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新たな取り組み「継続支援計画」
写真:コラム【精神的不安04:新たな取り組み「継続支援計画」】

これまで、自治体や児童養護施設ごとにばらつきがあった、施設を巣立った子どもたちへの支援(アフターケア)ですが、2017年ごろからようやく変わってきました。「施設を出た後に、自分がどんな支援を受けたいのか/受けられるのか」について、本人参加のもとで計画を立て、定期的に見直す仕組みができ始めています。

 

◆アフターケアの計画を立て、進捗を確認する枠組み

児童養護施設に対しては児童福祉法で、巣立った後の継続支援(アフターケア)が義務付けられています。しかしこれまでは、具体的な内容が決まっておらず、施設によってかなりのばらつきがありました。また、里親家庭については、アフターケアは義務付けられていません。

 

しかし2017年度になって、国が「社会的養護自立支援事業」を開始。子どもが施設や里親家庭を出る前に、「支援コーディネーター」が子ども本人、施設職員や里親などの意見を聞きながら「継続支援計画」を策定して、それに基づく支援を提供することになりました。

 

この取り組みは、既に実施している自治体とまだ始めていない自治体がありますが、これまで各自治体や施設、里親家庭にゆだねられていたアフターケアの内容について、考えるための枠組みができたと言えます。ブリッジフォースマイルは、横浜市、佐賀県、熊本県から受託し、継続支援計画の「支援コーディネーター」の役割を担い、立案や実行の支援を行っています。

 

継続支援計画は、本人、支援団体、児童相談所職員、児童養護施設職員や里親が話し合って策定します。内容は多岐にわたり、生活習慣、職場での人間関係、金銭管理などの社会的自立の能力、親との関係性の整理などでどのような姿を目標にするか、そして、そのためにどのような支援をするか、についても明文化していきます。

 

明文化することで、子どもは、施設や里親家庭を巣立った後に、どんなサポートが受けられるかを知ることができます。また、何をすべきかが明確化されることで、関係する大人たちにも責任が生じます。その後も子どもが原則22歳になる年度末まで、1年に1回程度、定期的に面談を行って進捗を確認します。

 

◆子ども自身が参加する「画期的な取り組み」

それまでにも、施設では子ども一人ひとりに自立支援計画を立て、それに基づいた支援を行っていましたが、計画の策定に子どもを参加させることはほとんどなく、施設職員が主体で作っていました。新たに始まった「継続支援計画」は、子ども本人も参加するところが画期的です。

 

児童養護施設や里親家庭で暮らす子どもたちの多くは、それまで、自分の処遇について、大人に勝手に決められてしまうことばかりで、無力感を持っている子も少なくありません。これからどのように暮らしたいか、キャリアをどう築きたいか、などについて丁寧に聞いてもらい、それを実現するために周囲がどう支援してくれるのかを確認していくことは、子どもたちが将来を前向きにとらえ、頑張る力を持つことに大きなプラスになるはずです。

 

 

近年、継続支援計画のフォローアップという新たな役割も担うようになってきたブリッジフォースマイルのプログラム「自立ナビゲーション」の記事はこちら>>

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