【連載 09】退所者の進路選択

高卒後、大卒後などタイミングはいろいろですが、誰しも働くことを目指します。
なかでも、児童養護施設の子どもたちは、頼れる親がいない分、早い段階から退所後の生計を意識した進路選択をする必要があります(80%以上が、高校卒業と同時に退所します:※1)。

まず中3のタイミングでは、95%以上が高校へ進学します(※2)。その際の高校選択については、高卒後に就職を希望するのであれば、商業高校や工業高校に行ったほうが簿記など仕事に役立つ実践的な内容が学べ、就職紹介先が増えるので有利だと考えられます。

障害者手帳の取得が濃厚であるなら、職業トレーニングや就労支援が充実している特別支援学校に行くほうが良いのですが、なかには自分の障害を受け入れられない子もいます。

大学などへの進学を希望する場合は、普通校さらには進学校を選ぶことになります。ただし、進学にむけて資金を貯めておかなければいけない施設の子どもたちにとって、高校がアルバイトを認めているか、アルバイトをする時間が確保できるかも大切な確認事項となります。

高校入学前に高卒後の見通しを立てられなかった場合でも、どんなに遅くても高3の夏休みには進路決定をしたいものです。というのも、9月16日から高校生の就職活動が解禁となるためです。進学の場合は、AO入試や推薦入試も始まりますし、奨学金申請も進めなくてはなりません(AO入試や推薦入試、奨学金は、夏休み以前から手続きをする必要があるものもあります)。

進路選択において、施設職員からの働きかけは非常に重要で、丁寧なコミュニケーションが求められます。しかしながら、施設職員は幼い子の世話やトラブルの対応に時間が割かれてしまい、高校生たちの進路相談にゆっくり時間を取ることが難しいことも多いです。
思春期の難しい時期に、反発したり引きこもったりしてしまう子もいます。最近では高校生になってから入所してくるケースも増えており、職員と進路について腹を割って話せるほどの関係性が築けていないこともあります。

子どもたちの進路選択に、サポートする職員の職業観や知識も大きく影響します。
安定志向が強い職員であれば、就職希望の子に対しては社員寮がある会社を勧めがちです。進学希望の子に対しては、介護や保育といった仕事に直結した資格が取得できる学校への進学を勧めがちです。一方で、職員が疎い分野、例えばIT業界などについては、情報をあまり持ち合わせていないため、進路選択の議論の場にあがりにくい傾向があります。

自立に向かう上で重要なカギとなる進路選択について、これまでの支援のなかで様々なケースを見聞きしてきましたが、まだまだ必要な支援が十分にできていないと感じることが多いです。

(事務局スタッフI)

※1:児童養護施設にいる中学生の高校進学率:96.3%
※2:高校卒業と同時に施設を退所する率:82.7%
社会的養育の推進に向けて(厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課:平成31年1月)より

 


【退所者支援の現場から】 連載 10:小さな一歩 / バックナンバーはこちら

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