退所者支援の現場から

【連載 13】高卒新卒の就労について

大学生 平均30社
高校生 限定1社

これは、就活をする際の応募する企業数。もう少し詳しく説明すると、平成30年度は、高卒新卒1人あたり、2.37件の求人がありましたが※1、基本、高校生が一度に応募できるのは1社のみです。大学生のように、複数の会社に同時に応募することも、内定をもらうと就活を続けることもできません※2

高校生の新卒での就職率※3は、
全国:18.3%
児童養護施設出身:63.3%

児童養護施設には原則18歳までしかいられません。

私が出会った、高校3年生たちが就職先を決めた理由は、
・寮があるから
・給料が高かったから
・先生に勧められたから
・なんとなく興味があったから
・会社見学に行ったらみんなが優しかったから
そんな理由が多いです。

卒新卒の約1年後の離職率※4
全国:19.4%
児童養護施設出身:25.5%

再就職の相談でB4Sに連絡をくれた退所者に離職理由を聞くと、
・休みがほとんどなくて体を壊してしまった
・仕事が全く向いてない、又は、戦力になれなくて、迷惑かけるのが申し訳ない
・人間関係に失敗した
・職場でいじめられた
・地元の先輩にいい仕事紹介してやるって言われたから、辞めたが、紹介してもらえなかった
こんなことを言います。

離職した途端、次にまた正社員を探すのは、容易ではありません。
親を頼れない彼らには、仕事をじっくり探す猶予はないからです。
しかも、高校卒業後、たった数ヵ月で市場価値は極端に落ちます。
働いた期間が短ければ短いほど、その評価は目減りします。

彼らの市場価値とは一体何なのでしょうか。

元気だったら、
素直だったら、
挨拶ができれば…。

人にはそれぞれに個性があり、向き不向きがあることを、人はみな理解しているのに、採用という場面になると、大卒の若者に個性を求めても、高卒の若者には個性は求めていないように感じるのです。

このシステムの中で就職・離職した親などの後ろ盾がない彼・彼女らのその後は、社員寮などに住んでいた場合は離職と同時に、住む家も失います。そのため、手っ取り早く、すぐ働ける場所を求めます。その際、ちょっとしたきっかけで、夜の仕事に流れてしまう退所者も出てきます。

住む所があっても貯金がない退所者は、給料が入るまでの生活費に困ることから、転職活動よりも日当でもらえる日雇いの仕事を探しがちです。「いつかは正社員に」という気持ちがあったとしても、今日を生きるためにアルバイトを続けているうちに、正社員の機会を逃してしまう場合もあります。

バイトが休めたら、もう少しお金が貯まったら、いつかは、いつかは、そう思っているうちに、何も経験を積んでいなくても許される年齢は、本人たちが気づかないまま、過ぎていきます。
たまたま、親が育てられなかったら、たまたま就職した先が悪かったから、そのたまたまはこの期間に、自己責任論へと変わっていきます。

このようなシステムは正しいのか、彼らのために何が必要なのか、一緒に考えて頂けたら幸いです。

(事務局スタッフM)

※1:求人倍率は厚生労働省発表のデータより
※2:高卒の就職活動は、都道府県によって異なり、9月中は
一人一社制、10月一人二社制のところが多いです。
※3、※4:いずれもブリッジフォースマイル2018年調査データより

 


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