ニュース・活動報告

コエールが、新しくなります! ③ワークショップ大学編

ブリッジフォースマイル(B4S)は2011年より、親を頼れない経験をもつ当事者の声をスピーチイベント「コエール」で届けてきました。2024年度は大幅なリニューアルをはかり、新たな取り組みを開始します。

「コエール」の紹介や、スピーチができあがるまでは①スピーチ動画収録 、企業様向けのワークショップは②ワークショップ企業編をごらんください。

 

親を頼れない子どもたちを社会で守り育てるため、共に行動する仲間を増やすためには、社会の一人ひとりに自分事として考えてもらう必要があります。そこで、“スピーチを聴く”その先に、“ワークショップ”を設けて、参加者の皆さんに考えてもらう「コエールワークショップ」が誕生しました。コエールワークショップには、イルミネーター(虐待などを受けた当事者)が参加し、一緒に問題を考えます。スピーチでは語られなかった経験や、参加者からの質問にも答えます。

 

「コエールワークショップ」を活用した、関西福祉大学社会福祉学部1年生の授業の様子をお届けします。

 

■関西福祉大学社会福祉学部1年生「当事者と福祉」の中で展開された、コエールワークショップ

社会福祉学部、森歩夢先生から、「当事者と福祉」という授業の中でコエールを取り上げたいとのご連絡をいただきました。この授業は、病気や障害の当事者やそのご家族・支援者を講師としてお招きした学び合いの場です。脳性麻痺や突然の事故、精神疾患や看取りなど様々なテーマについて、同じ社会を生きる者同士として相互に理解を深め合います。コエールを題材とした本授業は、3週連続のオンライン講義となりました。

 

授業は、40名以上の学生が参加のもと、1回目(6月26日)にB4S代表の林恵子による講義からスタートしました。団体設立の経緯や、現在の社会的養護の現状、B4Sが取り組む社会問題と活動について紹介し、生徒たちに「社会を変えるプロセス」についてワークショップを行いました。社会を変えるには、気づく→調べる→考える→理想を描く→行動するというステップがあることを短い時間の中で体験してもらいました。

 

<学生のアンケートより>

Q1. 「親を頼れない」ことについて、講義から学んだこと

・その子の意思で頼らないのでは無く、環境から頼ることが出来ないという認識が大切と思いました。

・私は親がいて、大学に進学して一人暮らしをする際も全てサポートしてくれましたが、もし親を頼れない状況だったらと考えると現状と全く違う今があると思いました。親を頼ることができないから不平等な環境になってしまうことに疑問を感じました。

 

Q2. 社会を 「変える」ことについて、どのようなことを感じましたか。

・自分たちで作った社会なので自分たちが考えて社会をより良く変えて行くことが大事だと考えた

・自分にはできない、関心を持っても変えられないなら仕方ないと思っている部分はありましたが、お話を聴いていると身近な疑問からでも関心を持って向き合うことで自分も社会を変える一員になれるかもしれないと希望を感じました。

 

 

 

2回目(7月3日)は、イルミネーターのスピーチを3本鑑賞してもらいました。今回取り上げられたスピーチは、「ヤングケアラー」「家出を選ばざるを得なかった子どもたち」「居所不明児童」 です。「居所不明児童」のスピーチを行ったチャンプが、翌週の3回目の授業に登壇し、コエールワークショップを行います。

 

<学生のアンケートより>

・それぞれの話を聞くと、自分は今まで学校に来てない、家出している、などはその人本人が悪いことをしていると考えていましたが、それぞれの環境がそうせざるを得ない状況を作っていると知り、考えた方が変わりました。

・私は見ようとしていなかっただけで自分の近くにも助けを求めている人がいたのかなと思いました。助けを求める声を感じ、福祉のサポートができるようになれたらいいなと思いました。

 

スピーチは「コエールチャンネル」でいつでも観られます

 

3回目(7月10日)は、いよいよ、イルミネーターであるチャンプが登壇しての、コエールワークショップ開催となりました。スピーチVTRには入りきらなかった、具体的な幼少期の頃の生活についてチャンプが話すと、年齢がさほど変わらない学生たちはじっと聞き入っていました。その後、質疑応答の時間では「車上生活のときには、入浴はどうしていたのですか?」など、少し緊張した面持ちで学生が質問をしてくれました。より具体的な話を聞くことで、「なんとなく知っている子どもの虐待や貧困」の輪郭がはっきりしてきます。これは、当事者が参加するワークショップならではの現象です。そして、本題であるエールワークショップは、森先生との話し合いの末、20歳前後の学生たちが等身大で考えてもらえそうな「虐待や貧困の問題をX(旧Twitter)で拡散するには?」となりました。

 

 

<ワークショップ 虐待や貧困の問題をX(旧Twitter)で拡散するには?>

Q1. 140字以内の文章でアピールしよう

・あなたは困っている子どもたちに声をかけられますか。困っている子どもたちが見えていますか。知らないことは罪です。目をそらさないで下さい。

・大丈夫という声は本当に大丈夫なのでしょうか。あなたの身近に困っている人はいます。些細な変化を気にしてみてください。それがその人の助けになるかもしれません。

・あなたの家庭環境は普通ですか??もし、何か悩みや辛い事があるなら、少しでもいいので相談をしてください。いつでもDMしてきてください。

 

Q2. #(ハッシュタグ)を考えよう

#繋げてください

#虐待から守ろう

#助けよう

#虐待なくなれ!

 

Q3. どんな写真を投稿すれば効果的か

・子供が公園を1人で寂しそうに歩いてる写真

・泣いてる子供に関心がない大人がいる写真

・虐待とも考えられる事例を簡単に挙げたイラスト

 

 

■教育現場でのコエールワークショップの可能性

今回、もしかしたら自分も当事者真っ只中の人もいるかもしれない、学生を対象にした初のワークショップでした。

初回に、自分のことで精一杯だから、社会問題までは考えられないという反応を示した学生も、3回目に自分とほぼ年齢の変わらないチャンプの登壇により、おそらく意識が少し変わったことと思います。この少しでも変わるということが、大切な一歩です。いずれ、もっと大人になったふとした瞬間に、この授業での出会いを思い出し、「自分にできることはなんだろう」と立ち止まって考えてくれることを願っています。

この機会を与えてくださった、関西福祉大学の森先生に感謝致します。

 

■関西福祉大学社会福祉学部 森歩夢先生より

子どもは、理不尽さや不適切な境遇にあってもそれを訴える方法がなく、おとなになれば過去のことにされ、大したことではない・なかったことにされやすい面があります。コエールは、埋もれがちな子どもの想いに丁寧に寄り添い、それらをリアルな「声」にして、社会に届けるという仕組みです。児童虐待や遺棄のニュースに心を痛める人は多いと思いますが、コエールを通してより多くの人がその実情を知り、身近な問題として認識できると思います。子どもの健やかな育ちを目指して、共に考え・行動する仲間になりましょう。

 

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