ニュース・活動報告

子どもたちと企業の双方にメリット プロアクティブが全社で取り組む「ニキビに悩む中高生を応援する」モニタープログラム

ニキビに悩む人のための薬用スキンケア「プロアクティブ」を販売する、ザ・プロアクティブカンパニー株式会社は、2018年から認定NPO法人ブリッジフォースマイル(B4S)を通じて、児童養護施設で生活するニキビに悩む子どもたちを対象とするモニタープログラムを実施しています。同社はなぜこの協働プログラムを続けているのでしょうか。このプログラムでB4Sの窓口を担当する、人事総務部長の檜垣昭子さんに聞きました。

(聞き手:ライター 大井明子)

 

 

■中高生200人が参加する人気プログラム

 

――まず、プログラムの内容を教えてください。

 

私たちの基幹商品である、ニキビや肌荒れを防ぐ薬用スキンケア「プロアクティブプラス」は、「洗う」(洗顔料)、「肌の状態を整える成分を届ける」(美容液)、「整える」(ジェル状クリーム)の3ステップで構成されています。この3点、90日分を、児童養護施設で生活する肌トラブルに悩む中高生に無料で提供し、使用後に簡単なアンケートに答えてもらうというものです。商品は、1回のお申込みで90日分を提供しますが、継続も可能で、最長1年間の参加が可能。参加人数の上限も設けていません。

 

アンケートは、本名は必要なく、ペンネームと性別、年齢などに加え、商品の満足度と感想を書いてもらうという簡単なものです。

 

B4Sから、各児童養護施設に案内を出してもらって希望者を募り、商品は私たちが各施設に送ります。モニター終了後のアンケートは、B4Sで取りまとめてもらっています。B4Sには、こうした希望者のとりまとめやアンケートの集約をお願いしているので、事務委託料をお支払いしています。

 

――参加者はどれくらいいますか。

 

現在、第30期を実施中です。その時によって人数は上下しますが、毎回200人前後が参加しています。継続率も高く、半数から8割くらいがリピーターです。

 

■テレビCMに寄せられた声から生まれた

 

――檜垣さんは、約3年前からこのプログラムに関わっているそうですが、プログラムが始まったのはさらにその5年ほど前です。どのようにプログラムが始まったのか、わかる範囲で教えてください。

 

当時は私もまだ入社していなかったので、詳しいことはわからないのですが、きっかけは

「ニキビ悩みのあるお子さんとその親御さんのインタビュー」を取り上げたテレビコマーシャルに関する議論だったそうです。

ニキビというのは、ティーンエイジャーにとってとても大きな悩みですが、いざニキビのスキンケアを始めようとすると、保護者のサポートが必要になることが多いです。そのような背景の下で作成されたテレビコマーシャルだったのですが、その議論をする中で、「保護者のサポートを受けられないお子さんたちにもプロアクティブのスキンケアを使っていただける機会を提供できないか?」とのディスカッションが始まり、検討の結果B4Sにたどり着いたと聞いています。

 

 

■「商品を寄付して終わり」にはしたくなかった

 

――商品の寄付ではなく、モニタープログラムという形を取ったのはなぜでしょうか。

 

ニキビ予防のためのスキンケアは、一度で完結するものではなく、継続することがとても大切です。ですから、「商品をプレゼントして終わり」にならないよう、継続してもらうためにはどうしたらいいかを考えました。

 

プロアクティブが本当に役立ったのか、もし続けられなかった場合はその理由は何か、などのフィードバックがある方が継続につながるのではないかと考え、モニタープログラムになりました。

 

――参加者からはどんな声が届いていますか。

 

大人だと、こうしたアンケートは「該当する答えに丸をつけて終わり」ということが多いと思うのですが、このモニタープログラムで届くアンケートは、とても丁寧に感想が書かれていることが多いです。手書きのイラストを描いてくれる子もたくさんいます。時間をかけて描いてくれたのがわかる素敵なイラストが多く、いつも心が温かくなります。

 

「これまでニキビが恥ずかしくて、いつもマスクをしていたけど、ニキビが気にならなくなってマスクなしで学校に行けるようになりました」

「肌が弱くても使えるのがうれしい」

「つるつるの肌になって、ちょっと自分に自信が持てるようになった」

といったコメントは、本当にうれしくて印象に残っています。

 

一方で、

「肌に合わなくてやめました」

「3ステップがめんどくさい」

といった、正直な中高生の声も、とても参考になっています。

 

「ニキビ用のパッチがほしい」

「パックがあるといい」

など、要望を書いてくれることもあって、ほかのマーケティングリサーチの結果なども踏まえて実際の商品開発に反映させることもあります。

 

社員の多くが楽しみにしているモニタープログラムで届くアンケート

 

■全員が「自分ごと」として取り組んでいるから続いている

 

――届いたアンケートは、どのように活用されているのでしょうか。

 

個人情報は書かれていないので、すべて全スタッフと共有しています。みんな楽しみにしているようです。

 

私は普段、人事総務を担当しています。マーケティングやセールス担当ではないので、直接お客さまの声を聞くことはほとんどありません。こうした中高生の声に接することは、自分たちが扱っている商品の素晴らしさを実感する機会になっています。

 

――発送の手間などもかかりますし、スタッフを巻き込むための苦労もあるのではと思いますが、工夫していることはありますか。

 

考えてみたのですが、実は苦労はまったくないんです。私がB4Sとの窓口を務めていますが、「プロジェクトの担当」というわけではありません。担当は置かない全社プロジェクトなので、商品の箱詰め、発送などは、担当部署で行っています。それに、困ったり悩んだりしたことがあれば、プロジェクトオーナーであるJLT(ジャパン・リーダーシップ・チーム:経営会議に相当)で相談して対応を考えています。

 

――檜垣さんが窓口を担当される前から、全社体制で活動されているのでしょうか。

 

以前は担当者がいて、基本的にその人が手を動かしていたと聞いています。しかし3年前にその担当者が退職した時に、プログラムをどうするか、社内で検討しました。

 

もちろん、その時点で「やめる」という選択肢もあったはずですが、重要で意味のあるプログラムだという認識は誰もが共有しており、最初から「どうやって続けるか」という議論になっていました。

 

小さな会社ですし、専任の担当者や担当部署を置くよりも、全社で取り組んだ方がいいだろうという判断になりました。それで、JLTをプロジェクトオーナーとして全社で活動に参加するようになりました。今ではスタッフの全員が、このプログラムについて理解しています。新しいスタッフが入ってきたりもするので、定期的に全社ミーティングでプログラムについて説明しています。

 

――全社で取り組むメリットは、どんなところにありますか。

 

スタッフそれぞれが「自分ごと」として捉えているように感じます。

 

例えば、以前はB4Sから参加者の申込書が送られてくると、担当者がシステムに配送先データを手入力していました。しかし全社の取り組みに変わってからは、商品発送を担当するサプライチェーンチームとITチームが、自主的に入力フォームを改良して、自動で配送先情報をシステムに取り込めるようにしてくれました。

 

商品に同封する、参加へのお礼や商品の使い方が書かれたリーフレットも、マーケティングチームが「こんな風にした方がもっと楽しく読んでくれるんじゃないか。わかりやすいんじゃないか」と工夫してどんどん改良しています。

 

申し込み数、継続者数が増えたり減ったりすると、みんなが一喜一憂しています。アンケート結果も、以前は担当部署内だけで共有されていましたが、今は全社で共有していて、みんな楽しみにしているんです。全員が自分ごととして取り組んでいるからこそ、長く続けられていると感じます。

 

先日は、ある施設から「申し込んだのに商品が届いていない」という連絡がB4Sに届いたとのことで、ちょっと慌てました。商品発送を担当するチームに「ちゃんと送られているか調べてほしい」と頼んだのですが、正直「忙しいのに」と嫌がられるかもしれないという思いもありました。でも実際は「楽しみに待っているお子さんに届いていないとかわいそう。すぐ調べます!」と、急いで確認してくれました。

 

商品がその施設に届けられたという記録は確認できたのですが、「お子さんに届いていないとかわいそうだから、必要なら再度発送しますよ」とまで言ってくれました。結局、施設内にはあったけれど、申し込んだお子さんに手渡されていなかっただけだったことがわかりましたが、スタッフみんなが子どもたちの気持ちを考えて親身に取り組んでくれていることが感じられた、うれしいできごとでした。

 

■商品の良さを再認識する機会になっている

 

――寄付や社会貢献活動“だけ”ではなく、使ってみての感想など、商品開発に役立つ情報も得られます。子どもたちにも企業にもメリットのある、ユニークなプログラムですね。

 

一方通行ではなく、双方にWin-Win(ウィン・ウィン)の、貴重なプログラムだと思います。ただ、もちろん商品開発の参考にはなっていますが、あまり「商品開発のため」という感じではないんです。むしろ、商品がたくさんの子どもたちの役に立っていることや、自社製品のすばらしさを再認識させてもらう機会になっています。

 

――B4Sとは、定期的に情報交換しているそうですね。

 

はい。毎回、90日のプログラム終了後にミーティングを実施しています。プログラムの振り返りをするだけでなく、B4Sの活動や、社会的養護の子どもたちについても説明してもらっています。

 

里親家庭や児童養護施設で生活する子どもたちのバックグランドや、巣立った後の状況、そうした子どもや若者を、B4Sがどのような活動で支援しているか、などを知ることができますし、私たちも間接的にB4Sの活動のお手伝いができていると思うと、心が豊かになります。これからは、スタッフにももっと、B4Sの活動や、B4Sが支援している子どもや若者について、知ってもらいたいと考えています。

 

――今後について、どのように考えていますか。

 

良いプログラムなので、とにかく継続したいです。そして一人でも多くの、肌に悩みを抱える人が、プロアクティブでクリアな肌を手に入れ、自身を持って毎日を元気に過ごせるようになってほしいですね。

 

ザ・プロアクティブカンパニー人事総務部長の檜垣昭子さんと、B4Sで本プログラムを担当している「あお」

 

B4Sでプロアクティブのプログラムを担当する「あお」の話

今回、取り組みの背景や工夫、社内での動きなど、普段は見えにくい部分について貴重なお話を伺うことができました。企業の皆さまが子どもたち一人ひとりの声や想いに丁寧に耳を傾け、この取り組みに全社で前向きに向き合っていらっしゃる姿がとても印象的です。

B4Sとしても、子どもたちの声を企業へ届け、その声が商品や取り組みに反映されていく過程に関われることに、改めて大きな意義を感じています。今後もこの関わりを大切に継続しながら、子どもたちと企業双方にとって価値あるつながりを広げていけるよう努めてまいります。

 

 


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