ニュース・活動報告

施設に訪問して、出張セミナーを開催(自立支援セミナー活動報告)
石神井学園自立支援セミナー画像

ブリッジフォースマイルでは、より多くの子どもたちを支援するため、さまざまな形の「自立支援セミナー」を実施しています。「自立支援セミナー」は、スタッフや社会人ボランティアが児童養護施設などに出向いて行うワーク形式の「出張型」や、複数の施設や里親家庭の子どもたちを集めて行う「集合型」があります。

 

セミナーのテーマは、「巣立ちの準備のための金銭教育」「キャリア教育」「コミュニケーション」など。施設や子どもたちが抱えるニーズ・課題を施設職員さんたちからヒアリングをして、その時々に必要なことをテーマに行っています。2021年度は120回実施し、のべ953人の中高生が参加してくれています。

 

コロナ禍以降は、オンラインで実施するセミナーも増えています。「地元で巣立ちプロジェクトが行われていない」「一人で外出してセミナー会場に行くのが不安な子どもがいる」などの要望に応えるものになっていると自負しています。

 

今回は、児童養護施設「東京都石神井学園」で行った出張型の自立支援セミナーの様子をお届けします。


◆ほぼ月1開催。対象、内容もざまざま

2022年度、東京都石神井学園では自立支援セミナーを、毎月のように開催しています。
今年度は
・高校を対象としたネットリスクを考えるセミナー
・中学3年生を対象とした高校進学に向けたセミナー
・高校1・2生を対象とした、職業興味検査・仕事探しセミナー
・高校生を対象とした奨学金作文対策セミナー
などを行っています。

 

「ネットリスクセミナー」はオンラインで開催。
携帯やインターネットは便利なものだけど、気を付けなければいけないこともあります。SNSやネットトラブルに関する動画を視聴し、その後ディスカッションを行います。
5人の社会人ボランティアのみなさまには、ディスカッションのファシリテーションをお願いしました。
施設を退所し、進学するとオンライン授業を受けることもあります。そんな時にも役立つように、Zoomの使い方もご紹介しました。

 

「高校進学に向けたセミナー」は中学3年生を対象に夏から冬にかけて何回かに分けて開催します。
最初のセミナーでは、「高校は義務教育ではないのに、なぜ、行くの?」とか、高校を選ぶ際のヒントになるよう、自分が何を大事に思っているのかを知る「価値観ワーク」「興味関心ワーク」を行いました。
秋から冬にかけては、自己PR作文を書いてみたり、面接の練習をしたりしていきます。

 

「職業興味検査・仕事探しセミナー」は、事前に高校生に職業興味検査を受けてもらい、その結果を見ながら、自分にあった仕事を探していくものです。社会人ボランティアと一緒にディスカッションし、ネットで検索しながら、興味のある仕事・職業を調べました。

 

「奨学金作文対策セミナー」は、施設に訪問して実施しました。
受験はまだ少し先ですが、入試が始まる前に学費の準備を始める必要があります。そこで、奨学金申込みにつきものの志望動機などの作文を書いてみましょう、というセミナーです。
志望動機が明確で、サクッと書き上げることが高校生は、社会人ボランティアとディスカッションしながらその子らしさがでるものに仕上げていきます。まだまだ動機が明確でない高校生も、これまでに学校でやってきたことや、好きなこと、楽しいと感じることなどを社会人ボランティアに話しながら、「なぜ進学したいのだろう?」「なぜ、それを志望しているのだろう?」を探り、少しでも文章が作れるようにがんばっていました。


◆石神井学園の職員さんより:「奨学金作文対策セミナー」について

1回目は高校2・3年生が参加。
「なぜ、進学したいか」「将来の夢」をテーマに書いています。

 

作文には苦手意識が…という子も多くいます。
でも、基本的な作文の構成や、どんなことを書くかと材料をたくさん集めることで、作文は書きやすくなるんです!!

 

ブリッジフォースマイルのボランティアのみなさんとお話をしながら材料集めをして、よりよい作文に仕上がっていました(^^♪

 

2回目は高校1・2年生が参加。
びっくりするぐらい、すぐに作文に取り組み始めていました!

 

作文のボリュームを増やし、内容を具体的にするためにワークシートを使って材料集めも頑張っていました。

話をするうちに、「これからどんなふうに学校選びをすればいいかな」「自分がなりたい職業のためにこんなこともやっておいたほうがいいかも」と、進路にむけた話が出来ている子もいました。

 

来年の今頃は、実際に取り組んでいる時期。
この経験がよいきっかけとなってほしいと願っています☆彡

 

自立支援セミナー@石神井学園の様子

 

 

◆「奨学金作文対策セミナー」にサポート役で参加した社会人ボランティアの声

「その場に行って体験し、そのときに感じたことを大切にしたい」。

こうした思いから、私は施設で実施する自立支援セミナーに魅力を感じ、何度か参加してきました。特に回数が多いのは石神井学園でのセミナーです。
7月に参加した奨学金作文セミナーでは、高校生とペアになり、将来の夢や勉強したいことについて作文を書きました。作文セミナーというと、書き方のテクニックを教えると思われがちです。しかし私は、何を書きたいのかを引き出していくことが一番大事なのではないかと思っています。私が出会った高校生は「そんなに書くことがない」とよく言うのですが、よくよく話してみると、その子にしかない素敵なエピソードをたくさん持っています。話していくうちに子どもたちがエピソードに気付き、言葉で説明して、それを一心不乱に原稿用紙に書いていく。これこそが一番楽しいプロセスであり、セミナーの醍醐味だと感じています。

(シイラ)


自立支援セミナーは、自己PRや面接練習、職業調べなどのテーマがあり、希望者を募るため、参加者の意欲が高いこと、マンツーマンの場合も多く、個別につっこんだ話ができること、気になることがあった場合に見学している施設職員さんに直接フィードバックできることなどが良いと感じています。基本的には単発のセミナーですが、中にはシリーズ的なものがあったり、同じ施設に行くと子どもたちが自分のことを覚えていてくれたりなど嬉しいこともあります。

記事にある奨学金の作文のセミナーでは、中国との交流イベントで学校代表としてスピーチする予定の高校生と話をすることができ、将来は欧州でスポーツマネージメントをしたいという希望を聞くなど逆に刺激を受けました。

他の施設で実施したセミナーでは、後日、参加者から就職や進学ができたとのお礼のメッセージを貰ったことがあります。セミナーが就職、進学という彼らの大きなライフイベントに少しは役に立っていることが実感しました。

(けむり)

 

自立支援セミナー@石神井学園の様子02


本記事を作成するにあたり、職員さんのコメントと写真は石神井学園ブログより転載させていただきました。ご快諾いただいた東京都石神井学園のみなさまに感謝いたします。

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