児童養護施設が抱える課題
▼高校に行かない子への支援
中学卒業後、高校に進学しない子どもたちや、高校を中退する子どもたちは、施設に居られなくなってしまう、つまり「自立」を余儀なくされるという現状があります。
制度上は、自立の準備ができていないなど、子どもの事情に応じて最大20歳まで施設に居られることになっていますが、どの施設も満員状態で児童相談所の一時保護施設で入所を待っている子どもたちがいることから、そうせざるを得ない実情があります。
そこで、
「自立援助ホーム」(就労しながら自立を目指す子どもを支援する施設)という、新しい施設が全国的に増えてきています。
また、東京都では
「再チャレンジホーム」という、一度はあきらめたものの再度高校卒業を目指したいと考える子どもたちを支援する取り組みが始まっています。
▼大学等進学者への支援
高校卒業後、専門学校を含めても児童養護の子どもたちが進学する割合は2割程度であり、全国平均7割に遠く及びません。
今の、実力主義の競争社会において、「頼れる親がいない、住む家がない、学歴や資格もない」子どもたちに、チャンスは平等と言うのは酷なことです。
そこで、子どもたち自身が「学歴」や「資格」という武器を手に入れることに重点を置いて自立支援を行う施設もあります。施設の子どもたちを対象にした奨学金制度だけでは足りないため、独自に基金を作ったり、進学者用の住宅を用意したりするなどして、進学支援に取り組んでいます。
▼保証人の問題
「保護者」のいない子どもたちが、最初に直面する問題が
「保証人」です。
日本では、家を借りるにも、就職するにも、保証人が必要です。施設の子どもたちがアパートを借りる場合、施設長が保証人になることもありますが、子どもが家賃を払えなくなって行方不明になってしまう場合などは、その支払いが施設長個人にふりかかります。
近年、退所後2年間までは負債を補償する制度が整えられたものの、その後の契約更新は補償対象外となるため、保証人になりにくい状況が続いています。
▼甘えられない子どもたち

施設の子どもたちには、「誰も頼れない。何もかもひとりでやらなければ」と考える傾向が強く、誰にも相談できずにいるうちにトラブルが大きくなってしまうことが少なくありません。
しかしながら、社会福祉全般においても、人は誰もが一人では生きていけないことを大前提として、「自立とは
様々な社会資源やサービスを活用しながら、自らの主体的な意思に基づいて生活を組み立てていくことであり、自立支援とは、
人が人としての尊厳を守って主体的に生きていくための支援」と認識が変わってきています。
児童養護においても、
子どもたちが安心して甘えられる体制作りが喫緊の課題となっています。