ニュース・活動報告

認定NPO法人ブリッジフォースマイル（B4S）は、株式会社オラクルの資金協力の下、児童養護施設や里親家庭の出身者など、経済的な理由から希望する進路を選ぶことができなかった若者を対象に、再チャレンジの為の奨学金『Reチャレンジ サポートプログラム』を提供しました。

■親を頼れない若者たちの進学後の現状

日本学生支援機構は、2020年4月から経済的に困窮する若者を対象に給付型奨学金を開始しました。例えば、自宅外から通う私立大学生であれば、入学金26万円、年間授業料70万円、奨学金約90万円が減免されます。これにより、施設等出身者等の大学や専門学校への進学率は2023年度43.1%まで上がっています（B4S全国児童養護施設退所者トラッキング調査2024。特別支援学校、定時制高校の卒業生を除く）。

しかしながら、制度開始以前に施設等を退所した人たちの中には、大学等へ進学することを諦めた人、進学したもののアルバイトと学業の両立に疲弊して中退してしまう人が少なくありませんでした。

合わせて、虐待サバイバーの中には、施設等出身者と同じような境遇にありながら、児童相談所に保護されず大人になった人たちの存在にも、関心が高まっています。B4Sでは、今年4月から親を頼れない10代から30代の若者を対象にした電話LINE相談事業を開始するなど、対象者を拡大しています。

■企業と共に支える、再チャレンジの為の奨学金制度

今回の『Reチャレンジ サポートプログラム』は、公的な支援の枠組みから漏れてしまった若者たちが自分の希望するキャリアを実現するため、進学や資格取得などで再チャレンジを目指すことができるように、開始しました。

本プログラムは、B4Sが企画運営し、日本オラクル株式会社が協賛しています。奨学生の面接選考には、日本オラクルの社員の方々も参加していただきました。

選考に携わった日本オラクル社員の声

「全員に奨学金を提供したくなるほど、評価が難しかった。」

「短い面接では伝えられないことが多いのではと感じ、もっと話を聞きたかった。」

「申し込んでくれた方、それぞれの人生の背景は、初めて会う人に話せる内容ばかりではないだろうと感じた。みなさんの困難さを想像することで精一杯だった。」

公的な支援も広がりつつある中で、それでも支援の網からこぼれてしまう人が、まだまだたくさんいることに、関係者一同、改めて気がつきました。今回の奨学金は、「re:チャレンジ」と題して募集したものなので、その趣旨に即した方を選ばせていただきましたが、応募されてきた方それぞれに支援が必要であること、現実にはそれが足りていないことが課題として残っています。

私たちが支えられる範囲はごく限られていますが、それでもできることを行い、このような支援の輪が広がることで、親を頼れずとりこぼされている若者たちの未来を応援し続けたいと思います。また、今回、企業である日本オラクルに協賛いただけたことで、社会も彼らを応援している、というメッセージを若者たちに届けられたことを大変嬉しく思っています。虐待や貧困は、社会問題であり、若者本人の責任ではありません。さまざまな企業が多様性を持って、多くの若者の未来を共に応援してくださるようご協力よろしくお願いいたします。

この奨学金は、資金面がハードルとなり、進学や資格取得を諦めていた方を対象に、再チャレンジの為の資金を援助し、新たなスタートを切る為の機会を提供するものです。

（専用の応募用紙はありません。フォーマットも自由です）