ニュース・活動報告
ブリッジフォースマイル代表の林恵子です。ブリッジ フォースマイルは、設立20年になりました。
いつもはできてないこと、至らないことに対して更なる努力を誓うことが多いのですが、ちょうど20年の今日は足りないことを嘆くのではなく、できていることを褒め合いたいです。私たちはここまでよくやった。祝20周年。ほんとによくがんばった。
20年前、こんな支援があったらいいなと思い描いていたことは、ほぼ形にできたのではないかと思います。縁あってブリッジフォースマイルに関わってくださったみなさんに、心からお礼を伝えたいです。長い時間一緒に歩いてくれているみなさん、短い時間でもバトンをつないでくださったみなさんのおかげで、ここまで来られました。本当にありがとうございます。
私の児童養護施設との出会いは、スキルアップのため参加したビジネス研修(JMEC)。
「ある外資系企業の社会貢献プログラムを提案するため児童養護施設のニーズを調査し、企画を作る」というミッションを与えられたことでした。
児童養護施設を訪問してわかったことは、
・物は意外と溢れている。外部からは古着やおもちゃが匿名で大量に届き、 クリスマスケーキは腐らせてしまうほど届いている。
・施設には、虐待で保護された子どもたちが生活している。虐待を受けた子どもたちは、暴力や暴言で問題を起こしたり、大人がどこまで信頼できるかを試す行動をとったりする。
・職員一人で子ども6人の面倒を見なければいけない。宿直もあり、担当の子が問題を起こせば休日でも駆けつけなければならない。
・精神的にも肉体的にも疲弊し、職員たちは退職していく。子どもたちはさらに大人への不信を募らせていく。
・子どもたちは高校を卒業、もしくは中退すると基本的には施設を出なければならない。
・社会に出ても、反社会的勢力や風俗など社会の闇に取り込まれていく。
・滞納した家賃と荷物を連帯保証人である施設長に残し、夜逃げをしてしまうケースも。
・自らの命を絶ってしまう若者もいる。
両親がいて、大学までお金の心配もなく育った私は衝撃を受けました。こんな状況が豊かな日本にあるなんて。
私は何ができるのかを必死で考え、児童養護施設と社会をつなぐNPOの構想をつくりました。
でも、研修のチームメンバーもクライアントも、重すぎる現状と私の壮大すぎる提案をお断り。
誰もやらないなら、私がやらなくちゃ。知ってしまった責任と使命感。
体の奥底から湧き上がってくる衝動に突き動かされ、自分でNPOを作ることを決意しました。
当時勤務していたパソナ人事部の同僚と、とある児童養護施設の施設長が一緒にNPOを立ち上げてくれることになり、20年前の今日、施設でのイベントを手伝った後に会議室でひっそりと設立総会を開いたのでした。
がむしゃらに働くも失敗の連続。
取り組む社会課題の難しさに加えて、感情理解が苦手で思ったことをすぐ口にしてしまう私は、福祉や社会貢献の世界が感情を中心に動いている中、施設職員や協力者を怒らせることも少なくありませんでした。それでも、一つずつ課題を乗り越え今日があるのは、私の凸凹を理解してくれる仲間や、閉塞的な児童福祉にタブー無しで突っ込んでいくのを面白がってくれた施設職員がいてくれたおかげです。本当に感謝しています。
今では約90人のスタッフ 、約600人のボランティア、約500人の寄付サポーター 、約170社の企業や団体のお力を借り、10以上のプログラムを運営。
約200の児童養護施設や、約100の里親家庭で暮らす子どもたち または その出身者などを含む、年間約2,000人弱の子どもや若者たちに支援を提供することができるようになりました。
公的制度もどんどん良くなっています。今年は全国の都道府県にアフターケアが義務付けられ、ケアリーバーだけでなく、公的に保護されなかった虐待サバイバーにも支援が広がりつつあります。
ありがたい一方で、この新しい流れは他の支援団体(その多くは母体が社会福祉法人)が行う相談支援を中心とした支援であり、児童養護施設や里親家庭から巣立つ前や巣立った直後の「予防的支援」に力を入れてきたB4Sにとっては、大きな方針転換、体制変更を迫られる1年でした。なんとか変化の波を乗り越えたものの、組織拡大によるマネジメントの難しさや、行政受託特有の難しさはまだまだ続きます。虐待のトラウマを抱え苦しむケアリーバーに対しても、全然十分な支援はできていません。
あ、ダメダメ。また至らないことに関心が向かってしまいます。なんて貧乏性なのかしら。
今日は、褒め褒めシャワーをひたすら浴びせ合う1日にしましょう。祝20周年!
理事長 林 恵子
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