ニュース・活動報告

【プレスリリース】全国児童養護施設へ実施『親権者の同意に関する調査』公開

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親の同意を得られず予防接種を受けられない子どもが3割

あなたは虐待を受けた子どもたちのその後を知っていますか?

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虐待防止月間によせて 認定NPO法人ブリッジフォースマイルは、全国の児童養護施設へ実施した『親権者の同意に関する実態調査』の結果を公開いたしました。

( 47都道府県の児童養護施設640件へ実施 総回答数120件 有効回答数83件)

 

虐待や育児放棄、親の精神疾患、経済的理由などで児童養護施設に入る子どもたちの9割に親が存在します。適切な養育環境でないと判断され、親から離し社会的養護の下に保護されても、今の制度では様々な場面で「親の同意」が求められ、親権という壁が子どもの権利を阻みます。

 

2019年7月21日に私たちが実施したイベントで、児童養護施設で育った経験を持つ2名の若者が親の同意を得られないために困った経験をスピーチしました。具体的には、インフルエンザの予防接種が受けられなかった事、パスポートの取得に困った事、でした。これをきっかけに私たちは、全国の児童養護施設へ親権者の同意に関する実態調査を実施いたしました。

 

親の同意が必要なものには、主に
●予防接種や疾病・ケガの治療などの医療行為
●携帯電話の購入や保険の加入などの契約行為
●パスポート・ビザの取得や婚姻届などの行政手続
●高校・大学等への入学や奨学金手続きなどの教育関係
があります。

 

以前は、親の同意が必要なこういった手続きを児童相談所や児童養護施設が行うには、親権喪失の申し立てをしなければ法律上難しい状況でした。予防接種や高校への入学といった日常的な対応にさえも困るこの状況をなんとかしようと、関係各所が動いたことで平成24年(2012年)に児童福祉法が改正されます。この改正により、「親権者が、児童相談所長や児童福祉施設長などが子どもたちに対して行う監護・教育及び懲戒に関する措置を不当に妨げてはならない」ことが明確化され、厚生労働省から通達『児童相談所長又は施設長等による監護措置と親権者等との関係に関するガイドライン』が出されました。

 

児童福祉法では、「児童相談所長や児童福祉施設長が児童に対し監護・教育及び懲戒に関しその児童の福祉のために必要な措置をとることができる」としていますが、予防接種実施規則では「保護者からの文書による同意が必要」と明記されていることから、平成28年(2016年)3月31日厚生労働省から、予防接種に関し「児童相談所または児童福祉施設において、保護者の包括的同意文章を事前に取得しておいて差し支えない」と明記された通達が出されました。

 

結果、児童養護施設では、入所時に「包括的同意文書」を取る形で運用が進められていますが、その運用方法や適用範囲には、施設によって大きな差が見られます。また、包括的同意文書を取れない場合(児童福祉法28条適用ケースなど)の方針も、明確ではありません

『親権者の同意に関する実態調査』では、この運用の部分も明らかになりました。


「親権者の同意」に関する実態調査(児童養護施設編)】

調査実施者:特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル
調査対象:全国の児童養護施設/ 640件
調査時期:2019年9⽉20⽇(⾦)~9⽉30⽇(⽉)
調査方法:インターネット調査
有効回答数:83件
調査目的:

児童養護施設に⼊所中、および退所後未成年者に関して「親権者の同意」が必要な場面について、現在どのような現状があるのか実態を把握する


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