ニュース・活動報告

“初参加”の巣立ちプロジェクトを振り返る
巣立ち初参加によせて(れおにゃん寄稿)

2021年の8月から半年間に渡って開催された巣立ちプロジェクトが1月に無事、終了しました。

このプロジェクトは卒業と同時に施設を離れる高校生を対象に行なわれます。

 

高校を卒業すると、それまでとは打って変わり接する人や組織・団体の幅、そして行動範囲も広がります。新たな出来事が多く待ち構える次のステージへ“巣立って”いく前に、社会の一員として安全に過ごすために必要な心構えや暮らしの知識を、「サポーター」と呼ばれる社会人ボランティアの大人たちと共に学んでもらおう!というものです。


…と、ここで少し中座して個人的な話をさせてください。


私は2020年にB4Sのサポーター登録をしたのですが、参加の背景には仕事を通じて思った“疑問”があります。

 

スポーツを通じて出た疑問

 

スポーツライター&IT企業の社員という2つの顔を持ち仕事をする中、日々、プロから学生、中高生まで多くのスポーツ選手と接しています。彼ら彼女らの中にはいわゆる逆境を乗り越えてトッププロまで登りつめた人もいます。ここでの逆境の例として、家庭環境に伴う経済的な格差が挙げられます。

 

いわゆる“片親“です。

 

シングルマザーの家庭で育ち苦境もありながら、反骨心・ハングリー精神を持って成り上がっていった選手は意外と多いもの。与えられた厳しい環境を乗り越えて自身の夢や目標を達成するその姿を見て勇気づけられたことは、多々ありました。しかし、そこでふと思ったのです。

 

「片親の選手はいるけど、孤児の選手は見たことがないな」

 

理由もいくつか考えてみました。経済面のサポート(スポーツを続けるにはお金がかかります…)をする仕組みや体制が整備されていないのかもしれない。あったとしてもそれを知る機会がないのかもしれない。そもそも諦めているのかもしれない。“進路選択の幅”が少ないのかもしれない。

 

いろいろ張り巡らしましたが、そもそも現場に行かないと答えは出てこないと思いました。そしてインターネットで調べた結果、たどり着いたのがB4Sでした。

 

組織に関わるにあたって、個人的な目標をひとつ設定しました。それは、子どもたちに自分の経験や考えをできるだけ還元することです。いまいま自分は好きな分野での仕事ができています。だからこそ、そこに至る前の思考や行動もそうですし、楽しさややりがいという話ができたらな、と。もちろん、その過程で見た痛い経験も含めて…

 

そして、それができる場が巣立ちプロジェクトでした。

 

高校生と対面して感じた“驚き”

参加を申し込み、私は東東京の土曜日グループに振り分けられました。東京とその近辺の都道府県の児童養護施設に通う高校生たちと、私のような大人のサポーターそれぞれ約10人ずつが1つのグループになって、半年間に渡るプロジェクトを共にします。

 

プロジェクト内で取り組んだワークの一部を以下に記します。

 

・ひとり暮らし物件の探し方
・友人感の金銭トラブル
・性との向き合い方
・選挙の仕組み

 

例えば家探しでは物件のチラシを見ながら情報を読み解く作業をしたり、契約書を読み込んで不利な条項を探したり(後者に関しては自分も得意なことではないので若干不安でしたが)。

 

男女それぞれがパートナーのからだの仕組みを理解して、それに対してどう向き合うべきなのか。2つの対立候補からどちらをどういう理由で投票するか、そしてその理由はなぜなのか。これらのトピックを同じグループの高校生と話し合いました。

 

毎回のワークの中で感じたことは、高校生達の取り組む姿勢です。文字通り独り立ちをするに当たってそれぞれのテーマを“自分ごと”として捉え、こちらのアドバイスに耳を傾けてくれました。

 

私にとっては初めてのB4Sでの活動であり、もちろん施設に通う子どもたちと接するのも初めてでした。正直申し上げますと、かなり不安がありました。これまで施設の子どもと接したことは人生でなかったので、良くも悪くもいろいろと想像を巡らせてしまっていたのです。

 

しかし、蓋を開けてみれば巣立ちに参加していた高校生たちは自分が日常的に接する同世代の子たちとなんら変わりませんでした。複雑な環境で育ったからこその思考力の強さや自立心は、同年代と比べても強いものがあるのでは?と思ったほどです。

 

少なくとも、高校時代の自分よりは、未来の自分がありたい姿に対して主体的に意識を傾けようとしていたように感じます。

 

グループワークの中でも、幾度も感心させられ、救われることも多かったです。全6回のプログラムもあっという間で、大きな充実感を味わうことができました。

 

4月からの巣立ちに向けて

毎回丸一日を使ったワークで高校生と会話する中で、改めて自分自身の視野も広がったと思います。また、当初の目標として掲げていた“自分の知見を還元する”ことも少なからずできたのでは?と思います。

 

総じて、巣立ちに参加できて非常に良かったな、と。ただ、これで終わりではなく、4月からは退所者向けの自立ナビも始まります。巣立ちで交流した子どもたちが次のステップでも成長をしていく過程に寄り添えることに、責任感を覚えつつも非常に楽しみです。

 

れおにゃん
サポーター

Bridge for Smile

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