【アーカイブ】全国児童養護施設調査2018

2018年11月13日

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私たちNPO法人ブリッジフォースマイルでは、

全国620の児童養護施設職員にアンケート調査を毎年実施しています。

子どもの虐待が多くのメディアに取り上げられる昨今。

受け皿となる社会的養護にも変化の兆しが見え始めています

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( 47都道府県の620施設に向け実施。有効回答数180施設 回答率29% )

 

■2018年度退所者の進路の内訳は就職63.3%、進学30.1%、無職1.6%

施設退所者の進学率は、2014年で26.3%、2018年退所者では、B4Sによる調査開始以降初めて三割を超え30.1%でした。近年、官民による支援制度の拡充が行われており、いずれの支援制度も利用していない退所者は、2014年の退所者の59.2%から、2018年の退所者では42.5%と減少しました。また、いずれの支援制度も利用していない進学者は、25.4%(2014年)から4.6%(2018年)に増えており、支援制度が進路選択の幅を広げている可能性を示唆しています。

 

■依然として高い中退率と、職員による自立支援・退所後支援の困難さが課題

一方で、2014年から2018年までの退所者における進学先の大学等からの中退率は16.5%で、一般進学者の中退率2.7%と比較して大きな差があります。2014年の退所者においては、4年3ヵ月が経過した時点で27.1%が中退していました。中退後の無職率13.6%、現況不明率25.2%の高さから、中退後にこそ丁寧な支援が欠かせません。自立支援・退所後支援の重要性が認識される中で、91.6%の職員が「支援を行う職員の数、時間を確保することが困難」と回答し、現場が直面する苦しさが窺えました。

ブリッジフォースマイルでは、今後も児童養護施設に対し、
退所後の子どもたちへの自立支援という観点から、
さらなる調査を続けていく所存です。

 


【全国児童養護施設調査2018】

◆社会的自立と支援に関する調査
調査実施者:特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル
調査対象:全国の児童養護施設(620か所)
調査時期:2018年6月〜8月
調査方法:自己記入式のアンケート
有効回答数:180施設(有効回収率29%)
主な調査内容:

過去5年間の退所者の退所直後から現在までの状況

利用したことのある支援制度
施設職員の支援上の課題


※本件へのお問い合わせ・取材のお申し込みは、お問い合わせフォームからお願いします。

2017年3月21日

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私たちNPO法人ブリッジフォースマイルでは、

全国600の児童養護施設職員にアンケート調査を毎年実施しています。

子どもの貧困が多くのメディアに取り上げられる昨今。

新たな公的支援制度により、希望格差はこれから解消されていくのか?

このたびまとまった調査報告書から見えたのは、 進学率26.5% という

低い進学率(全国高校生の進学率は71.2%)と公的支援制度への期待でした。
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( 47都道府県の600施設に向け実施。有効回答数134施設 回答率22.3% )

 

■2015年度退所者の進路の内訳は就職67.5%、進学26.5%、無職5.5%

2015年3月に施設を退所した子ども達の進路について、施設職員にアンケートを実施した。437人の退所者のうち、就職67.5%、進学26.5%、無職5.5%となった。文部科学省が行った調査によると2015年度の高校卒業者の進路内訳は、進学71.2%、就職18.6% となっており、一般の高校生の進学率約7割に対し、施設の高校生の進学率は約2割強と、大きな開きがある。この進学率はブリッジフォースマイルが過去5年間に渡り行なっている調査結果でもほとんど変化がなく、ここには退所後の生活費と進学費を全て工面しなくては進学できない施設高校生の厳しい金銭的事情があり、環境による希望格差が生じていると思われる。

 

■進学後1年経過時点の中退率は10.3%、4年経過時点で26.5%。全国4年制大学の中退率7.8%に比べ高い中退率。

2011年度から2015年度の施設退所者で退所直後進学した人が2016年6月現在どのような状況にあるかを、施設職員に答えてもらった。2015年度の退所者(2016年3月退所)のうち進学した116人(退所者全体の26.5%)は、進学して3ヶ月経過した6月時点でほぼ全員が就学を継続しているが、2014年度退所者は10.3%、2013年度退所者は14.7%、2014年度退所者は23.2%、2015年度退所者は26.5%が中退している。中退の問題は毎年生じており、全国の4年制大学の中退率が7,8%であることと比較すると、児童養護施設の子どもたちの中退率が高いことがわかる。ブリッジフォースマイルが2012年に行なったアンケート調査では中退の理由のトップが「経済的理由(24.7%)となっており、ここでも施設の子どもたちの厳しい金銭事業が伺われる。

 

■自立支援資金貸付事業への期待と懸念が浮き彫りに。

67億円の予算が組み込まれ4月より施行となる「児童養護施設退所者等に対する自立支援資金の貸付」と、同じく4月から施行となる措置延長(現在は児童養護施設の入所期間は原則18歳までだが、措置延長により自立が難しい場合は22歳までの入所が可能となる。)について、「とても期待」「少し期待」「あまり期待しない」「全く期待しない」の4段階で施設職員にアンケートを実施した。

自立支援資金貸付事業とは、児童養護施設等退所者等に対し、進学者には月5万円の生活支援金を、進学者・就労者共に家賃相当額の金額を毎月無利子で貸し付ける事業である。生活支援金、家賃の他に入所中から資格取得のための資金として25万円の貸付も含まれている。一定期間就業すれば、返済は免除される。

措置延長に関しては「あまり期待しない」「全く期待しない」の回答が約2割あったが、自立支援貸付事業に関しては「とても期待」「少し期待」が9割を越える結果となった。ただ、自由記述では「貸付の場合、児童がつまずいた際に返済だけが残る可能性があり勧めがたい。」など【就学や就労が継続できなくなったときの返済義務の懸念】が目立った。また「誰がどのように就業継続の確認を取るのか、またどのような証明がいるのか詳細がよくわからない」といった【制度の不透明さとアフターケア】を心配する声も寄せられた。

 

新制度の施行により 「希望格差」 は解消されていくのでしょうか?

ブリッジフォースマイルでは、今後も児童養護施設に対し、退所後の子どもたちへの自立支援という観点から、さらなる調査を続けていく所存です。


【全国児童養護施設調査2016】

◆社会的自立に向けた支援に関する調査

調査実施者:特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル
調査対象:全国の児童養護施設(600か所)
調査時期:2016年6月〜7月
調査方法:自己記入式のアンケート
有効回答数:134施設(有効回収率22.3%)
主な調査内容:過去5年間の退所者の進路、退所後支援制度の利用状況


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2015年12月28日

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全国601の施設にアンケート調査を実施
施設で生活する高校生1,041人から回答を得ました
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NPO法人ブリッジフォースマイルでは、毎年、全国の児童養護施設に向けて、アンケート調査を実施しています。このたび、本年度実施「社会的自立に向けた支援に関する調査」を施設職員と高校生の両方に実施して、調査結果をまとめました。

 

これまでブリッジフォースマイルでは、退所後の自立に必要な要素に関して、外的な環境や能力についての調査を行ってきました。
今年度は、退所後の自立に必要な内面的な要素を探り、その要素に対して、高校生の自立に必要だと思う程度と実際の施設高校生全般にあてはまる程度を施設職員に質問しました。

 

“意欲”、“楽観性”、“レジリエンス(精神的回復力)”、“自己との向き合い” は、施設職員が、自立に必要と期待する程度より、実際に高校生全般に当てははまる程度は低い。
また、全国進学率71.2%に対し、25.4%と依然低い施設高校生の進学率。

 

虐待を受け、施設に入所した子どもたちの“希望格差”を、どうしたらなくしていけるのか。
大人たち、社会の在り方が問われています。


【全国児童養護施設調査2015】

◆社会的自立に向けた支援に関する調査(施設職員アンケート)

調査実施者:特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル
調査対象施設:全国の児童養護施設601施設
調査時期:2015年6月〜7月
調査方法:自己記入式のアンケート
有効回答数:170施設(有効回収率28.2%)

 

◆社会的自立に向けた支援に関する調査(施設で生活する高校生の本音アンケート)

調査実施者:特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル
調査対象:全国の児童養護施設(601か所)
調査時期:2015年6月〜7月
調査方法:自己記入式のアンケート
有効回答数:173施設(有効回収率28.7%)、高校生1041名

 

◆調査データを分析した論文

児童養護施設の高校生における進路選択―進路に対する態度と自立を支える心理的要因との関連―
平井 美佳(横浜市立大学・准教授)

横浜市立大学論叢人文科学系列 2016:Vol.68 No.1 p69-93


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2014年12月19日

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全国596の施設にアンケート調査を実施
施設で生活する高校生1,079人から回答を得ました
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NPO法人ブリッジフォースマイルでは、毎年、全国の児童養護施設に向けて、アンケート調査を実施しています。このたび、本年度実施「施設で生活する高校生アンケート」と「社会的自立に向けた支援に関する調査」についての調査結果をまとめました。

 

今回明らかになったのは、私たちの認識を翻すともいえる、一般高校生より高い施設高校生の自己肯定感。
また、全国進学率70.9%に対し、21.9%と低い施設高校生の進学率とその理由。

 

虐待を受け、施設に入所した子どもたちの“希望格差”を、どうしたらなくしていけるのか。
大人たち、社会の在り方が問われています。


【全国児童養護施設調査2014】

◆社会的自立に向けた支援に関する調査
調査実施者:特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル
調査対象施設:全国の児童養護施設596施設
調査時期:2014年6月〜9月
調査方法:自己記入式のアンケート
有効回答数:173施設(有効回収率29.0%)

 

◆施設で生活する高校生の本音アンケート
調査実施者:特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル
調査対象:全国の児童養護施設(596か所)の高校生(6,000人)
調査時期:2014年6月〜9月
調査方法:自己記入式のアンケート
有効回答数:173施設(有効回収率29.0%)、高校生1079名(有効回収率18%)


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2013年5月9日

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児童養護退所者の進学率は約2割(全国平均77%)
進学した退所者の約3割が中退
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NPO法人ブリッジフォースマイルでは、毎年、全国の児童養護施設に向けて、アンケート調査を実施しています。このたび、昨年度実施「退所者への自立支援」と「施設運営」についての調査結果をまとめました。

 

自立支援の調査結果からは、退所者の進学率が約2割(全国平均77%)、進学した退所者の約3割が、学費と生活費を賄わなければならない経済的理由などから中退していると、という厳しい状況が見えました。
虐待を受け、施設に入所した子どもたちの“希望格差”を、どうしたらなくしていけるのか。今、私たち大人が出来る事は何なのかが問われています。

 

2012年6月実施の調査結果から、以下の事がわかりました。


「2012年度自立支援」調査結果(全国584施設に向け実施。有効回答数154施設)
自立支援のアンケートに関しては、施設が知りえる過去3年の退所者の状況を調査した。施設は約8割の退所者の所在を把握。残り2割の退所者に関しては、すでに所在を把握しておらず、“不明”となっている。

 

■退所者の進学率は約2割。全国平均進学率77%を大きく下回る。
施設が所在を把握できている2011年3月退所者のうち55%が就業。
進学は20%である。退所者の進学率20%は、全国平均進学率77%を大きく下回り、金銭的に頼れる大人のいない退所者の進学の難しさが表れた。

 

■中退率は約3割。中退理由は「経済的理由」がトップ。
また、過去10年に進学した退所者で施設が把握している654人の中退についてもアンケートを実施した。結果は、進学率が20%にもかかわらず、進学した退所者の約3割が中退。中退理由のトップは「経済的理由」(24.7%)となり、3位の「アルバイトとの両立」(15.6%)と合わせると40.3%にものぼる。ここでも、金銭面で学費と生活費を工面していかなくてはならない子どもたちの、時間と体力の限界が浮き彫りとなった。

 

■退所者の約5割は18歳で一人暮らしを余儀なくされる。
18歳で施設を退所しなくてはならない子どもたち。退所後は大きく分け、一人暮らし・家庭復帰・措置延長による公的施設への入所となる。アンケートの結果、施設が所在を把握できている2011年3月退所者の49%が一人暮らし、34%が家庭復帰、17%が公的施設で暮らしており、半数の子どもたちは18歳で何の保護も頼れる大人もなく、一人暮らしを余儀なくされる。進学していれば生活費と学費を、もちろん一人で工面しなくてはならない。

施設職員の自由回答からは、「進学者に対する継続的な経済支援」や「施設退所後に子どもたちが利用できる外部の相談窓口の必要性」「18歳~20歳までの保証人問題」などの声が寄せられ、退所後支援は、施設職員だけではマンパワー的にも、社会制度的にも難しいと、施設側が考えている事が見てとれる。


虐待などで心の傷を持った子どもが増える中、職員が長期的に子どもを見守ることが重要である。また、退所後の自立支援に関しても、入所中に顔なじみだった職員の離職は、退所後の子どもたちが施設と連絡を取りにくくなる、という状況を生み出す。ブリッジフォースマイルでは、“施設職員が長期的に勤務できる環境”が、子どもたちの支援への大きな要因と考え、毎年、施設運営に関し調査を行ってきた。

2012年は、施設職員の離職状況についてアンケート調査を行った。

 

「2012年度施設運営」調査結果(全国584施設に向け実施。有効回答数158施設)
施設運営に関しては、主に、過去1年の離職者(常勤・非常勤含)に対するアンケート調査を実施した。

 

■若い職員の離職率高。離職者の年代は20代が52%。勤続年数は3年以内が49%。
離職者の勤続年数は3年以内が約半数の49%。また、年代では20代がやはり約半数の52%を占め、働き始めの若い職員の離職率の高さが浮き彫りとなった。

離職理由としては、男性は「異業種への転職」女性は「結婚・出産・介護など家庭の事情」がトップ。特に30代、20代の女性の離職理由としてはこの「家庭の事情」が突出しており、施設職員という仕事と家庭の両立の難しさを伺わせる。

 

■離職率は、大規模施設より小規模施設の方が高い。
離職率平均は13.5%であったが、子どもの人数が40人以上の大規模施設の離職率は12.9%だったのに対し、子どもの人数が40人未満の小規模施設の離職率は14.7%と小規模施設の離職率が高い事がわかった。小規模だからこそ、職員の体力的、精神的負担が増すのではないか?今後も、さらなる調査が必要だと思われる。
自由回答からは、職員の離職により施設が困る事として、「日常の子どもへの支援が弱体化する」「他の職員への労働負荷が増す。」が上がっており、職員の離職が、施設運営に大きく影響し、結果、子どもへの支援が行き届かなくなる事を実感させた。
また、入所中に子どもたちが親代わりとして接していた職員が退職してしまうと、子どもたちが18歳で施設を退所した後、施設に連絡を取りにくくなるという「退所後支援の弱体化」をも招く。


【全国児童養護施設調査2012】

◆社会的自立に向けた支援に関する調査
調査実施者:特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル
調査対象施設:全国の児童養護施設583施設
調査時期:2012年6月20日~7月9日
調査方法:郵送調査法
有効回答数:154施設(有効回収率26.37%)

 

◆施設運営に関する調査
調査実施者:特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル
調査対象施設:全国の児童養護施設583施設
調査時期:2012年6月20日~7月9日
調査方法:郵送調査法
有効回答数:158施設(有効回収率27.05%)


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