
ニュース・活動報告
ブリッジフォースマイル(B4S)は2011年より、親を頼れない経験をもつ当事者の声をスピーチイベント『コエール』で届けてきました。共に行動する仲間を増やすため、スピーチはYouTube【コエールチャンネル】で公開し、さらに、参加型の『コエールワークショップ』を行っています。
コエールワークショップでは、イルミネーター(虐待等を受けた当事者)が、スピーチでは語りきれなかった経験を伝え、参加者からの質問にも答えていくことで、社会的養護に関わる問題を一緒に考えていきます。
コエール×人事研修『社会課題への理解を深め、「住みやすい地域社会」を考える』
今回コエールワークショップを開催いただいた東武不動産株式会社様(以降、東武不動産)は、スカイツリーを有する押上地域(東京都墨田区)を拠点に、東武沿線を中心とした首都圏で、街づくりや開発などの総合不動産事業を展開されています。梅雨空の6月中旬、同社の若手社員の皆様(入社1年目から3年目の23名)を対象に、『社会課題への理解を深め、「住みやすい地域社会」を考える』をテーマに、人事研修として開催いただきました。

登壇したのは、イルミネーターの「しま」。
シングルマザー家庭で育ったしまは、厳しい経済環境に加え、母親のパートナーから虐待を受けた経験があります。また、小学校4年生のときに一時保護を受け、施設へ入所し家族と離れて生活をしました。そんな過去を抱えながらも、現在は看護師として自立した生活を送るとともに、海外へ留学をするなど、自分のやりたいことを着実に実現しています。また、大学等でのコエールワークショップ登壇に加えて、今年からブリッジフォースマイルの巣立ちプロジェクトにボランティアとして参加をします。自分と同じ境遇の子どもたちのことを想い、そのような子どもたちを減らすために、積極的に活動しています。
しまは最初に、参加者自身の子ども時代を振り返る問いかけをしました。
「習い事はしていたか」「家族旅行に行ったか」という問いに参加者の多くが手を挙げる中、自分の幼少期——母親が仕事で不在の間に受けた暴力、早朝から外へ逃げ出すように過ごした日々——を率直に語ります。参加者は聞き入りながら、自分がイメージしていた「子ども時代」との違いを肌で感じていました。
そんなしまの生活が大きく変わったのは、小学校4年生で一時保護された時でした。
子どもとしては苦しい選択を迫られ、苦渋の末に家族と離れて施設で暮らすことを選択した思いを率直に話します。経験自体は壮絶な話ばかりですが、そんな中にも家族に対する愛、周りにいた方への感謝、前を向いて歩こうとする姿勢が随所に見られ、参加者は言葉では説明しきれない感情を抱えていきます。自己紹介パートは、「人はいつからだってやり直せる」というメッセージで締めくくられました。
続いて、しまの経験や思いを掘り下げていくパネルディスカッションを、ファシリテーターとB4Sスタッフを加えた3名で行います。
しまは子どもの頃を思い返し、特別なことではなく、少しでも気にかけてくれていると感じられるだけでも違ったのでは、と思いを話してくれました。さらに、親と離れた経験を持つしまだからこそ、虐待が疑われる際の通報に対する複雑な思いもあります。この部分は、「怪しいと思ったら通報を」というスタッフの考え方とは相いれない部分もあり、参加者はこの社会課題の難しさへ考えを深めていた様子でした。

パネルディスカッションの後半には、東武不動産の事業領域とも重なる、地域社会の在り方について議論を展開していきます。
しまのような経験をする子どもたちにとって「住みやすい地域社会」がどのようなものか、しまの思いを掘り下げていきます。人目をはばかりながら逃げるように遅くまで公園で過ごした経験から、安心して過ごせるコミュニティスペースの存在の大切さや、少しおせっかいだけれど親切な近所のおじいちゃん・おばあちゃんがいる、多世代コミュニティの良さなど、議論が広がっていきます。


最後には、参加者で小グループを作り、『押上地域がどういう場所になると、子どもが幸せになると思うか?』という対話を行いました。参加者からは、特別なことをする勇気や時間はないけれど、意識を少し向けてみることで社会を良い方向に変えられるかもしれない、との声も聞かれ、たくさんの気付きを得る時間となりました。
終了後のアンケートでは、23名全員が社会的養護への理解について『深まった』または『やや深まった』と回答しました。また、「助けになりたいと思う意欲」「関わりたい‧行動したいという意欲」についても全員が前向きな変化を示していました。社会課題への理解を深めるだけでなく、具体的な行動を考えるきっかけにもなり、本研修の目的を十分に達成できたと考えられます。
<参加者のみなさまの声>
「まずは子どもたちに目を向けてみることが大切だと感じた」
「少しでも「気にかけてもらえている」ということが助けになることもある、と気が付けた」
「課題に対する深刻さを改めて知ることができた。まずは現状を多くの人に知ってもらうことが大事だと感じた」
東武不動産様、このたびはコエールワークショップを開催いただき、ありがとうございました。また、参加者の皆様、積極的にご参加をくださり、そして社会課題に対して考えていただき、心より感謝申し上げます。
あなたの会社‧学校‧地域でコエールワークショップを開催しませんか?
コエールチャンネルにて、イルミネーターたちのスピーチ動画を公開しています。
イルミネーターがそれぞれの言葉で、それぞれの社会問題に取り組んでいます。ぜひ動画をご覧いただき、あなたの会社‧学校‧地域でワークショップを開催し、親を頼れないすべての子どもが笑顔で暮らせる社会の実現へ力を貸してください
コエールワークショップのお問合せ・お申込み
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