ニュース・活動報告
児童虐待のニュースが世間を騒がす昨今、よく耳にするのが「児童相談所は何をやっていたんだ!!」という批判だ。たしかにそう、私も思ったことはある。児童相談所が介入しながら、救われなかった命を思うと、いたたまれない気持ちになる。
だが、果たして児童相談所は世間から一方的に叩かれるべき悪者なのだろうか。
児童相談所に寄せられる虐待相談は年間20万件近く。また、一時保護した子どもの数は4万7453人(2018年度・虐待以外のケースも含む)に上る。世間を賑わせ、児童相談所が批判にさらされるごく一部の事例の裏には、児童相談所によって救われた命が何万とあることを忘れてはならない。
さて、申し遅れましたが、ワタクシ、社会福祉士としてホームレスの医療ソーシャルワークなどに携わり、3年前にブリッジフォースマイルに入職。念願の児童福祉の職に就き、現在はスタッフの中ではおそらく最も多く、児童相談所とやり取りをしている。
その中で感じた思いを少し綴ってみたい。
児童相談所の一時保護所はパンク寸前だというが、実際、子どもたちが寝泊まりする場所が足りず、仕方なく、面談用の部屋を子どもの寝泊まりに使っている、といった話をよく耳にする。
先日、一時保護所を訪問した時のこと。コロナ対策で、担当者が部屋の窓を開けると、子どもたちのはしゃぐ大きな声が耳に飛び込んできた。あまりの賑やかさに、「近所に大規模な幼稚園でもあるのか?」と一瞬、間の抜けた考えが頭を横切ったが、いやいや違う。一時保護されている子どもたちが園庭で遊ぶ声である。
その可愛らしい声に頬が緩みつつも、これだけ大勢の幼児が一時保護されている現実を体感し、複雑な思いがしたものだった。
私が児童相談所と頻繁に関わるようになったのは、2018年度から横浜市で、児童養護施設等の退所後も見守り支援を行う「継続支援計画」事業が始まったためである。B4Sが計画を作るのだが、児童相談所とも連携して行うこととされており、これを機に、児童相談所とやり取りする機会がグッと増えたのだ。
やり取りを重ねる中で、児童相談所の課題を感じることも少なくないし、どこの組織でもそうであるように、職員次第で大きく左右される部分があることも否めない。
だが、子どもと相対するケースワーカーを見て、子どもへの強い思いやきめ細やかなフォロー、自立する子どもを送り出す時の温かい涙に幾度も触れたことがあるのも事実である。
何かセンセーショナルな事件が起こると、世間は悪者を作り出し、それを一時的に叩くだけで、いつの間に忘れてしまう。結局、他人事なのである。
だが、子どもを取り巻く社会の問題は、その社会を作っている我々おとな一人ひとりの問題なのではないか。
そういう思いで、私は今の仕事に就いている。
そしてこのコラムが、読んで下さった皆さんにとって、どんな小さなことでもいいので、自分に何ができるかを考えるきっかけになることを願って…。
児童相談所に関わる立場から、書いてみました。
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