バクスター株式会社「世界で活躍する薬と医療機器の会社で医療のお仕事体験」

日時:2019年12月7日(土) 10:30~15:30
子どもの参加人数:5人

 

体験内容:

  • 味覚は温度で調整できる?
    デザートを作りながら、味覚に関する実験
  • 医療現場で使われる器具を学ぼう!
    普段触れることのない、医療の現場で使われる器具について知る

 

バクスター株式会社は、腎不全、輸液、麻酔、疼痛管理の領域に特化した世界的なヘルスケアカンパニー、米バクスターインターナショナルインクの日本法人で、医薬品、医療機器を中心とした医療サービスを患者さんや医療現場に提供しています。

 

今年、日本法人が設立されて50周年を迎えるにあたり、「未来ある子どもたち(学生)の支援」を行いたいという意向でジョブプラクティスを開催されました。

 

■事前研修

開始前の朝9:30。今回参加されるバクスターの社員のみなさまに、「事前研修」を行います。
この研修では、社会的養護の抱える課題から、我々ブリッジフォースマイルの取り組みのご紹介、様々な背景を持つ子どもたちとの接し方などを知っていただき、「ジョブプラクティス」を子どもたちだけでなく、社員のみなさまにも有意義なものにしていただくために行っています。
みなさま真剣に聞いてくださいました。

 

■実験開始! 味覚は温度で調整できる?

子どもたちを迎え、簡単なバクスター社の説明と参加者の自己紹介のあとは、いよいよプログラムスタートです!

まずは美味しいデザート作り。

バクスターさんが腹膜透析の患者さん向けに発行している情報誌「スマイル」に掲載のレシピ「いちごのコンポート」を作ります。
医療機器や薬剤の開発・販売だけでなく、患者さんの治療と暮らしに役に立つ、情報提供していくのもお仕事のひとつです。

 

いちごに砂糖とレモン汁をかけて、電子レンジで加熱していきます。

チン!


ラップをとって早く食べたい!…ところですが、これは味覚実験。
後に冷蔵庫で冷やしたものと、常温のものを食べ比べます。
ということで、ランチタイムまでおあずけ。なんだかおなかが空いてきました‥。

 

次は、出汁(うまみ)とアイスクリーム(甘味)を使い、どの温度が一番強くうまみや甘味を感じることができるかの実験です。
まずは気分を出すために白衣を着用!
実験ではそれぞれに感じた味をチェックシートに記入していきます。

 

まず、温めている間に凍った出汁を味見。
「つめたすぎてよくわからない‥」「おいしくない」との声が聞こえてきます。

 

次は、20℃。
「魚くさい‥」「あんまりおいしくない」などなど。
でも40℃になると「おいしい~!」「しみる~!」ほっこりお出汁味に、みんな思わず笑顔に。
60℃になると、「熱いけどこっちの方がおいしい」「さっきの方がおいしいような気がする」などなど、それぞれ違った印象だった様子です。

 

一般的に「うまみ」は40~60℃くらいが一番強く感じる一方で、塩分は一番感じにくいのだそう。
みそ汁などの汁物は塩分が高くなりがちで、うまみをうまく採り入れると良いとのことでした。

 

続いてはアイスクリーム。
60℃のアイスクリームは「プリンのような味がする」「甘すぎて食べられない」「もはやアイスじゃない」などなど、子どもたちも楽しそう。

 

一般的に「甘味」は冷たいほど感じず、また「油分」が多いと「甘味」を感じやすいのだそうで、「アイスクリーム食べるのやめよう‥」とダイエットに敏感な高校生らしい感想もありました。

 

■お待ちかねの「世界のお料理が楽しめるランチバイキング」

さて実験が終わったところで、ランチタイムです!
今回は、世界中に拠点のあるバクスター社にちなみ、「世界のお料理」をテーマに色々な国のお料理のおいしそうなケータリングをご用意いただきました。

 

各料理の小話なども伺いながら、いただきました。子どもたちにはチキンナゲットが大人気。

そして、デザートには実験で作った「いちごのコンポート」。
ラップを外すと、鮮やかな色のいちご、甘い香りが広がります。
これまたおいしそう!!


常温と冷蔵とで比較してみると‥断然常温の方が香りが強く、甘い!
出汁の実験では、感じ方がまちまちだったものの、このいちごは満場一致で常温の方がおいしい、でした。

 

どうしても冷やして食べがちなデザートですが、あたためていただくことで、砂糖を控えることができそうです。

 

■医療の現場で使われる薬や機器、メーカーのお仕事について知る

午後は、医療のお仕事といっても色んなお仕事がある、ということを、医療機器の実物を見たり、お話を聞いて学んでいきます。

 

お薬の効能や、医療機器についての正しい情報をお医者さんや看護師さんに説明するMRの仕事や、お薬や医療機器、治療法などを広く医療従事者に知らせるマーケティングの仕事。患者さんとの信頼関係を築くカスタマーサービス、お医者さんや看護師さんと患者さんを最適な治療方法を選ぶために支えるクリニカルコーディネーター、会社の活躍を社内外の人に知ってもらう広報の仕事。

 

普段見る機会のない医療機器を前に、たくさんの飽きない工夫を凝らしながら説明してくださったおかげで、医師、看護師、薬剤師といった、普段自分たちが「患者」として接する職業以外にも、様々な医療に関る仕事があることを学ぶことができました。

 

風船が縮む力をを利用し、薬をすこしずつ体内に投与する「インフューザーポンプ」はガンや痛みの薬をお家でも投与できるように治療で使われます。このインフューザーに薬剤を入れる過程を色水をつかって体験しました。

 

腎臓の働きや慢性腎臓病について、その治療の一つで在宅で行うことのできる透析「腹膜透析」について紹介がありました。

 

患者さんの使いやすさを追求し、タッチパネルや日本語の音声ガイダンスを備えた腹膜透析に使用される医療機器がどのように使われるか、さらに一つ2.5リットルという大きさの透析液バッグに実際に触れながら、腹膜透析患者さんの治療について学びます。

 

さらにもう一つの末期腎不全の治療選択肢、血液透析がどのような仕組みで働くかについての紹介では、浄水器の中空糸フィルターにオレンジジュースを通すことで、「透析」で行われる「ろ過」の仕組みを知ります。
フィルターに通したオレンジジュースの色や味が変化して歓声が上がります!

 

看護師の資格を持つクリニカルコーディネーターが医師や患者さんをつなぐのに役になっていること、患者さんが早く回復できるように手術を助ける医療機器のマーケティングの仕事の紹介に続き、カスタマーサービス部のデモンストレーションも見せていただきました。
ハキハキと滑舌良く喋る様子に、「芸能人みたい!」とのコメントも。

 

■最後に

付き添いの職員の先生から「みなさんのお仕事を続けるコツはなんでしょうか」という質問に、社員のみなさんからお答えいただきました。

 

特に印象に残った2つをご紹介します。

 

ひとつめは、「ここにいる人たちは、2~3回程度は転職してここにいる」という「同じ職場に居続ける必要はない」というメッセージ。
社会も、自分の置かれている環境も、気持ちも、日々変化する。
続ける力はもちろん大事ですが、その変化に対応していく力もまた、大事なのかもしれません。

 

そしてふたつめは、「仕事ってつらい。つらいことは多いけど、それが全部吹き飛んじゃうくらい嬉しいことがある」「そしてそれをここにいるみんな(社員)は知っている」という言葉と、バクスターのみなさんの「そうそう、それそれ」というあたたかな笑顔です。

みなさんが、患者さんのいのちのために誇りを持って仕事をしている、そしてすばらしいチームワークを持っているのだなということを、その場の空気から強く感じました。

 

きっと子どもたちも働く大人の自信を感じ取り、働くことに対する期待が湧いてきたことと思います。

 

もうすぐクリスマス。
バクスターさんのある「虎の門ヒルズ」の名物”トラのもん”も、かわいいサンタクロース仕様です。
参加した子どもたちからも「かわいい~~~!!」と歓声があがります。

 

本格的な寒さを感じた日でしたが、子どもたちも大人も心温まる思いで一日を終了することができました。

バクスターのみなさま、貴重な体験の場をご提供くださりありがとうございました!

「よこはま Port For」では、児童養護施設を退所した若者などが、気軽に立ち寄れる居場所として、仲間との交流の場として、食事を提供したり、各種イベントを開催したりしています。

毎月第1金曜日には、「プロの話を美味しくゆる~く聞く会」を開催。
毎回、多彩なゲストをお迎えして、いろいろな話をお聞きしています。

 

◆2019年10月4日開催

<参加者>
スタッフ・サポーター3名/若者4名

 

<ゲスト>
有吉社長(ありさん:株式会社ソーケン )
川上直哉さん(岡山県井原市美星町 喜楽別亭 オーナーシェフ )とご家族
西尾友宏さん(元 ブックカフェアイテール(沖縄)店長)

 

川上さんは、日本の原風景の中にある庵「喜楽別亭」のオーナーシェフで、美星を世界に送り出すための組織「ir.bisei」代表。美星町の奇跡のシェフと呼ばれていらっしゃる方で、3度目の来所でした。西尾さんは初めての来所です。

川上さんは事前に美星町の特産であるベーコンや野菜を送ってくださり、当日は有吉社長をはじめとするお三方で買い物をしていただいたものを使って料理をしてくださいました。 また、西尾さんにはご自身のお店で培った腕で最高のコーヒーを入れていただきました。

 

今日のお題は「趣味」。
それぞれがニックネームと自分の趣味を発表する自己紹介タイム。
淡々と話す人、面白おかしく話す人いろんな人がいましたが、そんな自己紹介から話が盛り上がり楽しい会ができました。

 

食後には川上さんから送っていただいた美星町のプリンや、群馬の宮田さんに送っていただいた梨のデザートで、みんな大満足。美味しい時間と、楽しいお話で素敵な時間を過ごしました。

 

 

◆2019年11月1日

<参加者>
スタッフ・サポーター3名/若者2名

 

<ゲスト>
荻野隆さん (ジョンボさん:アオイネオン株式会社)

 

荻野さんは3度目の来所。

スタートは恒例の自己紹介タイム。この日のお題は「最近、自分がイケてると思うこと」でした。
お題が少々難しかったためか、少し違った形にアレンジして、「自分がはまってること」を発表する参加者が多かったです。
お題を考えてくださった荻野さんは、ご自身がかかわっている仕事についてお話ししてくださり、「自らが中心になって新しいことに挑戦していること」が、「イケてるな」と思っているとのことでした。

 

続いて、ネオンの流行り廃りについて話してくださいました。
廃り始めたネオン産業をどう復活させていくか。CSR活動に結びつけたり、アーティストとコラボしたりして、ブランディングすることで、ネオン産業の新しい道筋を創造しているという話に、参加者が多いに興味を持ちました。
質問もたくさん出て、盛り上がりました。

 

この日の心に残る一言は、
「新しいことを始めるのに必要なのは、やろうとする気持ちがあるかないか! これが一番大事」

新しいことを始めようとすると、否定する意見が出てくることが多い。
そして、もし成功すればジェラシーを伴った言葉が投げかけられることが多い。
それでも、やり遂げるには、「やろうとする気持ち」が大事、というお話でした。

 

 

◆2019年12月6日

<参加者>
スタッフ・サポーター3名/若者2名

 

<ゲスト>
番場琢磨さん(プロレースドライバー、ドライバーイベント講師)
たちばなさきさん(女優、元レースクイーン)
備後由紀子さん(元 番場さんのマネージャー)

 

食事をしながら、ゲストの番場さん、たちばなさん、備後さんのお話を伺いました。

 

・番場さんのお話
一流の方は必ず自分は運が良いと言います。自分は必要な時に助けてくれる方々と出会ってきました。だから、青信号で上手く渡れた時など、日常の些細なことでも幸運だと思うようにしています。
自分の使命は関わった人を笑顔にすることだと思っています。高齢者を相手にしたドライビング講習でも、最初は若年者の自分が講師だとわかると不機嫌になる人もいます。でも、その人を講習をやっている2時間の間で、笑顔に変えていくことがやりがいです。これからも、人を笑顔にしていきたいです。

 

・たちばなさんのお話
レースクイーンから女優に転向した時、簡単に女優業ができると思っていました。でも、何もできない自分に気が付きました。今は出身地の宮城の東日本大震災を題材にした舞台に参加しています。伝えることの大変さと難しさを感じています。

 

・備後さんのお話
現在はレースクイーンのマネージャー業をしています。業界の中では所属のタレントをコマのように扱う人もいます。私は人と人として接するようにしています。だから、厳しいことも言うこともあります(笑)。

日時:2019年8月13日 13:30~16:30
子どもの参加人数:5人

内容:会社説明、JPタワーからの脱出、AI深層心理分析、ビジネスミーティング&プレゼン体験

 

東京駅から徒歩1分、そして窓からは皇居を一望できるKITTEビル。
そんな東京のど真ん中にあるネットワンシステムズで、ジョブ・プラクティスは開催されました。

 

■会社説明

簡単な自己紹介を終えて、社員の方がネットワンシステムズとはどんな会社なのか、何を扱う会社なのかについて短い質問を交えながらわかりやすく教えてくださいました。

 

ネットワンシステムズとはインターネットやパソコンなど我々の社会生活を支えている『ICT』を扱う会社です。
お客さんの要望に応じて技術や商品を組み合わせたICTインフラシステムの提供や監視、修理、さらには海外の最新IT製品・技術を日本の会社に提案なども行っています。
フレックス制を導入し、テレワークで自宅から仕事をする社員さんもおり、働き方を選べるのもこの会社の特徴です。

 

■JPタワーからの脱出

ICT機器を駆使して、謎を解き明かす今回のメイン企画がスタート。
突然、スクリーンに映像が映し出されました。

 

「JPタワーが閉鎖されました。皆さんは謎を解き明かし、ここから脱出を試みてください」

 

不適な笑みを浮かべる怪しい男からの挑戦状…
実はこれ、今回のために用意された社員さん手作りのオープニングムービー。
ワクワクする仕掛けを作っていただきました!

 

ゲームは、まず最新のICT機器から送られてくるメッセージをヒントに、オフィスに散らばった「なぞ」を探し出します。
すべてのなぞを集めたら、部屋に戻って謎解きにチャレンジし、全問正解で見事脱出です。

 

ヒントがホログラムディスプレイで表示されたり、支給されたスマホをぬいぐるみにかざすとなぞがLINEに送られてきたり…オフィス内に設置された様々なICT機器は驚くものばかり。
子どもたちは楽しそうに操作したり触れてみたり。全員無事なぞを見つけ出し、謎解きがスタートしました。

 

《出題問題の一部》※皆さんも解いてみてください!

①つかすいもくきんどに?? 【?に入るひらがな】

②77 49 36 18 ?? 【?に入る数字】

③50セントで買える車の部品ってなーんだ?

 

B4Sスタッフや施設職員も謎解きにチャレンジしましたが、問題は大人が頭を抱えるほど工夫を凝らしたものばかり。
子どもたちは悪戦苦闘しながらも、ほぼすべての問題を解き終えて、見事全員脱出に成功しました!
そして、楽しみながら最新のICT技術を知るという今回の企画も大成功でした!

 

■お仕事紹介

続いて、ネットワンシステムズで働いている社員さんから、新規事業についてのお話を聞きました。
まだ世にない新たな製品やサービスを生み出すために、社員さんは、人や本、毎日の出来事から刺激を受けるとともに、アイディアを出すための訓練もしているそうです。

 

さらに、必要な技術や人の手を借りてアイディアをカタチにし、それが安全か不具合はないかの検査を経て、はじめて世に生み出されるそうです。
こうした過程を辿って、現在ネットワンシステムズで開発中のサービスを次の時間で体験することができました!

 

■AI深層心理分析

人間が普段意識をしておらず一般的に外部からは見ることができない部分を潜在意識といいますが、現在この潜在意識を可視化してしまう、という技術を使った新規事業を検討しているそうです。
実際に体験を交えながら紹介してくださいました。

 

子どもたちが体験したのは、60枚の画像から好きな10枚の画像を選ぶことで、その人の潜在的な性格や適性職業などのパーソナル情報、また人同士の相性度さえわかってしまう高性能のシステム。

自分の性格に当てはまる結果が出たことに子どもたちは驚いていました。

 

将来はこうした潜在意識をAIで可視化し、それに基づいてお客さんにおすすめ商品を提示したり、会社の採用やプロジェクトチームの相性を考えたりもできるそうです!

 

■ビジネスミーティング&プレゼン体験

いよいよ最後の企画、でもその前にちょっとアイスブレイク。
大人・子どもが輪になって、端から「○○が好きな□□です」と自己紹介し、次の人は「○○が好きな□□さんの隣の●●が好きな■■です」と続きます。

 

前の人の名前と好きなものをすべて覚えておかなければいけないちょっと難しいゲームですが、なんと一発で成功!

次に逆からスタートしましたが、これも成功。すっかりお互いの顔と名前が分かるようになりました。

 

打ち解けたところで、企画がスタート!
まずは2チームに分かれて「好きなもの」を決めます。それが決まったら「なぜ好きか」「どこを人に勧めたいか」をまとめ、他のチームにプレゼンします。

ここで、再びネットワンシステムズならではのIT製品が登場!
Webexというオンライン会議のシステムで、別室に移動したチームはテレビから流れる片方のチームの発表を見て大はしゃぎでした。

 

共通して好きだと思えるものを探るところから始まり、好きな理由をピックアップし、人に勧めるためのポイントをまとめていく…「好き」というとてもシンプルな設定でも、話し合って、発表することの難しさと新鮮さを子どもたちは痛感したようです。アンケートでは「大人ってすげぇなって思った」という感想もありました!

 

あっという間の4時間が過ぎ、盛りだくさんの体験が終了しました。

 

今回は皆が不自由なく生活できたり、ワクワクドキドキする体験を可能にしたりする最新のICT技術に触れ、さらに、こうしたシステムを生み出す社員さんの刺激的な仕事を体験することができました。

 

ネットワンシステムズの社員のみなさま、子どもたちのために貴重な場をご用意くださり、本当にありがとうございました!

 

【問題の答え】
① ちげ :曜日の一部。か、すい、もく、きん、ど、に(ち)、(げ)つ
② 8    :7×7=49、4×9=36、3×6=18、1×8=8
③ハンドル:半ドル(=50セント)

開催日時・場所:2019/12/8日
参加者数:高校生 18人/ボランティア16人
講師:ありぽん


児童養護施設を来年春に退所予定の高校生たちを対象とした『巣立ちセミナー』が、早くも第5回を迎えました。

今回のテーマは金銭管理。
初回のセミナーで、多くの高校生が退所後の不安として挙げていた項目です。
春からの新生活をスムーズに進めていくために、どんな目的でどれぐらいお金が必要なのか、予期しない出費を抑えるにはどうすればよいのかなど、お金の使い方に関する心構えを学んでいきます。

 

もうすぐクリスマスということで、サポーターは赤や緑の服をまとい、会場もクリスマス風に飾りつけ。講師のありぽんの元気な掛け声でセミナーが始まりました。

 

◆お金、税金、社会保障の基礎知識

まずは自己紹介を兼ねて、日頃「お金で工夫していること」を話し合います。
高校生からは早速「封筒貯金!」「収入の半分は手をつけない」といった意見が出てきました。

 

続いて、給与明細の見方や税金、社会保障の役割などをざっくり学んでいきます。
高校生も大人も何となく知っているけれど、詳しくは知らないことがいろいろ。
講師の解説を、その話題に詳しいサポーターが補足し、皆で理解を深めていきます。

 

◆思わぬ出費に備えよう ~ ブリッジ学園物語

次は、ケースワーク「ブリッジ学園物語」。
児童養護施設ブリッジ学園を退所後、フリーターになったA君と、A君の相談相手“しっかり先生”とのやり取りを通じて、社会保険の役割や借金の怖さを学びます。

 

ありぽんのまわすマイクに合わせて、一言ずつA君の台詞を読んでいく高校生たち。
比較的落ち着いた雰囲気で淡々と読んでいましたが、ケガをきっかけにお金に困ったA君がヤミ金の広告を見つけて「こ、これだ~!」と言う場面で感情がこもり、笑いが起きました。

 

読み終えた後の話し合いでは、高校生から「そもそもなぜ保険証を持っていなかったのか」「医療費に困った時点で人に相談すべきだった」「貯金しておけばよかった」などの意見が出てきます。
高額療養費制度を利用したことがあるサポーターからは、手続きをスムーズに進めるコツの紹介もあり、皆で、病気などへの備えや困ったら相談することの重要性を確認しました。

 

その後改めて、正社員、フリーターといった立場別に、病気やケガ、出産、倒産などの場面で社会保険からもらえるお金を金銭管理シートに記入していきます。
正社員とフリーターのシートを見比べながら、「思った以上にもらえる金額が違いますね。やっぱり正社員がいいです…」とつぶやく高校生も。
社会保険の意義と種類の違いを実感した様子でした。

 

◆クリスマス・ランチ

今回は、ランチもクリスマス風で豪華版!
色鮮やかなオードブル、お寿司、ケーキが並びました。

 

…が、それぞれの取り皿を見ると、意外と控えめに盛り付けている高校生たち。
いつもと違って大皿から取り分ける形式だったため、全員に行き渡るように気遣ってくれたようです。

 

「遠慮しないで、もっと取っていいよ!」とサポーターに促され、照れくさそうな優しい笑顔を浮かべる姿が印象的でした。

 

◆目指せ、やりくり上手! ~ ミッション・ゲーム

午後の部では、クレジットカードの注意点やお金がない時の遊び方、節約術について話し合った後、月々のやりくりを疑似体験する「ミッション・ゲーム」のワークに進みました。
「貯金」「食事」「娯楽」といった支出場面ごとに、「外食グルメ派」「そこそこ自炊派」など、自分はこうしたい(こうするだろう)と思うカードを選び、カードに書かれた金額を手元のシートに書き込んでいきます。

 

そんなに贅沢したつもりはないのに早々に予算オーバーし、「赤字過ぎてやる気が出ない…」と嘆く声もちらほら。実際、サポーターも含めて参加者の多くが赤字になってしまいました。

 

しかし、なかには3万円以上黒字になる高校生も!
しっかり貯金していたため、思わぬ臨時出費を回避できたことが成功につながったようです。

 

そこで、高校生たちは改めて支出のイメージを見直します。赤字の人は原因を振り返り、どうやったら予算の枠内で出費や貯金をうまく配分できるか、試行錯誤していました。

 

最後はこれまでの総復習で、仕事を辞めてから次の仕事が見つかるまでに必要な費用を見積もります
仕事を辞めてしまうと、収入はゼロになる一方で、日常生活に必要なお金は減りません。
高校生も大人も、次に進むには備えが必要なことを実感するワークでした。

 

◆社会人トーク

締めくくりの社会人の話はミキティから。
私生活や仕事での体験を踏まえて、「大きな出費は、本当に自分にとって必要かどうか、よく考えて」「行政などからよく分からない手紙が来たら、無視しないで周りに相談して」と明確なメッセージを送ってくれました。

 

◆1日の振り返り

前回の不動産の話と合わせ、新生活に必要なお金について一通り学んだ高校生たち。
振り返りの時間には、「計画性を持ってお金を使おうと思った」「一人暮らしの出費が予想より多かった。風邪をひかないように、健康に気をつけたい」「国民健康保険は絶対に入ろうと思った」などの言葉が聞かれました。
難しい話もありましたが、それぞれに学び取っている様子が伝わってきて、頼もしく感じました。

 

『巣立ちセミナー』は残すところあと1回。
進路が決まったという嬉しい報告が相次ぐ一方で、採用面接や入試を間近に控えて忙しい中で参加してくれている高校生もいます。
全員の進路が無事に決まるよう祈りつつ、巣立ちの日を晴れやかに迎えられるよう、最後まで一緒に学んでいきたいと思いました。

 

(サポーター:なっきー)

開催日時・場所:2019/11/17 東東京ブランチ
参加者数:高校生20人/ボランティア22人
講師:ぴおにー

 

来春、児童養護施設を退所する高校3年生を対象にした「巣立ちセミナー」の第4回目が、11月に東京や神奈川、千葉など各所で行われました。

 

今回は、東東京ブランチの模様をお伝えします!
会場は、セールスフォース・ドットコムさまにご提供いただきました。ご協力をいただいた皆様、どうもありがとうございました。

 

◆まずは、改めましての自己紹介♪

ベテラン講師・ぴおにーからの提案で、6~7人のテーブルごとに「実は私〇〇なんです!」という自己紹介からスタート。
面白いことを言おうと張り切る子もいれば、言葉につまるシャイな子も。
共通の趣味を見つけて盛り上がる場面もあり、サポーターや高校生がお互いに興味を持つ良いきっかけになりました。

 

◆知りたい!みんなのお金の使い方

場が和んだところで、次のお題へ。
「10円あったら何に使う?」という問いかけに、「10円って…」と困惑気味だった高校生たち。ところが「10万円あったら?」の問いには、「家電を買う」「やっぱり貯金する!」と真剣に考えていました。

 

◆恐怖!10万円の詐欺被害

「10万円があれば、買えるものがたくさんある」と分かったところで、ネタばらし。
実はこの金額は、児童養護施設を退所したみんなの先輩が詐欺被害に遭ってしまった時の被害額だったのです!

 

「怖いね」「うわぁ、気をつけよう」
そんな声が多く聞こえてきたことで、講師もサポーターたちも一安心。
これから巣立っていくみんながトラブルに巻き込まれないように、学んでほしいことがたくさんあるので、最後まで頑張ってね!

 

◆退所後の暮らしはどう変わる?

高校生に4月からの生活を聞いてみると、進学をする子と就職をする子は半々くらい。一人暮らしをする子もいれば、自立援助ホームに入所する子、シェアハウスに住む子など、さまざまでした。
4月からの暮らしがどう変わるのかをシミュレーションしてみると、平日は学校やアルバイト、仕事で忙しくなる分、「休日はひたすら眠りたい」という意見も多数出ていました(笑)。
みんな現実的だなぁ。

 

◆一人暮らしのお値段は?

昼食後はいよいよ本題!物件探しから契約まで、一人暮らしの流れを疑似体験しました。物件情報や契約書はもちろん、サポーターの中には本物の大家さんもいたりして、リアルなやり取りを教えてもらうことができました。

 

本番さながらのワークに高校生たちも本気で物件探し!
家賃や敷金、礼金、家具・家電にかかる費用を計算し終えた子からは「こんなにお金が掛かるんだ!」という驚きの声も挙がり、それぞれに新しい発見があったようです。

 

◆サポーターの失敗に学ぶ!?

ワークの合間には、「社会人の話」として、3人のサポーターからの発表もありました。私、れもんは「物件探し」を、とまとんは「一人暮らし」をテーマに赤裸々な体験談を披露。エリザベスは「トラブル事例」について熱く語ってくれました。

 

3人ともテーマは異なるものの、なぜか失敗の暴露大会のようになるオトナ達。長く生きていれば失敗の1つや2つや3つ…ありますよね!?
特に、空き巣被害や契約トラブルに遭ったエリザベスのドラマチックな体験談には、高校生たちも真剣に耳を傾けていました。

 

社会人の話を通して、大人だってさまざまな経験をしているのだということや、失敗してもリカバリーできるということ、1人で悩むより誰かに相談した方が早く解決するということを知ってもらえたのではないかと思います。

 

◆熱演!就職したAくんの失敗事例

児童養護施設を退所した先輩が実際に経験したトラブルを、ドラマ仕立てで振り返るワークでは、意外な才能を発揮する高校生もいました。
迂闊な言動で職場を辞めざるを得なくなったAくん役も、Aくんをそそのかす悪い先輩役も、初見で朗読したとは思えないほどの演技力!
高校生も大人も惜しみなく拍手を送っていました。

 

2人の熱演のおかげか、「Aくんの行動は何が間違っていたのか」「どうすれば良かったのか」といった議論も活発に行われ、同じような状況に遭遇した際に、どのように行動すべきかをみんなで確認することができました。

 

◆トラブルに遭ってしまったら

児童養護施設を退所した先輩達や、サポーター達がたくさんの失敗を経験していることからもわかるように、トラブルはいつ、誰が巻き込まれてもおかしくはありません。
日頃から防犯対策を行うことはもちろんですが、何よりも大切なのは「トラブルが起きた時に誰に相談すべきか」だと、ぴおにーは力説していました。

 

施設で暮らす高校生たちは、責任感が強い子が多く、他人に迷惑を掛けたくないと思ってしまいがち。だからこそ、「困った時は一人で悩まずに、周囲の信頼できる大人や公的機関、B4Sを頼ってください」というメッセージを改めて伝えました。

 

◆本日の振り返りタイム

振り返りの時間では、「困ったらここに電話すれば良いんだよね?」という確認をしている子や、「セキュリティにも気をつけて物件を選ぶようにする」と言っている子が多くいました。
今日の巣立ちセミナーが、みんなからトラブルを遠ざけることに繋がったら嬉しいな。

 

巣立ちもいよいよあと2回。第5回はクリスマスシーズンなので、みんなでケーキを食べたいと思っています。
もちろん、高校生たちが巣立つ前に知っておいて損はない情報も満載です!来月も楽しく学びましょう♪

 

(サポーター:れもん)

「ブリッジフォースマイルのスタッフって日中どんな仕事をしているんですか?」

 

ある時、ボランティアさんからこんな質問を受けました。

 

NPOのスタッフが実際何をしているのかわからない方も多いと思います。
B4Sのスタッフは、プロジェクト運営・退所者への個別支援・支援に関わる大人たちの人材育成など、目的ごとにチームに分かれて活動をおこなっています。そのなかで、私は「施設コミュニケーション」というチームに所属し、児童養護施設や自立援助ホーム等の施設の窓口となり、就活に関するセミナーや退所後の自立に向けた巣立ちセミナーなどのプログラム利用を促進したり、個別対応が必要な支援対象者がいれば専門支援チームに繋ぐ役割を担っています。

 

しかし、私たちが施設へ情報を提供しても、毎年利用する施設もあれば、様々な事情で利用していない施設もあります。B4Sは設立15年ですが、15年間でプログラムを利用したことのない施設が、じつは1都3県のうち11%あるのです。
15年も活動しているんだから、100%利用してるんじゃないの?と思われるかもしれませんね。

 

ですが、施設によっては日々の業務に追われ、子どもたちの退所後支援まで見据える余裕がなかったり、人手不足により外部の資源を活用するマンパワーがなかったりする場合もあります。また、B4Sのプログラムを利用するにも業務連絡や引率など職員の負担がかかり、現場ではとにかく人手が必要なのです。
それをどれだけカバーできるのか、 事情を一つ一つ聞き出し解決していくのが、施設コミュニケーションの仕事です。

 

私は4月に、プログラムをほとんど利用していない児童養護施設の担当となり、職員さんと入所中の高校3年生 Aさんの退所後の自立支援について話す機会が増えました。この施設は八王子から1時間という遠方にあり、アクセスの不便さから都心の会場に子どもたちを簡単に送り出せない事情がありましたが、今年度から八王子で集合型セミナーを開催することになり、職員さんへAさんの参加を打診してみました。
「毎年参加させたいと思っていましたが遠方で諦めていました。八王子なら参加させやすい!」と、就職活動や施設を退所することへの気持ちが向いていないAさんに対して、セミナーへの参加を強く勧めてくださいました。

 

結果、Aさんは、B6月「真剣☆発見☆Myキャリア」、7月「コミュニケーションセミナー」に参加しました。Aさんの参加したセミナーには私も毎回スタッフとして参加していたので、Aさんとの関係性も生まれ、セミナー終わりに本人から個別に就活の悩みを打ち明けられました。

 

Aさんの悩みを聞いた私は、それを施設に共有し、職員さんも日々の生活のなかでAさんの悩みに気づいていて、「ぜひ個別支援をお願いしたい」と依頼を受け、B4Sの専門支援チームに共有してつなげました。
専門支援チームとAさんで相談して、キャリアガイダンスツールである職業レディネステスト(VRT)というを実施したところ、就労へのイメージが具体的になり、Aさんは就活に意欲を見せ始めました。そして、9月には「高3就活セミナー」に自主的に参加するまでに!
現在は、全6回の退所後自立準備セミナー「巣立ちプロジェクト」に毎月参加しています。

 

施設に対して、資源であるB4Sの情報を提供するのが施設コミュニケーションチームの仕事ですが、ただ情報提供する一方的な関係ではなく、職員さんと一緒に協働し子どもたちに向き合っていきたいと考えています。また、今回Aさんへのサポートも、私と職員さんが連絡を取り合い、お互いに違った視点でAさんに働きかけたことで、就労への意識が自然と向いたのだと思います。

 

子どもたちに必要な情報を届け、利用してもらうまでの道のりは、決して容易なことではありません。未だに11%の施設は、B4Sのプログラムを利用したことがないので、全体を見てもまだまだ施設によって格差が生じているのです。その施設間格差を埋めることも、私たちのミッションの一つです。

 

子どもたちの生活の場にいる職員さんの想いや考えを知ること、そこから私たちが施設に必要なサポートを継続して提案していくこと。
これからも細く長く、双方にとってより良い支援体制を築いていけたらと思います。

Bridge for Smile

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私たちは、児童養護施設や里親家庭などで暮らす、親を頼れない子どもたちの巣立ち支援をしているNPOです。
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