巣立ちニュース

巣立ちプロジェクト2011~第6回は「知ってトクするポジティブシンキング」、修了式&修了パーティ~

夏に始まった2011年度の巣立ちプロジェクト。2012年1月21日(土)に最終回を迎えました。これまでは東東京、西東京、神奈川、千葉、埼玉の5ブランチで開催されていましたが、最終回は全ブランチ合同、高校生約60人、ボランティアスタッフ(サポーター)約60人が、東京都大手町の三菱総研ビルに大集合しました。
 普段のブランチと違って100人以上の大会場です。みんな到着するなり「わ~、すごい人!」とちょっと圧倒された様子。でも、同じブランチの高校生や、すっかり顔なじみになったサポーターの顔を見て安心した表情を見せ、「寒かったね~。雪どうだった?」「久しぶり!元気?」などと近況報告を始めていました。
 前日は初雪が降り、この日も朝からみぞれ交じりの雨というあいにくの天気です。しかもよりによってJR王子駅で火災が発生した影響で、JR4路線がマヒ。途中まで来たものの、やむなく引き返して結局欠席となった高校生もいたのが残念でした。

この日のセミナー講師は、ブリッジフォースマイル代表、「えりほ」こと林恵子です。「早寝早起きが好き」と言うだけあって、朝から元気いっぱい。遠方から早起きして大手町に集まった高校生やサポーターたちも、えりほの元気な「おはようございま~す!」の声で一気に目が覚めます。
 巣立ちセミナーでは毎回、最初にアイスブレークでちょっと体を動かし、場の雰囲気作りをします。今回は「ハイタッチ」。1分間で、まわりの人10人と「イエーイ!」と言いながらハイタッチをします。緊張がほぐれたところで、いよいよセミナーの開始です。

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■「セミナーで一番みんなに学んでほしいこと」ポジティブシンキング
 巣立ちプロジェクトのセミナーでは、面接対策、一人暮らしに必要な手続き、家計管理、食生活や健康管理など、比較的実用的、実践的なことを学んできましたが、「6回のセミナーの中で、一番みんなに伝えたいテーマが、今日の『ポジティブシンキング』」なのだとえりほは言います。巣立ちに参加している高校生たちはこれから職場で、学校で、地域で、お金のことや人間関係などでたくさんのつらいことに出会うことになるでしょう。そんなときにも、「自分の受け止め方次第で、できごとやものごとのとらえ方、そこから発生する感情や行動は、変えることができる」ことを知ってほしいという思いがあるからです。
 セミナーではまず、自分の嫌いなところを1つか2つ挙げて、それを説明しながらグループで自己紹介をします。
「私は○○です。友達が、自分以外の人と仲良くしているといやな気持ちになったりして、嫉妬深いところがあります」
「私は○○です。飽きっぽくて、やると決めたことでも全然続けることができません」
 それに対してグループ内のほかの人は、そのネガティブな言葉を、ポジティブな言葉に言い換えていきます。「嫉妬深い」であれば、「人に対する思いが強い」「愛情深い」。「飽きっぽい」は「好奇心が旺盛」「視野が広い」などです。
 その中から、自分が気に入った言葉を選び、今度はポジティブな言葉で自己紹介をやりなおしてみます。決して変わらないと思われた自分の嫌な面も、とらえ方次第で大きく変わることが実感できるエクササイズでした。

■20歳の自分をイメージして書く「未来日記」
 えりほは、「自分の人生は、自分で選ぶことができる」と言います。同じできごとでも、自分のとらえ方によってネガティブにもポジティブにもなったりするように、自分の人生も、幸せなイメージを持つことでそれを現実に変えていく力になります。
 最後のワークは、「20歳の誕生日」という未来の視点で書く、未来日記です。「えーっ。わかんない」とあわてる子、用紙を前に無言で固まってしまう子などさまざま。まずはサポーターが、「どんな20歳でいたい?」「その時は何をしているかな?」「どんなところに住んでいる?」「どんな人に囲まれている?」「その時に楽しんでいることは?」「目標にしていることは?」などと質問し、未来日記をまとめるための内容を固める手助けをしていきます。
「○○病院で働いているといいな。でも難しいからどうせ無理だし……」
「未来の想像の日記なんだから、『無理だ』なんて考えなくていいんだよ。書いちゃえ書いちゃえ!」
など、イメージを膨らませるために夢を広げていきます。

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■「未来日記」をみんなの前で発表する「修了式」
 軽い昼食をはさんで、いよいよ修了式です。ここでは参加している高校生全員が、みんなの前でさきほど書いた「未来日記」を読み上げます。
 1時間にも満たない短時間で、A4サイズの用紙1枚分、書ききれるのか心配しましたが、全員が驚くほど具体的で夢にあふれた、楽しい未来日記を発表していました。発表が終わった高校生には、ブランチのリーダーからメッセージとともに、「終了証」を渡されます。

 高校を卒業し、それまで暮らした児童養護施設を出て春からは新しい生活が始まります。不安なこともたくさんあるはずの17、18歳たちですが、20歳の自分を想像して、こんな未来日記を発表してくれました。いくつかご紹介しましょう。

「20日の誕生日は、家族が大好きな焼肉でお祝いしてくれた。就職活動は大変だけど、20日の誕生日プレゼントにもらったパソコンで得意のイラストをたくさん描くのが楽しみ」
「ウェディングアドバイザーとして働き始めて2年目。初めて接客したお客さんから『ありがとう』と言われて嬉しかった。お嫁さんをキレイにしてあげる仕事はやりがいがある」
「仕事をしながら会社の野球部に所属して充実している。20歳の誕生日は彼女と水族館でデートして楽しかった」
「専門学校に行きながら漫画家のアシスタントをしている。大変だけどやっと漫画雑誌でデビューできた」
「美容師になってお客様の指名も増えてきた。将来は海外でも仕事をしたい」
「働いている老人ホームで、入居されているお年寄りから誕生日プレゼントに手作りメロンパンをもらった。働き始めてから韓国、アメリカ、バリ島など、海外旅行にたくさん行って楽しんでいる」
「自分の施設での経験をもとにした映画が完成し、昨日は完成試写会。大好評だった」
「アメリカに行き、大学のバスケットボール部に入って先発メンバーに選ばれ、大活躍している」
「調理師免許を取るために頑張って勉強中。いつかレストランを自分で経営したい」
「出身施設に就職が決まった。これまでタメ口で話していた職員さんが仕事の先輩になるので、敬語で話すのが不思議な感じ」
「パン屋さんに就職して2年。カフェを経営する夢を実現するため、料理教室に通い始めた。まわりの友達が夢を応援してくれている」
「大学に行きながら留学するための貯金を頑張っている。今度の成人式では、久しぶりに地元の友達に会えるのが楽しみ」

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 60人以上の高校生の発表ですが、違うブランチの高校生の発表でも集中して聞いていたのには驚きました。笑い声や拍手も絶えません。知っている子の発表では、途中で名前を呼んで盛り上げます。得意のバック転を披露する子もいて大喝采を浴びていました。半年間成長を見守ってきた高校生の発表に、中には涙を見せながら「泣き笑い」するサポーターもたくさんいました。
 2時間にわたる修了式でしたが、高校生たちの「夢」を聞くのは楽しく、あっという間の時間でした。

■巣立ち参加者の自立を助ける「生活必需品プレゼント」
 巣立ちプロジェクトでは、参加者に生活必需品をプレゼントしています。セミナーに参加するごとにポイントを付与し、貯まったポイントを生活必需品と交換できるという仕組みです。これにより、一人暮らしに必要な初期費用を軽減することができます。生活必需品は、一般の方々や企業からの寄付で成り立っています。
 この仕組み、セミナーに参加するモチベーションを高めるという効果もあります。児童養護施設で暮らす子どもたちは、一人暮らしの準備のため、週末も熱心にアルバイトをしていることが少なくありません。そんな子どもたちも、安心してセミナーに参加することができるようになります。
 1人暮らし用の冷蔵庫、オーブン電子レンジ、炊飯器、洗濯機、掃除機、ノートパソコン、テーブル、カーテン、布団、シーツ、タオル、食器、フォーマルウェアなどの中から、高校生それぞれが希望するものを申し込みます。マッチングが成立すると、それぞれ施設や一人暮らし先の家に後日、送られます。

■「また会おうね!」修了パーティ
 ここからはがらりと趣向を変えて、修了パーティです。立食形式で、サンドイッチやサラダ、パスタ、カナッペやケーキなどのデザートがずらりと並んだテーブルがセッティングされました。「おいしそう!」「まだ食べちゃだめなの?!」という声があがる中、ミニのセーラー服に身を包んだサポーターの「ちっひー」と「かおるん」(←男性です)が音楽に乗って登場。AKB48の『ヘビーローテーション』の完璧なダンスを披露して華々しくパーティが始まりました。と、みんな食事に殺到。たくさんあった食事のお皿もあっという間にカラになりました。

 ブランチ対抗ゲームで盛り上がった後は、各ブランチ代表の高校生、サポーターからのメッセージと、メッセージカードの贈呈です。
 高校生からは、
「最初は、(全セミナー終了時にもらえる生活必需品などの)プレゼント目当てで参加しただけだった。でも参加してみると、新しい友達ができたし、セミナーも将来役立ちそうな内容が多くて、本当によかった」
「人見知りで、人が集まる場所が苦手だったけど、巣立ちでは高校生もサポーターも壁を感じることなく話ができて楽しかった」
などの感想が聞かれました。
 対するサポーターからは、
「巣立ちが終わってほっとする気持ちより、これから社会に巣立つみんなを思うと心配で仕方がないです!でも、心配するのに理由はないし、これからもずっと心配し続けてます!!」
「終わるのが本当に寂しい。今から巣立ちが始まるといいのにと思う。自分を信じて、周りの人を信じて頑張って」
というメッセージが送られました。

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 メッセージカードは、高校生1人ひとりに宛ててサポーターたちが作成したもので、巣立ちプロジェクトのセミナー第1回目からの写真がコラージュされているほか、サポーター全員が1人ひとりに宛てて書いたメッセージが書かれています。受け取った高校生は大喜びで「わ~、懐かしい」「なんだこの写真!」などと大騒ぎしながらも、自分に宛てられたメッセージに見入っていました。

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■転ぶことが上手になってほしい
 18歳で社会に出る児童養護施設の子どもたちは、「スキーで言えば、初心者コースをとばして、いきなり上級者コースに出るようなもの」(えりほ)。「でも、いったんコースに出てしまえば、どんどん滑るしかありません。転ぶことは避けられません。きっとたくさん転ぶでしょう。でも、転んでも転んでも、すぐに立ち上がることを覚えて、転ぶことが上手になってほしい」――。最後にえりほから高校生たちには、こんなメッセージが送られました。

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セミナーはたったの6回。それぞれで扱うテーマは、本当なら1日では学びきれないほどの濃い内容です。参加した高校生全員が、巣立ちで学んだことすべて、隅から隅までしっかり頭に入れて、これからの新しい生活をスムーズに送ることができるとは限りません。(私たち大人も、そうだったと思います。)でも、ちょっと転んだとき、「どうしよう」と困ったときに、この日もらったメッセージカードを見て元気になれたり、「誰か頼りになりそうな大人に相談してみよう」、「B4Sっていうのがあったな。ちょっと相談してみようかな」と思ってもらえればいいなと思います。
 巣立ちプロジェクト2011は修了しましたが、B4Sはずっとここにあります。巣立ちの「後も」、巣立ち卒業生をサポートするための「アトモプロジェクト」や、進学する子どもたちを奨学金と人のつながりでサポートする「カナエールプロジェクト」など、さまざまなプログラムがあります。今回巣立ちに参加した高校生たちには、どんな形でもいいので、今後もつながりを持って、時々は顔を見せてほしいと思います。待ってるよ!

(担当/あっこ)

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