ニュース・活動報告

アトモプロジェクト ― ひとりじゃない未来をつくる活動 【前半】

児童養護施設等を巣立った若者たちは、早ければ18歳で一人暮らしを始めます。社会に踏み出すその日、胸にあるのは期待だけではありません。

 

「これから、私はひとりで生きていけるのだろうか」

 

そんな不安の方が大きいのです。ブリッジフォースマイル(B4S)の居場所に来ているある青年は、施設で大勢と暮らしていたから、一人暮らしが楽しみだった!と言っていたにも関わらず、いざ一人暮らしが始まると、「こんなに部屋の中が静かだとは思わず、怖くて寂しくて眠れない」と、電気とYouTubeをつけたまま毎日寝ていると話してくれました。

そんな親を頼れない若者にとって、「自分の存在を気にかけてくれる人がいる」ことは、何よりの支えになります

B4Sのアトモプロジェクト(通称、アトモ)は、同じ境遇の仲間との横のつながり、そして多様な年代の社会人サポーターとのつながりを、巣立った“あとも”続けていける場所づくりを目指しています。BBQやスポーツやお菓子作りなど、さまざまな機会を整えています。

 

今回は、アトモならではの魅力を、スタッフインタビューとともにご紹介します。

 

居場所は「線」、アトモは「点」

今年度、アトモの担当者が変わり、まず取り組んだのは「アトモの価値の再定義」でした。

居場所【B4S PORT】とアトモは同じ相互交流事業でありながら、

  • アトモイベントには参加するが、居場所には来ないユース(=利用者)
  • 居場所には来るが、アトモイベントには参加しないユース

が一定数いることに気づいたのです。

 

居場所は、日常の延長にあり、食事や雑談を通してエネルギーをチャージする「線」のような存在。一方、アトモは月1回程度のイベントで、興味関心を軸に集まる「点」のような存在です。

どちらが良い・悪いではありません。参加してくれるユースの顔を思い浮かべながら、それぞれに、それぞれを必要なユースがいることに気づきました。そこで、アトモに参加するユースのニーズに合わせた企画づくりを考え、今年度は「身近な大人・仲間とのつながり」を大切にしつつ、“一歩踏み出す”をコンセプトにした体験型イベントを展開しました。

 

■ 2024年度 “一歩踏み出す”をコンセプトにした体験型アトモ

4月:BBQアトモ

ユースとサポータやスタッフ総勢100人以上が参加するBBQアトモは、ここ数年、毎年恒例のイベントとなっています。高校3年生の時に、「巣立ちプロジェクト」に参加してくれていたユースが、いちはやく仲間や支援者とつながれるように、巣立ったばかりの4月に開催しています。進学・就職など進路は違っても、関係性を未来につなぐ場として大切な1日です。大空の下、若者も大人もオープンな心で出会います。

 

大人気のBBQは、年間開催を増やしたいところ・・・

 

9月:B4S運動会

新体制の門出となるイベントでした。中野区の体育館をお借りして、首都圏の居場所対抗運動会を初開催。居場所のつながりを大切にしつつ、居場所にはあまり馴染みがないユースには、居場所の雰囲気を感じてもらえるきっかけにもしました。普段、居場所ではそれぞれが好きなように、ゲームをしたり絵を描いたり、おしゃべりしたりして過ごしますが、今回は運動会なので、チーム戦です。自然とキャプテンが生まれたり、大繩の時は声掛けをしあって息を合わせたり、一体感を感じることができました。何気ないこのコミュニケーションは、「人とつながる心地よさ」を感じてもらう大きな一歩です。

 

 
アトモ運動会2025

ドッチボール、気配斬り、大繩で、いい汗かきました

 

10月:大阪万博アトモ

なかなかない遠出のしかも大人気の大阪万博アトモということで、ユース8名定員のところ、25名を超える応募がありました。

この大型アトモが実現した背景には、10代20代の生きづらさを抱える少女・若い女性に寄り添い、様々な支援をしている若草プロジェクト様経由で、B4Sに大阪万博のチケットを10枚いただけたことと、生活困窮家庭の子どもたちへの支援を行う浅井スクスク基金様からいただいた助成金で往復の新幹線代と飲食費を負担できたことがあります。B4Sを仲介して、困難な若者たちにこうして支援が届けられることを、とても有難く思っています。

今回、エンジョイの部分だけでなく、ユースたちには「一人で新幹線に乗る」という現地集合を経験してもらいました。児童養護施設等で育った子どもたちの中には、年相応になったら体験できるであろう体験をしないまま、大人になった人も少なくありません。今回のような機会で、経験や体験をひとつ増やしてあげられることができ、今後のアトモの設計にも大きく意味ある1日となりました。

 

大阪万博アトモ2025

ミャクミャクととびっきりの笑顔で記念撮影!

 

12月:クリスマスアトモ

毎年、ゲームなどで盛り上がるクリスマスアトモですが、今年はチームでケーキをデコレーションする体験型のクリスマス会にしました。思いのほか!?みんな前のめりに凝ったデコレーションを次々に展開していきます。お楽しみのクリスマスプレゼントは、ちょっとしたゲームを取り入れたり、相互に交換の交渉をしたりして、みんな一つずつ持ち帰りました。今回は、ショートケーキカンパニー様とセールスフォース様のご寄付で、素敵なクリスマスとなりました。

毎年、このクリスマス会で仲間たちと再会をすることを楽しみにしれくれているユースもいるようです。また、サポーターやスタッフは、ここでユースと久々にあって、近況を聞いたり、新たな悩みをキャッチしたりできています。「何気ない会話」から、早期の相談につながることは多く、大切にしていきたい機会の一つです。

 

~ユースの声~

「B4Sのみんなと万博行くことが出来て、色んな国の文化や雰囲気を知ることができてとても良い人生経験になりました。今日の体験を忘れずにこれからも自分の未来に向けて頑張りたいなぁと思いました」

 

「今まであまりB4Sイベント参加してこなかったけど、今日勇気を出して参加してみて同じような境遇にいたことのある仲間と仲良くなれたりスタッフさんとお話できて楽しかったので、また予定が合えば参加できたらと思っています!」

 

意外にも!?真剣にデコレーションにとりかかるユースたち

 

材料は同じでも、それぞれのテーブルで個性的なケーキが誕生

 

1月:卓球&ボルダリングアトモ

ユース全員がボルダリング初挑戦。豊島区の体育館で、経験者のサポーターさんとそのご友人に講師をしていただき、楽しく過ごしました。初体験にも関わらず、負けず嫌いが発動して、高難度のコースにチャレンジする強者もいました。また、明治安田生命様は健康管理アプリ(べジチェック)の実施を頂き、日頃の野菜の摂取量を計測頂きました。「野菜を沢山食べているから大丈夫!」と言っていたユースの結果が悪かったりと、日頃の生活習慣を見直すきっかけにもなりました。このような、B4Sスタッフ以外の大人たちと関わる機会も、社会の中で生きていく若者たちにとっては貴重です。

 

 

はじめてのボルダリングに挑戦

 

そして、2025年度は新しい挑戦として「里山アトモ」が始動しました。里山アトモは後編でお届けします!

 

 

関連リンク
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Bridge for Smile

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