
ニュース・活動報告

児童自立生活援助事業とはもともと、未成年の就労自立を支える「自立援助ホーム」が行う事業でした。さまざまな問題を抱え、自立が容易ではない義務教育修了後の子どもたちを20歳まで入所させ、生活指導や就労支援などを行うもので、近年は大学等に進学する子どもが最長22歳まで入所することもできるようになっていました。
2024年度からは、この事業の年齢制限を撤廃するとともに、児童養護施設などの児童福祉施設や里親もこの事業を行えるようになりました。すなわち、自立援助ホームで支援を受けていた子どもたち、児童養護施設や里親家庭などで育った子どもたちが、都道府県知事によって必要と認められれば、成人後も施設等で暮らしながら自立のためのサポートを受けられる制度ができたのです。いったん施設等を退所し自立した後でサポートが必要となった場合も対象となります。施設外のアパート等に住んでいる場合、その住居に住んだまま生活費援助を含む支援を受けることもできます。なお、自立援助ホームが行う場合はⅠ型、児童養護施設などの場合はⅡ型、里親やファミリーホーム(小規模の住居型養護施設)の場合はⅢ型と呼ばれます。
とはいえ、実際に事業を行うにあたってはさまざまな問題があります。自立援助ホームの場合は既存の事業の年齢制限がなくなるだけですが、児童養護施設や里親の場合は新たな事業を始めることになるため、新たに専任職員を配置し、都道府県知事に届け出る必要があります。18歳未満の子どもたちで施設が満杯に近ければ、新事業の導入は物理的に難しくなります。
ブリッジフォースマイルが2024年に児童養護施設を対象に行った調査では、「すでに導入した」あるいは「導入の予定がある」施設は合わせてほぼ4分の1。4割の施設は「導入する予定はない」としています。導入する施設でも実際に受け入れる人数はごく限られたものとなる見込みで、大半の子どもたちは事業を利用したくてもできない状況に置かれることになりそうです。

全国児童養護施設退所者トラッキング調査2024
ブリッジフォースマイルの調査では、2024年に児童養護施設を巣立った子どもの4人に1人が、入所中にメンタルに関する通院をしています。虐待などで心に深い傷を負った子どもたちにとって、18歳からたった一人で生活していくのは難しいことです。一人でも多くの子どもに、自立のための十分な準備期間を用意することが必要です。
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2025.05.31子どもの現状退所者を支える制度
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2025.05.31子どもの現状社会的養護自立支援拠点事業
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2025.05.31子どもの現状一時保護所の現状