ニュース・活動報告
開催日:2020年1月19日(日)
参加人数:高校生15人/ボランティア16人
ゲスト:施設職員さん1人/先輩退所者1人
講師:ワディー
巣立ちセミナー最終回。最初は高校生もサポーターもぎこちなかったけど、6カ月間を一緒に過ごしてきた仲間。すっかり馴染んで朝から賑やかなおしゃべりでスタートです。
第6回のテーマは「知ってるだけじゃダメ!な大人への相談」。
これまでコミュニケーションや一人暮らし、金銭管理などさまざまなテーマで学んできましたが、今回はその総集編。退所後に遭遇するだろう、トラブルに対して、ひとりで抱え込まず、誰にどういう風に相談したらいいかなど対処法を具体的に学びました。
講師は前回と同様、サポーターのワディー。塾講師の経験がありテキパキとプログラムを進めていく頼れる兄貴です。
◆施設を出たらどんなトラブルがあるの
まずはグループワーク。「夜遅くまでゲームをしていて寝坊。会社に間に合わない」事態が発生。さて、どうする。「すぐに、電話してまずは謝る」「会社に到着する時間も伝えた方がいいよ」「同僚に代わりに仕事を頼むならそれも言わないと」など高校生から活発な意見がでます。みんな、アルバイトの経験からしっかり学んでいる様子です。
しかし、「外出先(静岡)で財布をなくしてしまった」「自分(またはパートナーが)妊娠2カ月」というトラブル事例のワークとなると、考え込む時間も長くなり、サポーターも一緒に、ネットで検索。もちろん答えはひとつではないので、肝心なことは、信頼できる大人に相談することだね。ということを確認しました。
◆トラブル対処法をゲーム形式で学ぶ「巣立ちクエスト」
そして、いよいよメインプログラムの「巣立ちクエスト」。
高校生が2人一組になって施設退所後に遭遇するかもしれないトラブルに対し、解決方法を探っていくシミュレーションゲームです。ネットで検索したり、大人に相談したりして考えた解決方法を「審判」に説明し、ポイントをゲットします。
最初に、ペアごとにトラブルカードを引きます。そこには「先輩に3万円貸したのだが返ってこない」「「空き巣に入られた」「不倫相手の配偶者にバレた」「先輩から大麻を渡された」などさまざまなトラブルが書いてあります。会場には、会社の上司、大家さん、いい加減な先輩などの役割を担当するサポーターが配置されています。今回はゲストとして、本物の施設職員が、「施設職員」の担当として参加しています。
高校性たちは、ネットで調べたり、相談員のところに行ってアドバイスをもらったりしたことを、シートに書き込み、「審判」役のところに行き合格して、1点~5点のポイントをもらえたら、次のトラブルカードを引きに行きます。
誰にも相談もせずに、「貸したお金は返ってこないから、あきらめる」などと言ってきた子には、「ちゃんと相談して、考えてからもう一度来て」と審判からやり直しを命じられる場面も。
ゲームなので、合計点も競いますが、トラブルが起きた時に、誰にどんな相談したかが重要。
いい加減な先輩役のサポーターは、いい加減なアドバイスに徹し、相談する人も選ばないといけないということを、高校生にしっかり学んでもらいました。
◆先輩の話を聞いてみよう
次のプログラムは「先輩の話を聞いてみよう」。施設出身で現在大学3年生の先輩(女性)の話を聞きました。
「19歳でパスポートを取ろうとした時、いろいろたらい回しされて、とても大変だった」「引っ越す時に、緊急連絡先は個人でないとダメと大家さんに言われて困った」など実際に退所後に遭遇したトラブルなどの話も、年齢の近い先輩から直接聞くと、高校生たちも実感がわくのか、いつも以上に真剣に聞き入っている様子でした。
「起こっていないことを不安に思って心を痛めるのはもったいない。やる気があればなんとかなるというポジティブ思考でいるのがいい」というメッセージは、高校生だけでなく、サポーターの心にもしっかり届き、励まされました。教員になる夢に向かって、大学の勉強だけでなく、さまざまな活動にパワフルに取り組む姿は、高校生たちにもいい刺激になったでしょう。
◆リーダー まこっちゃん のお話
巣立ちは多くのブランチに分かれて開催していますが、ブランチごとの雰囲気を作る大きな影響力をもつのがリーダーの存在。パソナブランチのリーダー まこっちゃんは、アラフォーの優しい男性。いつも穏やかで、どちらかというと控えめなタイプかも。最終回でやっと詳しい自己紹介をしてくれました。
就職氷河期世代ならではの苦労もあったけど、働きながら資格をとって、現在は地域の困りごとを解決する仕事に就いていること。「人との縁を大切にする」「不本意でも全力で取り組む」など社会人として大切にしていることを、高校生たちに語りました。高校生たちの様子を常に気にかけ、最適なグループ編成にすることを考えてくれたので、ワークも楽しく進められました。
◆修了パーティーと修了式
そして、お待ちかねの修了パーティー。ランチはサンドイッチを食べたけれど、パーティーは別腹。ピザやローストビーフ、串揚げが並んだテーブルの周りに、高校生もサポーターも集まり、思い思いの話題で盛り上がりました。デザートも豪華版、シュークリームやプリン、コーヒーゼリーなどスイーツ好きには選ぶのに迷う品揃え。
音楽に合わせて高校生と踊るサポーター、女子にファッションチェックをされて苦笑いの男性サポーターなど、初回のぎこちなさが嘘のように、ぐっと距離が近くなっているのを実感したひと時でした。
パーティーが終わると、本当に最後のプログラムの修了式です。サポーターから高校生にひとりずつメッセージを語りかけながら、B4Sの修了証と色紙を渡します。
色紙にはサポーター全員が、高校生ひとりひとりに向けて書いたメッセージのカードが貼ってあります。巣立ちセミナーの中で見つけた高校生の素敵なところ、励ましの言葉などなど。
受け取った高校生は一言ずつ感想を話してくれました。
「いろんな話が聞けて勉強になりました。コミュニケーション能力がついたと思います」。
「最初は不安だったけど、半年間このメンバーで学べて、ご飯を食べてよかったです。また会いましょう」と言う言葉にはちょっとしんみり。
「元々はそんなに来たかったわけでなく、ポイントが目当て。つまらなかったら辞めるつもりだったけど、楽しくて全回来てしまった」という本音トークも。
◆最後に
お休みの日に朝早くから夕方まで、時には眠気と戦いながらも一生懸命参加してくれた高校生たち。修了式でみんなに楽しかったと笑顔で言ってもらえたのは本当にうれしかったです。退所後に何か困ったことがあった時に、巣立ちセミナーで学んだことが役に立つて欲しいと思います。相談先のひとつとしてB4Sを思い出してくれることを願っています。
終了時間になっても、名残惜しそうな高校生たちをサポーターは「アトモでまた会おうね~」と明るく手を振って送り出し、巣立ちセミナーの全プログラムは終了。
◆サポーター同士の交流も魅力
プログラム終了後、サポーターの希望者は居酒屋に移動して恒例の打上げ。初参加の人も、ベテランも、無事すべてのプログラムを終え、高校生たちにも楽しかったと言ってもらえて、
ホッとした様子。「もう高校生たちに会えなくなるのは寂しいね」「6カ月あっという間だった。勉強になった」と感想を語りつつお酒も進みます。
年齢も仕事も全く違う社会人が集まり、高校生たちの自立の支援をしたいという共通の目的に対して力を合わせるという活動は、とても楽しく刺激的な経験です。
(サポーター:よっしー)
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