退所者支援の現場から

【連載 14】応援の功罪

「夢を持つことは大事で、努力すればそれはきっと叶う」

児童養護施設の中高生と退所者の支援をしているNPOのスタッフやボランティアは、目の前の子どもをそうやって励ましていると思われる方も多いかもしれません。

実際は真逆で、私たちの活動において、とくに中高生に対して、この言葉はタブーに近いです。
それは、親代わりの施設職員による支援計画を、邪魔することになりかねないから。
施設を出た後、安定的に生活できるように考える職員の立場からすれば、夢を目指すことや、そしてその過程で必要な進学を、諦めさせなければならないこともあります。

とくに、大学進学。
親を頼れない環境で4年間、慣れない一人暮らしや学費と生活費の工面を両立させなければなりません。中退してしまえば、高校新卒と比べて正社員としての就職は難しく、奨学金が借金となる場合もあります。
実際に施設退所者の中退率は高く、ハイリスクな進学という選択をむやみに応援できる職員ばかりではありません。

国から奨学金が出るようになり、その状況も変化の過程ですが、経済的にラクになればすべて解決するともいえません。精神的に不安定になりやすかったり、周りの学生との差やコミュニケーションに悩みやすかったり…。さらに困ったときに無条件に頼れる人やSOSを出せる相手の不在などが絡まれば、卒業まで支えなしに乗り切るのは簡単なことではないのです
理想と現実の乖離を真剣に捉えるからこそ、その折り合いをつけさせることもまた、心を鬼にした職員による支援のひとつの方法と言わざるを得ません。

 

夢を応援したい気持ちとは裏腹に、環境がいかに厳しく、それを許さないか。

挑戦の後押しをするために、何度でもやり直しがきく環境が必要です。

「その夢はきっと、叶うよ」

そんなふうに背中を押せるかどうかは、私たちやあなたが、その子に夢を育む環境を用意できるか否かにかかっています。

 

(事務局スタッフN)

 


【退所者支援の現場から】 連載 15:見守り続ける大切さ / バックナンバーはこちら

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