ホーム 寄付のお願い ボランティアの皆様へ 施設の皆様へ 企業の皆様へ FAQ(よくある質問)
児童養護のいま>自立支援の現状と課題
自立支援の現状と課題
 
1.自立支援とは何か
line
 
イメージ厚生労働省児童家庭局家庭福祉課監修の「児童自立支援ハンドブック」(平成10年発行)では、自立支援について次のように述べられています。
「児童の自立を支援していくとは、一人ひとりの児童が個性豊かでたくましく、思いやりのある人間として成長し、健全な社会人として自立した社会生活を営んでいけるよう、自主性や自発性、自ら判断し決定する力を育て、児童の特性と能力に応じて基本的生活習慣や社会生活技術、就労習慣と社会規範を身につけ、総合的な生活力が習得できるよう支援していくことである。」

すると、自立支援とは、生まれた直後から始まっているものと考えることができます。

ただ、それではあまりにも広義なので、施設の子どもたちが、施設を出て一人暮らしをはじめることを「自立」として、それに関わる支援を狭義の「自立支援」とするのが一般的です。

施設を出ると子どもたちは、仕事をして自ら稼いだお金で、住まいや衣服を整え、食事をして、生活をしていかなければなりません。しかし、子どもたちの中には、家庭の事情や生まれ育った環境から、基礎的な生活能力や、周りの人とうまくコミュニケートする力、仕事に対する意欲などが低い人が少なくありません。
そんな子どもたちは、お金や人間関係のトラブルなどで困難な状況に陥ったとき、自力で乗り越えられなかったり、誰にも相談できずにいるうちにかえって問題を大きくしたりしてしまいます。

施設にいて生活が安定している間に、退所後に必要となる生き抜く力や、困ったときに相談できる人との関係を築いておく必要があります。

また、施設を退所した後も、仕事を辞めてしまった時や、経済的にやりくりできなかった時などに、一時的にでも住まいや食事などを提供でき、次に気持ちを切り替えることができるような支援が必要です。

さらに、退所者が結婚する時に相手家族から偏見の目で見られたり、出産する時に自分も親と同じように虐待してしまうのではと不安になったりするなど、さまざまな悩みも出てきます。自分が築いた家庭もうまく行かず、子どもを児童養護施設に預けざるを得ないという「社会的養護の連鎖」を断つためにも、支援が必要です。

このように、親を頼れない子どもたちには、本当に「自立した社会生活」を営めるようになるまで、ライフステージや個人の状況に合わせて継続的に支援することが必要と考えられます。

 
ブリッジフォースマイルが考える「自立」とは
B4Sでは、「生活的自立」「経済的自立」「社会的自立」「心理的自立」の4つの要素で自立を定義しています。

イメージ「生活的自立」とは、朝自分で起きて支度をしたり、健康を維持するために食事をとったりすることです。生きていくための基本的な生活習慣といえます。
「経済的自立」とは、「金銭面」からみた生活の安定のことです。たとえば安定した就業を続けているか、浪費をしていないか、過度な借金をつくったりしていないか、などです。
「社会的自立」とは、社会で生きてゆくうえで、社会との健全な関わりを持てているか、です。職場の人、友人、恋人などと健全な人間関係を築いているか。また、インターネットや役所で情報を集めたり、ハローワークや福祉制度を利用したりすることができるか、などです。
最後は「心理的自立」です。これはたとえば自分の性格や長所・退所をきちんと理解しているか、自分の思いや行動を自制することができるか、ストレスや不満を抱えすぎていないかなど、「心理状態」のことです。

B4Sでは、この4つの要素をさらに35項目まで分けた「巣立ち度チェック」という独自の評価基準を持っています。
spacer
2.児童養護施設での「自立支援」 〜現状と課題〜
line
spacer

イメージ児童養護施設でも、自立支援が大切であることは十分認識されています。

1997年の児童福祉法改正で、児童養護施設の主要目的は、「保護」から「自立支援」へ転換されました。さらに、2004年の児童福祉法の改正では、児童養護施設の目的として「退所した子どもたちを支援すること」が追加され、現在、退所後3年間は子どもたちを支援することが義務付けられるようになりました。

児童養護施設では、日頃の生活において、洗濯など身の回りのことを自分でさせたり、料理を教えたりします。調理場に子どもたちが立ち入れないなど、環境上の制約も多々ありますが、一般家庭に比べて施設の方が規則正しい生活習慣や家事をしっかり指導しています。
また、多くの施設では、生活資金を貯めると同時に仕事を体験する場として、アルバイトを奨励しています。就労の選択肢が広がるように、自動車免許の取得を奨励する施設もあります。自立へ向けての動機付けとして卒園生を呼んで子どもたちに話を聞かせたり、一人暮らしの擬似体験をさせるためにワンルームタイプの生活訓練を設けたりする施設も少しずつ増えてきました。

しかしながら、現在施設で行われている自立支援では、退所後の子どもたちに訪れる大きな環境変化を乗り越えるのに十分とは言えません。

規則の多い集団生活から、自分次第の自由な生活へ。学業中心から、仕事中心の生活へ。
手にするお金は、お小遣い月数千円から、給料月10万円以上へ。この大きな環境変化に加え、誘惑や悪意のある働きかけも少なくありません。
経験も知識も少ない上、身近に支えてくれる大人がいない子どもたちは、当然のことながらトラブルに陥りやすくなります。職場の小さなトラブルで簡単に仕事を辞めてしまったり、家賃を払えなくなってホームレスになったり、仕事と住む場所を確保するために風俗店で働く中で望まない妊娠をしてしまったり、孤独感や経済苦から悪い誘いに乗って事件を起こしてしまったりなど、様々な問題が起こります。

一方、施設職員は、入所中の子どもたちの世話に手一杯で退所後支援まで手が回っていません。その結果、問題が大きくなってから「トラブル解決」に奔走されるという悪循環に陥っています。

 
児童養護施設が抱える課題

▼高校に行かない子への支援
中学卒業後、高校に進学しない子どもたちや、高校を中退する子どもたちは、施設に居られなくなってしまう、つまり「自立」を余儀なくされるという現状があります。
制度上は、自立の準備ができていないなど、子どもの事情に応じて最大20歳まで施設に居られることになっていますが、どの施設も満員状態で児童相談所の一時保護施設で入所を待っている子どもたちがいることから、そうせざるを得ない実情があります。
そこで、「自立援助ホーム」(就労しながら自立を目指す子どもを支援する施設)という、新しい施設が全国的に増えてきています。
また、東京都では「再チャレンジホーム」という、一度はあきらめたものの再度高校卒業を目指したいと考える子どもたちを支援する取り組みが始まっています。

▼大学等進学者への支援
高校卒業後、専門学校を含めても児童養護の子どもたちが進学する割合は2割程度であり、全国平均7割に遠く及びません。
今の、実力主義の競争社会において、「頼れる親がいない、住む家がない、学歴や資格もない」子どもたちに、チャンスは平等と言うのは酷なことです。
そこで、子どもたち自身が「学歴」や「資格」という武器を手に入れることに重点を置いて自立支援を行う施設もあります。施設の子どもたちを対象にした奨学金制度だけでは足りないため、独自に基金を作ったり、進学者用の住宅を用意したりするなどして、進学支援に取り組んでいます。

▼保証人の問題
「保護者」のいない子どもたちが、最初に直面する問題が「保証人」です。
日本では、家を借りるにも、就職するにも、保証人が必要です。施設の子どもたちがアパートを借りる場合、施設長が保証人になることもありますが、子どもが家賃を払えなくなって行方不明になってしまう場合などは、その支払いが施設長個人にふりかかります。
近年、退所後2年間までは負債を補償する制度が整えられたものの、その後の契約更新は補償対象外となるため、保証人になりにくい状況が続いています。

▼甘えられない子どもたち
イメージ施設の子どもたちには、「誰も頼れない。何もかもひとりでやらなければ」と考える傾向が強く、誰にも相談できずにいるうちにトラブルが大きくなってしまうことが少なくありません。
しかしながら、社会福祉全般においても、人は誰もが一人では生きていけないことを大前提として、「自立とは様々な社会資源やサービスを活用しながら、自らの主体的な意思に基づいて生活を組み立てていくことであり、自立支援とは、人が人としての尊厳を守って主体的に生きていくための支援」と認識が変わってきています。
児童養護においても、子どもたちが安心して甘えられる体制作りが喫緊の課題となっています。
 
3.参考資料
line
児童養護施設出身者の嘆き(都内一養護施設職員)                 
 子どもの虐待防止センターのCAPニューズ70号(2009.4)掲載記事
 …現役施設職員による、退所した児童からのSOSに始まる一連の出来事について書かれた記事です。子供たちの抱える困難と支援の難しさがリアルに伝わってきます。
 
ページTOPへ
法人概要プライバシーポリシーサイトマップ