ニュース・活動報告

退所者支援の現場から〈3〉施設退所者の住まい

施設で生活する子どもたちの多くは、高校を卒業すると同時に施設を出なければなりません。退所後の住まいは大きな懸案事項です。

 

退所後、アパートで一人暮らしをする際、本人名義で借りる場合は保証人の問題があります。かつては、施設長が保証人となり、家賃を滞納したり、行方がわからなくなった場合、施設長もしくは施設が持ち出しで負担することが問題となっていました。

 

2007年以降、公的支援が少しずつ整い始め、施設長が保証人となって損害を被ったとしても、都道府県などが実施主体となる「身元保証人確保対策事業」で賄われるようになりました。この事業の保証期間は、現在、退所後2年以内の退所者であれば、1年ごとの更新で原則3年、都道府県などが必要と認める場合は最長4年となっています。

 

就職する場合、福利厚生に社員寮がある会社を選択することもあります。借り上げ寮として民間のアパートに住む場合もあります。その場合、連帯保証の心配はありませんが、仕事と住まいがセットになっているため、仕事を辞める時には同時に住まいも失うことになり、不安定な状況といえます。

 

自立援助ホームやグループホームなど、ケアする人がいる福祉施設に位置づけられる住まいもあります。障害者手帳を持っている場合は、障害者用のグループホームに入ることができます。大学などへ進学する場合は、自立援助ホームに卒業するまで住むことができるようになりました(自立援助ホームは本来、就労して自立を目指す人のために半年程度の短期間住まわせることを目的としています)。

 

高校卒業を機に自宅に戻ることもあります。しかしながら、家庭では上手く行かない理由があって施設に入ったことを考えると、自宅での生活は簡単なことではありません。
少しずつ制度が整ってきたとはいえ、自由に選べるほど選択肢は多くはありません。生活の最も基本である住まいをいかに安定的に保証するかが課題となっています。

 

(事務局スタッフC)

 

児童養護施設退所者で就業している者の住まいの状況(全国児童養護施設調査2018:B4S実施)

 

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