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退所者支援の現場から〈2〉孤独と孤立
イメージ画像:退所者支援の現場から【連載 02】孤独と孤立

私は10代の頃から「孤独は人を殺す」と思うようになり、今もその考えは変わっていません。
それが他者に向かうのか自分自身に向かうのかは人によって異なると思いますが、視界に多くの人が映れば映るほど、人の声が聞こえれば聞こえるほど、独りを感じてしまう瞬間が訪れる頻度は高まり、心が痩せ細っていくのではないかと想像します。
本当は孤独ではなくて、誰かの心のなかにちゃんと自分がいるかもしれません。しかし、痩せ細った心の状態ではその繋がりも見えなくなって、気がつくと一人しか立てない足場にいるような、孤立感を覚えるのかもしれません。

 

誰かの存在を感じられながら生きられる人は、孤独ではありません。具体的には、例えば「死にたい」「何かを壊したい」という衝動に駆られた際に浮かぶ誰かの顔があれば、孤独ではないのだと私は思います。

 

退所者と関わるなかで会話を通して確認していることのひとつに、「この人の周りにはどんな人がいるんだろう」「この人は誰の存在を感じながら生きているんだろう」ということがあります。
とはいえ、「この人にとって何らかの決断を踏みとどまらせるのは誰の顔か」までを確認することは容易ではありません。関係性が深まったり長くなったりしている数名について、ぼんやりと「この人の顔を浮かべるのかなぁ」という程度です。

 

浮かぶ顔はきっと誰でもよくて、これを読んでくださっているあなたを含む誰もがその存在になれる可能性があります。施設職員や里親でなくても、例えば通院していた医師でも、通っていた学校の先生でも、私たちのようなアフターケア団体のスタッフでも、よいのだと思います。
私たちは、施設を出るまでの間にできるだけ多くの出会いを経験してほしいと、いろいろなプログラムを提供しています。『踏みとどまるための誰か』と出会ってもらうところまで考えているわけではありませんが、ひとつの出会いが大きなきっかけになり得ると信じて、これからも退所後支援に関わってまいります。

 

(事務局スタッフB)

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