、それに伴うリスクについて学びます。
例えば、先輩から「この商品を友だちに紹介して買ってもらうだけで、儲かる話がある。紹介した友だちが他の友だちに紹介すれば、君にも利益があるよ」と言われたら…。
高校生からは、「友だちにも迷惑をかけるし、そんなにうまい話は無いと思うので、断る」「人からの信頼を失うと思うので、やらない方がいい」という答えが返ってきて、ボランティアも一安心。

社会に出たら、言葉巧みにトラブルに誘い込まれるケースもあります。「何かに迷ったり、少しでも不安を感じることがあれば、周囲の信頼できる大人や公的機関、B4Sを頼ってね」と講師マイケルも力強く話していました。


高校生の感想には「引っ越しに向け、色んな準備があることを知れたし、今のうちに学べてよかった」「一人暮らしは楽しみもあるけど、大変だし落とし穴があることも学べた(サギ等)」、「実際に一人暮らしをするので、詳しく教えてもらって助かった」、「社会人のスタート地点に立つ時点で必要な手続きや知識を身につけることができてよかった」と、各々、様々なことを感じ、学びの時間となったようです。

一人ひとり、進路や卒園後の状況は異なりますが、今日のセミナーで得た知識や学びを、来たる機会の準備・情報収集の時間となっていれば幸いに思います。

 

次回第3回目は【金銭教育】セミナー!保険や税金について学びます。
またZOOM越しに皆に会えるのを楽しみにしています♪
(早くオフラインで会ってコミュニケーションが取れたり話ができたりする日が来ますように!!)

 

(ボランティア:まーちゃん)

 


本セミナーの運営とオンライン化に、公益財団法人日本財団からの助成金を活用しました。

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