ニュース・活動報告

「支援する側・される側ではない。同じ場所に一緒にいて私も考えさせてもらっている」:サポーター もちこ

ブリッジフォースマイル(B4S)では2004年の創立以降、多くの社会人ボランティア(以下、サポーター)が活躍しています。サポーターがどんな人で、どんなふうに活躍しているのか、レポートしてみました! 

今回は「B4S PORT あきば」や「奨学金支援プログラム」で活躍する、ニックネーム「もちこ」にお話を聞きました。


■B4Sとの出会い

普段はアートに関わる仕事をしているもちこ。どのようにB4Sと出会い、活動を始めたのでしょうか。

 

以前、児童養護施設を退所した若者たちを対象にした居場所のお手伝いをしていたことがあり、その流れでB4Sを知りました。そのときは余裕がなく、すぐに参加しようとは思わなかったのですが、そこから1年ほど経った頃、突然「あ、今行ける!」というタイミングがあって、サポーター登録をしました。

 

実際に活動を開始してみると、サポーターが想像とは違ったようでー

 

活動を始める前は、一般的にボランティアをしている人たちは遠い世界にいると思っていたんです。聖人というか、自分が恥ずかしくなるくらいすごくできた人たちで、その中にはとても入れないと考えていました。
それが、活動を通してサポーターの方とお話してみると、みなさんもちろん優しくて思いやりのある方々ばかりでしたが、当たり前だけどさまざまな考えを持っていて、ボランティアへの参加理由も違っていました。知らない世界に、勝手に線を引いていたことに気付きました。みなさんと出会えて、自分が知らなかった場所にこんなふうに周囲の人と接する大人たちがいたなんて、なんて心強いんだろうと感じています。

 

■とにかく楽しい、居心地がよいB4Sでの活動

もちこがB4Sで最初に参加したボランティア活動は、児童養護施設や里親家庭で暮らす高校3年生向けの、一人暮らし準備セミナー「巣立ちプロジェクト」でした。

 

チームで半年間活動したのですが、高校生もサポーターも濃いメンバーが揃っていて楽しく、貴重な時間を過ごしました。こちらが高校生をサポートするだけでなく、高校生たちの言葉や振る舞いから学ぶことがたくさんありました。児童養護施設などを出てから一人暮らしを始める子たちが、どんなことにハードルを感じるのかもはじめて知れました。

 

またB4Sでは、児童養護施設や里親家庭から巣立った子ども・若者たちや、公的支援の網からこぼれてしまった親を頼れない子ども・若者たちが不安なときに「あそこに行けば、頼れる大人や仲間がいる」と思ってもらえる、気軽に立ち寄れる居場所「B4S PORT あきば」(東京都・地域生活支援事業)を運営しています。

 

2025年度は「B4S PORT あきば」での居場所事業にも参加しています。幅広い年齢の人たちが思い思いの過ごし方をしている居場所は、私にとっても心地がいいです。本を読んでいる人、塗り絵をしている人、編み物をしている人、スタッフと話している人…不思議と自由でいられる“あそび”があって、その雰囲気が好きなんです。
居場所には「全員が対等」「お互いを尊重しよう」といったグランドルールがあるのですが、それによって自分も肩の力が抜けているように思います。みんなと話して、ごはんを食べる時間がすごく楽しいです。

 

B4S PORT あきばにて、ワークショップに参加するもちこ

 

もちこは、「奨学金支援プログラム」という活動にも参加しています。親を頼れない子どもたちは、学費も高校卒業後の生活費も自分で用意しなくてはならないため、全国平均に比べて進学率が低いのが現状です。B4Sは金融機関などの企業と連携し、返済の必要のない給付型奨学金に、ボランティアによるメンター制度、金銭管理の見守りや金銭教育を組み合わせた、ユニークな奨学金支援を行っています。

 

奨学金支援プログラム」では、専門学校に通う子と月に1回お話をしています。勉強をとても頑張っていて、悩みごとに対峙する姿勢を見ていても、本当に人に年齢は関係ないなと思わされます。その子との時間から、私も人との付き合い方など、日常生活を省みる機会をもらっています。
どの活動も楽しんでいますが、今後はB4Sが行っている研修を通して※1より専門的な知識も身につけて、それぞれの事業で何か新しいことができればいいなと思っています。

 

※1:B4Sでは、子どもたちを支援するうえで必要な知識やコミュニケーションスキルの研修を行っています。子どもたちに寄り添ううえで必須となる傾聴やコミュニケーション、子どもと関わる際のリスクやトラブル対策、自分のコミュニケーションの特性などを知る講座のほか、支援者としての心構えや、社会保障や奨学金などの社会資源についての知識を得る講座など、多岐にわたっています。ボランティアのご登録をされていない方でも受講が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

また、支援事業の中には、特定の研修を受講しないと参加できない活動がございます。詳細は、こちらからお問い合わせください。

 

ボランティア未経験で活動を開始したとのことですが、話し方や言葉の一つひとつから、活動をとても楽しんでいることが伝わります。各事業に参加するにあたり、プレッシャーや不安はなかったのでしょうか。

 

まったくありませんでした。もともと人に関心があって、話を聞くのが好きなのもあるかもしれませんが、世の中に大勢いる大人の一人として、あまり構えず活動に参加していることがあるかもしれません。
子どもたちへの支援について専門的に学んでいない自分がB4Sで活動するうえで持てるのは、いろいろな人と関わるのはいいことだという実感です。
私自身が10〜20代の頃、社会に出ていく過程でたくさんの大人と関わってきて、「こんな人がいる社会ならまっすぐ生きてみよう」と思えるいくつかの出会いがありました。その人たちを心の中でずっと慕っています。自分にとってそれはすごく嬉しい経験だったので、できるだけ多くの人と関わることは、生きていくうえできっとプラスだと考えています。

 

■本業とサポーターの活動のつながり

アートに関わる本業とB4Sの活動は、一見縁遠いもののようにも感じますが、もちこにとってはつながりがあるそうでー

 

関心の持ち方としては、仕事とサポーターの活動は似ています。
アートの面白さは、従来の世界のルールや見方を問い直して、ひっくり返すことができるところだと思っています。子どもの頃から、善悪って何?とか、年上だから偉いの?とか、つねに「なんで?」という疑問を持っていました。問いの内容は年月とともに変化するのですが、自分なりに世の中を理解したいんだと思います。私にとってアートの世界は、考え続けることが許される場所であり、ときどき本当に変革がある場所なんです。

B4Sの活動を通して、同じように問いに向き合っています。居場所でも、みんなと話すことで発見があって、支援をする側、される側ではなく、同じ場所に一緒にいて私も考えさせてもらっているんです。
「なんで?」を続けているうちに、自分がどんどん生きやすくなっている実感もあります。何事もいい方向に変わると信じているので、社会も、歴史や政治や経済などシリアスな問題はありますが、よりよくなれると信じています。

 

■これからボランティアを始める人へ

 

私は登録する前に、ホームページの活動ブログを見てリサーチをしたり、B4Sの代表である林恵子さんが書いた本を読んだりしました。B4Sが自分に合うかどうかが、少しつかめるのではないかと思います。


研修があることも大きなプラスでした。
B4Sは、活動を始める前にいくつかの研修への参加が必須になっていて、研修に参加するとどんな雰囲気かが知れますし、仕事との両立に不安を感じている方も、不安が取り除かれるのではないかと思います。
研修では、例えばシンプルなものだと「今の気分は?」「最近嬉しかったことは?」など、いつも自己開示が求められるのですが、それが面白い効果を生みますし、研修を受けている間に活動への気持ちが整っていく効果がある気がします。
研修を受けた結果、今は活動が難しいと感じたとしても、1年後、3年後に始められるかもしれませんし、悩むことがあれば相談窓口もあるので、まずはぜひ登録してみてください。

最後に、活動に参加してよかったですか?の問いに対するこたえは…

 

とてもよかったです。人との出会いによって、はじめてかけてもらう言葉、今までになかったコミュニケーションのあり方、新しい学びなど、たくさんのことを得ています。それらは自分にとって、今必要なことだったのかもと感じています。

 


 

もちこのように、子どもたちの未来を想いながら一歩を踏み出した方がいます。その一歩が、社会に大きな支えの輪を広げています。
B4Sには、親を頼れない子ども・若者たちと直接触れ合う支援活動、イベント・運営のサポートなど、さまざまな関わり方があります。

 

あなたもぜひ、その輪に加わってみませんか?
子どもたちの笑顔と未来を一緒に支える仲間として、ブリッジフォースマイルでのボランティア活動を、ぜひ始めてみてください。

当事者のための相談・支援

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