ニュース・活動報告

支援のヒントは、全国の現場にあった ~ブリッジフォースマイルが運営する全国施設職員勉強会~

ブリッジフォースマイル(B4S)が月1回2時間オンラインで開催している「全国施設職員勉強会」。
児童養護施設や自立援助ホームで働く職員が、互いの実践を持ち寄り、悩みを共有し、明日からの支援に生かせるヒントを交換する場です。
この勉強会は、“グッドプラクティスを紹介し合う場”として始まりました。
前半は、有識者の講義がある回もありますが、中心にあるのはあくまで現場の実践の事例紹介です。
後半は、ブレイクアウトルーム(オンライン上の個別スペース)に移り、5人前後で前半のテーマに沿ったグループディスカッションを行います。「どうすれば子どもたちにとってより良い支援が、自分の施設でもできるか」を考え、参加者同士がアウトプットし合う時間を大切にしています。
B4Sとつながりがある北は北海道から南は沖縄まで、570施設以上にお声がけをし、毎回70名以上、多い時では120名以上の職員が参加しています。


5月18日に行われた勉強会のテーマは「『児童自立生活援助事業Ⅱ型』の実践と活用」。

すでに制度を活用している光明童園(熊本県)の堀先生と山口先生からの事例共有からスタートしました。
アフターケアの制度がまだ整ってなかったころは、施設を退所した後に音信不通になる若者が多く、風の噂程度の情報しか入ってこないことが多かったと言います。その後は制度が変わる中でさまざまなチャレンジをし、現在はこの「Ⅱ型」で柔軟な支援ができるようになり、退所者にとっても職員の方々にとっても、大きな1歩であることをうかがい知れました。必要な人に、必要な支援をできることは、双方にとって、未来へ向かう大きな希望です。
今回は、テーマの注目度の高さから、148名(施設数98)の方が、参加しました。施設職員は、大きく分けて、子どもたちの普段の生活の支援をする現場の職員さんのほかに、自立に向けての計画をする自立支援担当職員がいますが、本勉強会には自立支援担当の方が多く参加されているようでした。

 

 

 

参加者インタビュー

▮三重県・Kさん

「自立支援担当になった当初、右も左も分からず、0から学ぶという時に、この勉強会に出会い“学びの土台”をつくってくれました。」

 

乳児院から移動して自立支援担当員になったKさんは、2年前から勉強会に参加しています。
Kさんの施設ではまだⅡ型の申請をしていません。Ⅱ型の制度は魅力的ですが、申請には、定款を変えたり、人の配置を考えたり、どの施設でもすぐに採択できるというわけではありません。利用に向けての壁を今回の勉強会では共有されました。

 

「今回のテーマは、まさに今、リアルタイムで知りたかったことです。去年の春、見送った退所生が、この春につまずきはじめているのを、どうしようかと悩んでいる最中でした。本人も、戻りたいけれど戻れる場所がないもどかしさをひしひしと感じている中で、Ⅱ型が今すぐ利用できる状態だったら、声をかけたい!という想いが私の中にすごくありました。
今後もまた同じような退所生が出てくると思います。その時に、こういう制度があるよ、使えるよと伝えていけるようにしたいなと、今回の勉強会で改めて自分の目標設定ができたなと感じます。いろんな施設の方々の事例の話を聞けて、今日も参加できてよかったです。」

 

▮北海道・Iさん

「昨年8月にこの勉強会を知ってから、毎回楽しみに参加しています。」

 

北海道は横のつながりが少なく、制度や実践の情報が入りにくいといいます。B4S北海道事務局がIさんの施設で子どもたちに向けて調理セミナーをしたことを機に関係が生まれました。

 

「全国の実践を知れるこの場は本当に貴重。ブレイクアウトルームで他施設の話を聞くと、“自分ももっと学ばなきゃ”と背中を押されます。そして、自分が学んだことを施設内に持ち帰って共有する、というところまでが私がここに参加する役目です。」

 

勉強会後は、講義内容をまとめたレポートをB4Sが作成し、いつでも振り返って施設職員が学べるようになっています。また、講師が実践の場で使用している施設内資料等も共有され、共通の財産となっています。児童養護施設の地域格差をなくしていきたいというB4Sの想いが全国の施設職員の方々のお力で形になっているのです。

 

勉強会で得た知識を施設内で共有したことで、実際に支援が一歩進んだ経験もあると言います。

 

「以前、妊娠についての学びの回がありました。その時の報告を施設内ですると、中高生の女子を担当している職員たちはとても興味を持ちました。ちょうど、性教育や性病について話し合う機会が必要だと感じている時だったんです。性について話をするときに、職員ではなく外部に頼るやり方もあると知り、産婦人科の看護師さんに性教育の話をしてもらう機会が生まれました。地方にいる私にとって、この月1回の学びは大きな支えです。」

 

▮愛媛県・Jさん

「自立支援担当になったばかりの頃、何をどう進めればいいのか分からず不安でいっぱいでした。」

 

そんな時に、施設に届いていたメールでこの勉強会の案内を見つけ、“すがるような気持ち”で申し込んだと言います。Jさんの施設では、自立支援担当が1名。共有や相談する人も時間もなく、孤独感があると言います。

 

「同じ立場で同じ悩みを抱える仲間がいると分かるだけで励みになります。質問時間も、自分では思いつかない視点に気づかされる大切な時間です。」

 

今回の勉強会では、時間外の質問タイムにたくさんの挙手がありました。Ⅱ型を開始するために必要な細かなこと、どこで聞いてよいかわからないことなどが、次から次へと質問に上がりました。

 

「勉強会に出なければ、知らなかったことばかりです。Ⅱ型や障がいのある子の進路支援など、学ぶたびに視野が広がります。以前、不登校についての回がありましたが、その時は不登校児が施設にいませんでした。でも、今、学校に行き渋っている子がいて、あの時の学びを思い出しています。過去にあった同じテーマを何回でもここで、他の施設のみなさんと学びたいなと思っています。」

 

「また頑張ろう」と思える気持ちを取り戻す場でありますように

普段、自身の施設内だけで考えていること、悩んでいることを、同じ志を持った人たちと話し合えるこの勉強会は、自らの支えになっていると、三人の方がそれぞれ話してくれました。
• 孤独な担当者が仲間と出会えること
• 自分の施設でもできる実践を持ち帰れること
• 明日からの支援に向かうエネルギーが湧くこと
制度や理論の理解以上に、「また頑張ろう」と思える気持ちを取り戻す場となっていれば、私たちスタッフは嬉しく思います。

 

子どもたちを直接支えることだけが支援ではありません。
いちばん子どもたちに身近な支援者である、現場の職員の方々が学び続けられる環境を整えることも、子どもたちの未来を守る大切な一歩です。
この取り組みが続き、親を頼れない子どもたちが、自分らしく自立していけますよう、温かなご支援をお願いします。

 

 

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