
ニュース・活動報告

2025年2月24日、親を頼れない若者たちを対象に、振袖や袴などの着付け体験を提供し、成人をお祝いする「振袖アトモ」を開催しました。
成人の記念に正装をして写真を残すことは、誰もが当たり前にできることではありません。とりわけ、18歳で児童養護施設を離れた人など、さまざまな事情で親を頼れない若者たちにとっては、費用負担の大きさなどから手が届きにくい体験です。
振袖アトモは、日々がんばって生活している若者たちに和装を楽しんでもらい、新たな門出をともに喜び合いたい、そんな想いを込めたイベントです。
■当日のようす
今回の振袖アトモには、ブリッジフォースマイル(B4S)のプログラムに参加したことがある若者たち8人と、2014年から振袖アトモにご協力いただいている「着付け隊」の方々、若者の出身施設の職員の方、B4Sの事務局スタッフと社会人ボランティアなど総勢30人以上 が集まりました。会場は、企業様からご提供いただいたイベント会場施設。高層階からの素晴らしい眺めと着付け隊の方々の笑顔が、若者たちを迎えます。簡単なオリエンテーションの後、さっそく着付けが始まりました。
着付け隊の方々が持ち寄ってくださった振袖や小道具
着付け隊の方々が持ち寄ってくださった振袖は、総数約40枚。袴も10枚近くあり、レンタル衣装店を凌ぐ華やかさに、若者たちの頬が緩みます。「自分で選ぶことを楽しんでほしい」、着付け隊の方々のそうした思いが隅々に行き渡っており、帯や髪飾り、バッグ、草履等の小物も全て好みに応じて選ぶことができます。
着付け隊の方々が持ち寄ってくださった小道具たち
最初は緊張気味だった若者たちも次第に積極的に要望を伝えてくれるようになり、着付け隊の方々と相談しながら、振袖を選んだり、髪型をセットしたりしていました。フリルやパールをあしらった伊達襟など、今時なデザインは大人気。「一生に一度だから、豪華にしたいです!」と、ゴールドのリボンや大きな花で髪を飾っている人もいました。
華やかな髪飾りに、心を躍らせる若者
着付けが完了すると、ボランティアとして駆けつけたカメラマンによる撮影タイムです。華麗な変身ぶりを目にした施設職員さんやボランティア、B4Sのスタッフから感嘆とお祝いの声が上がる中、若者たちは少しはにかみながらポーズを取っていました。そして、カメラ撮影終了後も、会場の窓から見える都会の街並みを背景に自分のスマホで撮影したり、お祝いに集まった人々と歓談したり、晴れやかな笑顔で短い時間を楽しんでいました。
■参加者の声
<参加した若者Aさん>
色んなひとのお力を借りて、振袖を着て、色んなひとに祝われたのが嬉しくて、帰った後お風呂で泣きそうになった。生きていいと言われてるみたいで、幸福を感じた。
ありがとうございます。
<参加した若者Bさん>
まず、振袖や小物の種類の多さに驚きました。私は優柔不断なので着物と帯以外は着付け隊の方にお任せしたのですが、仕上がりが自分の好みすぎてすごくかっこよくて嬉しかったです。
また、着付け隊の方が丁寧に素早く着付けしてくださりハプニングにも柔軟に対応していて素晴らしかったです。ヘアアレンジも髪が短くて大変だったはずなのにとっても華やかで振袖に合うものでかんざしもつけていただけて大満足です。
同じ活動を何年もしていると、私だったら飽きが来たり惰性ですることがあったりしちゃうと思うのですが、着付け隊の皆さんは全くそんなことがなくむしろ逆でかっこよかったです。また、振袖を着た方たち全員に「綺麗」、「かわいい」などの声掛けを皆さんがしているところがすごく印象的でした。
<参加した若者Cさん>
楽しくおしゃべりしながら振袖を着付けてくれてとても楽しかったです!
着物なんて七五三以来しっかり着たことはなかったので背筋がシャンとしました。今年は20歳になるのでこれから頑張ろうという気持ちにもなったし、いつかこの写真を見返した時にこの時楽しかったのを思い出して、あの時晴れ着アトモに行ってよかったなとなるのも楽しみです!
<着付け隊の方>
振袖アトモを毎年楽しみにしています。振袖を選ぶ参加者の方の笑顔を見ると、幸せな気持ちになります。振袖は何度も出番があるものではないので、みなさんに着ていただくことができて、着物も喜んでいると思います!
記念撮影を楽しむ若者
■運営事務局からのメッセージ
振袖アトモを含む「アトモプロジェクト」は、親を頼れない子どもたちが大人の世界へ巣立った「後も」、同じ境遇の仲間や社会人ボランティアと出会い、つながりをつくることを通して、不安や孤立の解消、ちょっとしたつまずきの防止につなげることを目的としています。
このようなB4S独自で実施するイベントは、自治体からの予算が使用できないため、みなさまからのご寄付を活用させていただいています。毎年、夢見るような時間・空間を提供してくださっている着付け隊のみなさまをはじめ、いつもご支援いただいている個人・法人の寄付者のみなさまに、この場を借りて感謝を申し上げます。
引き続きB4Sでは、親を頼れない子ども・若者たちが、希望を持って過ごしていける橋渡し支援に取り組んでまいります。
今後とも、B4Sの活動へのご支援を、よろしくお願いいたします。
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