巣立ちプロジェクト2016~第5回 「しっかりさんのオサイフ事情」@中央東京ブランチ

全6回の巣立ちセミナーも5回目を迎えました。今回のテーマは「しっかりさんのオサイフ事情」。受講している高校3年生たちの生活は4月からがらり変わりますが、その際の経済的状況がどのようなことになるか、そしてどのような金銭感覚をもてばよいかなどを学ぶ内容です。

12月18日、西荻地域区民センター(東京都杉並区)に集まった高校生は17名。社会人サポーターは15人(うち講師1名:アッキー)で総勢33名でした。クリスマスが近いこともあり、会場に飾り付けをし、雰囲気を盛り上げました。開始時刻の午前10時より少し早めに来てくれた何人かの高校生たちも、この飾り付けを手伝ってくれました。

 

本日講師のアッキー(左)とブランチリーダーの殿(右)

本日講師のアッキー(左)とブランチリーダーの殿(右)

■グループ内の多様な個性が刺激になる

セミナーはいつものとおりアイスブレイク的な自己紹介から始めます。セミナーでは毎回、幅広く高校生同士やサポーターが交流できるようグループ変えを行っています(標準的には1グループを6名とし、高校生3名+サポーター3名の構成です)。運営スタッフ側では、どんな組み合わせがよいかを考慮に入れてグループ分けをしていますが、人と人の化学反応は毎回予想外のものがあって面白いものです。

この日の自己紹介は恒例の「お隣さん重ね」形式です。これは例えば、1人目の人が「●●が好きな〇〇(名前)です」と自己紹介したら、隣の2人目の人は「●●が好きな〇〇(名前)さんの隣にいる▲▲が好きな△△(名前)です」と自己紹介し、その隣の人は「●●が好きな〇〇(名前)さんの隣にいる▲▲が好きな△△(名前)の隣にいる■■が好きな□□(名前)です」……というふうにやっていくものです。この日のお題は、「クリスマスに何をお願いしたいか」でした。会場内のあちこちのグループの島では、「クリスマスには◆◆をお願いしたい◇◇さんの隣にいる……です」の声が広がっていました。

■ケース学習で保険や年金の大切さを知る

自己紹介を終え、本番テーマに移ります。導入部分では講師のアッキーが高校生たちにお金に対する質問を投げかけます。「みなさんはお金に対してどんなイメージがありますか?」。テーブルに用意された2色の付箋紙に高校生たちがいろいろなことを書いて発表していきます。黄色の付箋紙にはお金に対する良いイメージを書き出すのですが、「好きなものが買える」「貯金できる」「幸せになる」「たくさんあると安心」などの意見が出ていました。他方、青色の付箋紙には悪いイメージを書き出します。「ありすぎると金銭感覚がおかしくなる」「争いのもとになる」「簡単に減るけど、なかなか増やせない」などの意見が出ました。

そのように頭をほぐした後、きょうのメインワークのひとつ『ブリッジ学園物語』というケース学習に入ります。ここでは3つのケースを紹介し、お金にまつわることを知っていきます。ケース1では、主人公のA君が大けがをしてしまい、健康保険に入っていなかったために多額の治療費を抱え、さらにはヤミ金(違法貸金業者)に手を出して大変な目に遭うというストーリーです。「保険に入っておかないとヤバいと思った」「保険って自動的に入ってるもんじゃないんだ」───ここで高校生たちは健康保険の大事さに気づきます。と同時に、学生やフリーターになる場合は、国民健康保険の手続きを自分でしなければならないことも学びました。

引き続きケース2では年金のことを、ケース3では生涯賃金の差のことを考えさせる内容になっています。特にケース3のところでは、正社員とフリーターとでは生涯賃金の差が3倍も開きが出ることを知ります。ここでは具体的な数字がどんどん出てくるので、高校生たちもリアルな感覚で「へえ~、そうなんだあ」「えっ、そんなに違うの!」と驚きの中で現実を知っていく機会になったようです。

また講義の合間には、社会人サポーターが登壇して体験談を披露しました。「私の節約術」では、ミユが「理容室に行く回数を減らすと一年でけっこうお金が浮かせるよ」と提案してくれたり、また「お金で困った話」では、Dすけが「入社した4月は何かと出費がかさみ、月末の給料日までにお金が底をつきかけたのでこのタイミングはみなさんも要注意です」と助言をくれたりしました。こうしたサポーターの身近な話は、講義の内容を補足したり、セミナーの流れにメリハリを出したりする意味で、とてもいいアクセントになりました。

■ピザとケーキを囲んで

今回のセミナーはクリスマス会の要素を盛り込んだこともあり、ランチはいつものお弁当ではなく、大皿オードブルから好きなものを各自で取り合う形です。そして午後3時にはおやつの時間も設けました。サポーター扮するサンタとトナカイが部屋に現われ両手に持ってきたものは……ピザとケーキ! 講義とワークの間にこうした小休止を入れることで、高校生同士、高校生とサポーターのフランクな交流時間が生まれます。

 

食事やおやつの時間も有意義な交流のひとときです

食事やおやつの時間も有意義な交流のひとときです

■1カ月の生活収支シミュレーションゲーム

きょうのメインワークの2つめは『ミッションゲーム』です。ミッションが何段階かにわたって示され、その都度、お金の支出を計算し、1カ月の生活費の収支をシミュレーションするゲームです。高校生の手元には「職業シート」が配られます。そこには「正社員」や「フリーター」「大学生」など職業コースが指定されています。例えば「正社員」を選んだ場合、収入は給料15万円からスタート。そこから所得税、住民税、健康保険料などを引き算するミッションが伝えられます。ゲームでは職業コースによって税金の違い、加入できる制度とそれに伴う支払金額の違いを設けています。

さらにミッションは進み、例えば通信費をどうするか(ガラケーで安く済ませるのか、ネットゲームをやるために高額の支出を許すのかなど)、娯楽をどうするか(高い入場料を覚悟で人気テーマパークに遊びに行くか、自宅のDVD観賞で安く押さえるかなど)といったような選択を次々にこなしていきます。ときにはトラブル臨時支出としてケガの治療費が発生したり、ハッピー臨時支出として結婚式の祝い金があったりと、リアルな人生につきものの想定外の状況も起こってきます。

「えー、お金足りないよ-。赤字だよー」「ふだんからの貯金は大事なんだな」「外食を減らして自炊の回数を増やさなきゃやっていけなさそう」といった声が聞かれました。月々の収支をどうやって釣り合わせていくかについては、脇にいるサポーターが適宜アドバイスをしました。

 

1カ月の生活収支をシミュレーションしてみると……

1カ月の生活収支をシミュレーションしてみると……

こうした1日のプログラムを終え、高校生たちは4月からの新生活に向けた金銭感覚、経済知識を少しではあるかもしれませんが身につけることができたように思います。また短期的な視点ではなく、健康保険や年金といった長期の視点から自分の人生を守ることの重要性を学んだ1日でもありました。彼らの最後の振り返りの発表では、「保険・年金に加入しておくことの大切さを知った」「借金は怖い」「簡単に仕事をやめないこと」「お金の使い方を考えよう」といったことが挙げられました。

 

【レポート】ノブさん

 

 

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