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77.8%が「健康」と回答。しかし…【厚生労働省が公表した「実態調査」によせて(第3弾)】
2021年4月に厚労省から公開された「児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査」を読み解くシリーズ、第3弾。今回のテーマは「健康」です。
 

◆77.8%が「健康」。一方で、20.4%が「受診できなかったことがある」と回答。

アンケート結果では、「健康である」の割合が最も高く77.8%。次いで「通院している」の割合が14.1%、「障害認定を受けている」が7.3%、「通院してないが体調が悪い」の7.1%になります。
健康でない人にはそもそもこのアンケートが行き届いてない可能性や、届いていたとしても回答できないという可能性を考えると、健康の割合が高いのは当然だとは思いますが、それでも健康の割合が高いことはほっとします。
 
とはいえ、次の質問で少し気になることが出てきます。
「過去1年間に病院や歯科等を受診できなかった経験の有無」になると、20.4%が受診しなかったことがある、という回答をしています。
受診できなかった理由は、「お金がかかるから」が66.7%と最も高く、次いで「時間がないから」が45.8%になっています。その他には、「どの病院やクリニックに行けばいいかわからないから」「通院等について相談できる人や付き添ってくれる人がいないから」「保険証がないから」というのもありました。
経験的には、生活保護を受給している若者は積極的に病院を活用しているケースが多いと感じますので、やはりお金の問題がネックになっているのではないでしょうか。
 
もうひとつ気になるのが、「保険証がない」が7%程度いること。かなり切実だと感じます。
正規雇用の場合、健康保険料は給料から天引きされるケースが多いので、金銭的な負担感は感じませんが、会社を辞めてフリーターになってしまうと、負担感が一気に増すのでしょう。このタイミングで保険証の手続きをしない若者が一定数いるように思います。日頃から、個別支援をしている若者が会社を辞めることになった場合は、「健康保険の手続き終わった?」という声掛けは必須だと感じています。
 

◆困ったことがあったときは施設に相談できている?

本当に困ったときには施設に相談するのが原則なのですが、今回の全国調査に回答している若者はさすがに施設との関係性が強い人が多いようです。「半年に1度以上、施設に連絡をしている」と答えた若者が半数を超え、「1年に1度以上になる」と7割以上でした。出身施設と連絡を取れているなら、多少安心できるなあと感じました。
子ども・若者支援担当 矢森 裕章
自立支援の現場で、特に気にかけたいことを3つあげるとしたら、「仕事(進学者の場合は学校)」「金銭」「健康」ではないかと思います。そのうち、仕事と金銭に関しては前回のコラムで触れたので、今回は健康にスポットを当てました。
次回は「措置解除前にこんなサポートがほしかった」という点に焦点をあててみようと思います。

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