ニュース・活動報告

この社会の片隅で、今日もきっとがんばってる、あの人やこの人の顔を浮かべながら

「お願いしたいのは、細ーく、だとしても、長ーくつながることです!」

 

ブリッジフォースマイルの社会人ボランティアへ、そんなふうに投げかけることがあります。ボランティアの登録者数は、年間500名近く。この仲間の力が、支援の力そのものです。

 

親を頼れない若者たちが社会で孤立することがないよう、退所者支援の『アトモプロジェクト』では、定期的なイベントを開催しています。
例えば夏はBBQ、冬はクリスマスイベント。ボランティアと若者が定期的に集まり、近況報告をし合います。

 

やはり知っているボランティアメンバーがいるからこそ、若者も「じゃあ参加するよ」となります。そうやって、ずっとずっと参加し続けてもらうのが理想の形です。

 

実際、長くつながるというのは、そんなに簡単なことではありません。
困難な状況になるほどに、姿を見せてくれなくなるし、SOSを出してはくれません。全く連絡がつかなくなってしまう若者はいくらでもいます。

 

支援現場では「長くつながっていてよかった」と思える瞬間がいくつもあります。それらは、若者たちがこんなにもがんばって、社会のどこかで生きているという証でもあると思い、いくつか残しておきたくなりました。以下、プライバシー保護のため一部変更し、ご紹介します。

 

◆Aさん
施設を退所し進学したものの、家族のもとに戻ったことで、精神的な不調もあり、中退。英語を使った仕事がしたいという夢を諦めず、家を出て住宅支援を受けながら勉強に励む。数年のアルバイトと勉強生活の努力が実り、晴れて第一希望の大学に進学決定。英語もかなり上達した様子。
嬉しそうな報告とともに「安心できる環境と応援してくれる人が近くで見守ってくれたからがんばれました。感謝の心を忘れずにがんばっていきたいと思います!」とメッセージをくれた。
一時期の落ち込みを知っているので、「よくぞここまで!」という気持ちになる。

 

◆Bさん
施設を退所し、専門学校に進学したものの中退。施設やボランティアが継続的に関わるも、本人の他責傾向の強さから、なかなか自立のための準備が進まない。一旦は自立援助ホームに入ったが、その在所期限も迫ってきたために散々嫌がっていた一人暮らしと、施設職員の仲介の仕事を始めたところ、以前とは違い、どんどん前向きな発言が出てくるようになる。
長らく他人からの評価に過敏な面があったが、最近は「そう言われたけど私、そこまでひどくなくない?!って思って」というような、それも聞いているともっともだと思えるような、客観的に自分を見られてきている傾向があり、頼もしい。

 

◆Cさん
施設を退所し、大学へ進学。どうにかして卒業したいという希望はあったものの、学費が払えず中退。数年間、誰とも音信不通となる。出身施設の中で唯一連絡を取り続けた職員が、10年越しで信頼関係を結び、近いうちに会って話をしようと約束しているそう。
難関な資格をとることができ、就職活動中。その資格は、かつて大学で学んでいたことと重なるもので、ついに希望の仕事に近づけるんだなと、話を聞いて感慨深くなる。

 

どのエピソードにも、出身施設の職員をはじめ、B4Sボランティアや事務局スタッフが駆け回った痕跡がありますが、それは割愛しています。
彼らは支援対象者というだけでなく、生まれ育った環境を乗り越えようとしているチャレンジャー。彼らを支えるために、大人が駆け回る意義がそこにあります。

 

彼らに必要なのはやり直しがきく環境。
やり直せる環境があれば、例えつまずいても、また再び自分の道を見つけることができる。
やり直せると知っていれば、応援してくれる人がいれば、もっとチャレンジすることができる。

 

それを成し得る関わりのひとつが “細くても長いつながり” なのではないでしょうか。
チャレンジの先の再チャレンジを、一緒に喜べる職員や里親さん、ボランティアメンバーが一人でも多くいるといいなと思います。

広報担当 植村 百合香
私がこれまでの8年間で出会った施設退所者のこと、ほんの一部ですが、はじめて書いてみました!

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