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【当事者インタビュー】「見てくれている人は必ずいる。一人で抱え込まず、周りを頼って」ショウさん

現在20歳の「ショウさん」は、児童養護施設を退所してから2年になりますが、上手にブリッジフォースマイル(B4S)など、周りの人たちを頼りながら生活しています。「僕は、“受援力”がある方だと思う」というショウさんに話を聞きました。

 

■B4Sとの出会いは5年前

 ショウさんは、小学5年生のときに児童養護施設に入り、特別支援学校高等部の卒業と同時に施設を退所しました。現在は東京都の「通勤寮」で生活しながら働いています。

B4Sとの出会いは高校1年生だった5年前。「金銭管理」「ネットリスク」に関するオンラインでの自立支援セミナーがきっかけでした。「講師がとにかく面白い人で、毎回爆笑しながら参加していたのを覚えています」と振り返ります。

B4Sのセミナーに「楽しい!」という印象を持っていたショウさんは、高校3年生の夏に開催された巣立ちプロジェクトにも参加しました。

巣立ちプロジェクトは、児童養護施設や里親家庭からの巣立ちを控えた高校3年生を対象としたプログラムで、引っ越しの手続きや金銭管理、危険から身を守る方法、健康管理、性教育など、一人暮らしに必要な知識やスキルを、多くの社会人ボランティアのサポートを受けながらワーク形式で学びます。

「ボランティアの人が、僕の話をたくさん聞いてくれたのが印象に残っています。高校で学んでいること、将来のこともたくさん話しました。高校では、ビルクリーニング技能士の資格を取ったんですが、ある時、東京都のイベントで技能の実演をすることになったんです。そのイベントにも来てくれて、とてもうれしかったです」

 

■後輩にもB4Sの「巣立ちセミナー」をレコメンド

高校3年生の秋ごろは、就職活動への不安があったり、学校の先生との関係がぎくしゃくしたりと、「しんどいこと」もありました。「でも、施設の職員さんたちが味方になってくれたことと、巣立ちプロジェクトが楽しかったおかげで何とかやりすごせました」と話します。施設では、1学年下の子に「高校3年生になったら絶対(巣立ちプロジェクトに)参加した方がいい。あなたのためになるから」と勧めてくれたそうです。

 

巣立ちプロジェクトに参加するとポイントが貯まり、終了時にはそのポイントを使って「トドクン」という寄付仲介プロジェクトを介して、さまざまな生活必需品がもらえます。ショウさんはスーツを選びました。当時を知るB4Sスタッフは、「『社会人になったら絶対必要なのは、スーツ。これを来て、就職面接に行くんだ』と話してくれたときの、ショウさんのキリっとした表情が印象に残っています」と話していました。

 

 

■居場所は「心細くなったとき足が向く場所」

ショウさんは児童養護施設を退所する前に、施設の支援を受けながら短期間、アパートで一人暮らし体験をしたそうです。「そこで、施設を出てすぐに働きながら一人暮らしをするのは、僕には難しいとわかりました」。そのため、東京都の自立訓練施設である通勤寮で2~3年間生活しながら準備をしたうえで、グループホームに移るという見通しを立てました。

「通勤寮は、知的障がいを持つ人が、職員の支援を受けながら生活スキルを学び、自立の準備をするところです。ここでの生活では、巣立ちプロジェクトで学んだことも、かなり役に立ちました」

 

施設退所後は、バーベーキューパーティーや、ボルダリングなど、児童養護施設や里親家庭を巣立った仲間たちと社会人ボランティアが集まるB4Sのイベント「アトモプロジェクト」にも参加。また、最近転職し、仕事が忙しくなったため少し頻度が減りましたが、B4Sの居場所「B4S PORT」もよく利用しました。B4S PORTは、さまざまな理由で親を頼れない若者が、気軽に立ち寄れる場所です。

「僕はよく、ゲームをしたり、スタッフやほかの利用者と話したりしていました。通勤寮は食事が出るので、あまり料理をする機会がないんですが、僕は料理が好きなので、B4Sの居場所では料理を手伝ったりするのも楽しいです。信頼できるスタッフやボランティアもいるし、これからも心細くなったときに行くと思います」

 

■困ったことはすぐに相談。周りの支えのおかげで今がある

ショウさんは自分の障がいについて、「2つ以上の情報の処理が一度にできず、臨機応変な対応やマルチタスクが苦手。例えば仕事の指示で『今日はまずこれとこれをやって、その次にこれをやって』と一度に言われると、混乱してフリーズしてしまいます」と説明します。仕事や人間関係でつまずきがあると、どんどんマイナスに考えてしまい、気持ちの切り替えができないという傾向もあるそうです。

 

しかし最近は、悩みや困ったことがあると、B4S PORTのスタッフやボランティア、通勤寮の職員に相談し、一緒に対処方法を考えることで、「気持ちの切り替えができるようになったし、自分を客観視して、『次はこうしよう』と前向きに考えられるようになってきた」といいます。「『職場の人に、悪口を言われた』と落ち込んだときにも、すぐに周りの人に相談しました。もらったアドバイスが役に立つ時もあるし、話しているうちに自分で解決の糸口を見つけられることもある。壁にぶつかった時に、周りの大人に相談して支えてもらってきたお陰で今があります」

 

■誰かが必ず見てくれている

周りの人を頼りながら乗り越えよう。ショウさんがそんな風に考えられるようになったのは、B4Sの巣立ちプロジェクトで話を聞いてもらったり、B4S PORTで相談に乗ってもらったりした経験に加え、施設での経験も大きかったようです。

「高校2年生くらいの時、施設の中の雰囲気が少し良くなかったんです。それで僕が3年生になって、『何とかしたい』と思って、明るく挨拶をするようにしたり、ほかの子たちにも『挨拶しよう』と声を掛けるようにしたんです」

 

それが功を奏して、施設の中の雰囲気が少し良くなったところで迎えた高校卒業と施設からの巣立ち。ショウさんは施設での「卒園生を送る会」で、卒園生の代表として挨拶をしてほしいと職員の先生から言われました。

「職員の皆さんは、僕のことを見てくれていたんだと思いました。ちゃんとやっていれば、見てくれている大人は必ずいる。『誰も見ていてくれない』なんていうことは絶対にないんだと思うようになりました」

 

■受援力、「僕にはあると思う」

児童養護施設で暮らす子どもたちの中には、それまでの虐待などの経験から、大人への強い不信感を抱え、退所後に生活や仕事などで困ったことがあっても誰にも相談できず、苦しむ人も少なくありません。

しかしB4Sでは「自立とは、自分1人で何でもできるようになることではない」と考え、「受援力」を重視しています。受援力とはもともと、災害時に外部からの支援をスムーズに受け入れるための知恵として提唱されたもので、困ったときに誰かに助けを求めたり、支援を受け入れたりする力を指しています。

そんな話をしたところ、ショウさんは「僕には『受援力』があると思う」と言って、こんな話をしてくれました。

「僕も、高校生のときには『大人なんて信用できない。誰も頼ることはできない』と思い込んでいました。でも、社会に出ると、周りの人を頼って味方を作っていかないと、どんどん苦しくなってしまう。だから、施設にいる子たちも、一人で抱え込まないようにしてほしい。もし、1カ所に相談してみてダメでも、必ず頼れる場所はほかにもあるので、あきらめないでほしいです」

 

■不安はあるけど、きっと大丈夫

ショウさんは、来年春には現在生活している通勤寮を出て、グループホームに移ることになっています。「もちろん不安はあります」と言いますが、「通勤寮に入った時も、最初は職員さんとあまり話せなかったのが、今ではいろいろ相談できるようになりました。だから、今度もきっと大丈夫だと思います」と前向きです。

楽しみなこともたくさんあります。「B4Sのイベントも、楽しそうなものがあればぜひ行きたいです。新しい仕事もちゃんと続けて安定させたい。働いてお金を貯めて、ゲームを買ったり、友達と出掛けたりもしたいです。猫が好きなので、猫カフェにも行きたいな」

居場所では、ほかの利用者にも声をかけて一緒にゲームをしたりと、周りの人を自然に巻き込んで楽しむのが上手なショウさん。これからも、B4Sのイベントや居場所で、元気な姿を見るのを楽しみにしています。そして、これからもずっと「いざという時に頼れるところ」の中に、B4Sを入れておいてくれるとうれしいです。

 


■運営事務局からのメッセージ

B4S独自で実施するセミナーやイベント、そして「トドクン」で子どもたちが受け取る寄付品は、自治体からの予算が使用できないため、みなさまからのご寄付を活用させていただいています。いつもご支援いただいている個人・法人の寄付者のみなさまに、この場を借りて心より感謝を申し上げます。

 

また、「自分を気にかけてくれる人がいる」と当事者たちが思える環境があることが、彼らの日々の生活の中では大きな支えになっています。B4Sでは、当事者を支援するための研修制度がしっかりと整っていますので、「ボランティアをしたことがなくて不安」という方でも、安心してはじめの一歩を踏み出していただけます。

私たちと一緒に、ぜひ、子どもたちに明るい未来を届けるご支援をいただけますよう、宜しくお願い申し上げます。

 

 

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