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児童養護のいま>児童養護施設について
子どもを取り巻く環境
 
1.概要
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児童養護施設とは、様々な家庭の事情により、家族と暮らせない子どもたちが生活する施設です。児童養護施設は、全国に約560施設あり、0歳から18歳の子どもたち約30,000人の子どもたちが生活しています。
児童福祉法では、第41条に「児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む。以下この条において同じ。)、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設 」と定義されています。
全国の児童養護施設
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2.役割
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児童養護施設では、不適切な環境におかれている多くの子どもたちを受け入れ、心身の健全な成長と発達を保障していく役割をになっています。以前までは、衣食住の提供・高校進学支援が主な役割でしたが、現在では、このほかにも心理療養、家庭復帰支援、自立支援、退所後支援にまで広がっています。
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3.運営
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児童養護施設は、公的な措置施設であり、主に社会福祉法人が行政から委託される形で運営されています。施設の運営資金は、国からの「措置費」と地方自治体からの「補助金」で成り立っています。なお、公的機関(都道府県の社会福祉協議会等)により運営されている施設(全体の10%程度)もありますが、民間に委譲される傾向にあります。
社会福祉法人は、宗教系の団体や篤志家により設立されています。その多くは、第2次世界大戦後、幸せな社会を願う多くの個人や団体が、戦争によって家族や家を失った子どもたちを保護、救済した所から始まっています。施設の文化や方針にもそれぞれの創設者の思いが表れています。
 
最近の動向と課題
社会問題化する「児童虐待」、児童養護施設では虐待を受けた子どもたちの入所が急増し、施設において、より手厚い援助・支援が必要とされています。また、社会の変化に伴い、多様かつ専門的な役割を期待されていますが、施設がその役割を実現するまでにはまだ多くの壁があります。

《「量」の不足》
待機児童の数は増加していますが、対応する施設数は不足しています。また、「職員1人に子ども6人」という配置基準は、昭和51年以降改正されておらず、これだけ虐待が増え、子どもたちに対する個別のケアが必要になってきているなか、ケアを担う職員の配置人数はあまりにも不足しています。
昭和20年代を中心に立てられた施設は現在建て替えの時期を迎えており、現状の「大部屋・大集団での生活の場」から、「ひとりひとりの子どもの発達保障を考えた小集団」への施設形態の移行が進んでいます。しかしながら、改築には土地や費用の問題、小集団に対応する職員の配置、勤務体制の整備、それによってかさむ人件費の問題など、多くの財政的な問題があります。

《「質」の不足》
心の傷を抱えた子どもたちは、暴力や非行、リストカットなどの問題行動を起こします。職員は、その背景や心理を正しく理解し、日々の生活を通して長期的視野から(時に治療的に)支援をしなければなりません。
また、障害(知的、精神、発達)を抱えた入所児童の増加しており、ますます高い専門性が求められています。
一方で、子どもが家庭に帰るためには虐待をしてしまう親への支援も必要であったり、虐待を未然に防ぐための「地域の子育て支援の拠点」としての役割も期待されていたりと、施設では保護者や地域との調整にさく時間も増えてきています。
さらには、平成16年の児童福祉法の改正により、入所している子どもたちの自立支援への取り組みに加え、児童養護施設は退所後3年間の子どもたちへの退所後支援を義務付けられました。しかしながら、予算が新たに加算されたわけでもなく、経済的困窮や、離職、家族とのトラブルなど、退所した子どもたちからの相談は多岐に渡り、かつ重度化していきます。
このように、児童養護施設に求められているものが質量ともに上がってきているにも関わらず、対応が一向に追いついていないのが現状です。
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4.形態
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同じ児童養護施設でも、施設の形態によって生活環境がかなり異なります。

大舎制
一つの大きな建物の中に必要な設備(食堂・厨房・浴室・トイレ・学習室・図書室・児童居室・事務室・応接室・面会室・宿直室・園長室・洗濯室・娯楽室・倉庫等)があり、子どもたちが共同で生活しています。
一般的には一部屋5人〜8人、男女別・年齢別にいくつかの部屋があります。食堂は一つで全員一緒、浴室も一つで順番に使用する施設が一般的です。最も一般的な施設形態で、全施設の70%がこの形態をとっています。児童の管理がしやすい反面、プライバシーが守られにくい、家庭的雰囲気が出しにくいなどの問題があります。


小舎制
一つの施設の敷地内に独立した家屋がいくつかあって、それぞれに必要な設備が設けられており、それぞれに8〜12人くらいの男女混合・年齢も縦割りの児童と職員が入居し生活しています。
大舎制に比べると職員配置など難しい点もありますが、生活の単位が小集団であるために、より家庭的な雰囲気における生活体験を営むことが出来ます。


中舎制・ユニット制
大きな建物の中を区切りながら小さな生活集団の場を作り、それぞれに必要な設備を設けて生活する中舎制と呼ばれる施設や、マンションや団地のようなユニット制と呼ばれる形態の施設などがあります。
いずれもより家庭的な雰囲気の中で豊かな生活体験が営めるような工夫がなされています。


グループホーム
一般的に地域社会の住宅を利用して6人を基準に少人数の児童と職員が入居して生活しています。外見だけでは児童養護施設であることは分かりません。大舎制の施設とは異なり、毎日の生活を通して、生活技術(料理、戸締りなど)を身につけたり、地域社会との密接な関わりなどを体験できたりと、自立を前にした高齢児童の自立生活訓練にも効果的な形態です。
また、夫婦が養育する場合には、ファミリーグループホームと言うことがあります。子どもたちにとって、最も望ましいとされている施設の形態です。

施設形態別による施設数
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5.職員
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子どもたちと一緒に生活する施設の職員は、正式には、児童指導員もしくは保育士と呼ばれます。親と別れて入所した子どもたちにとっての親代わりとなるべき重要な存在です。

仕事内容
職員は、食事や入浴など日常生活の世話や学校行事への参加から、進学や就職相談など自立をめざした支援、まで行います。 さらに、入所に至るまでの辛い経験から他人に全く心を開かず自分の殻に閉じこもってしまう子どもや暴力でしか自己表現できない子どもと信頼関係を築き、専門の心理職員と協力してメンタルケアを行います。
また、 家庭再統合を目指す上では、子どもの家族への支援も重要な役割です。日常業務の合間には、バザーやクリスマス会といった施設イベントの運営もこなしています。


勤務時間
「親代わり」の仕事は、労働基準法の下で割り切れるものばかりではありません。職員が忙しいのは、子どもたちが施設にいる時間帯です。週末や夏休み、子どもたちにとっての休日は、職員にとっての勤務日です。
職員は、早番・日勤・宿直などで対応しています。しかし、自分が担当する子どもに問題が起これば休日でも対応せざるを得ません。


職員配置人数
「 児童指導員及び保育士の総数は、通じて、満三歳に満たない幼児おおむね二人につき一人以上、満三歳以上の幼児おおむね四人につき一人以上、少年おおむね六人につき一人以上とする」と児童福祉施設最低基準第42条において定められています。1人の職員が、6人の子どもたちの生活の世話をし、毎日の様子を記録し、学校行事に親代わりとして出席することになります。
ただ、1日8時間の勤務としても、1日3人の職員が必要です。単純に計算すると、一人で最大18人の子どもを担当する可能性があります。

 
児童養護施設の職員に関わる課題
一人の職員が複数の子どもを見ている状況の中、これだけ虐待が増え、子どもたちに対する個別のケアが必要となってきているにもかかわらず、人員不足のしわ寄せにより、一人の職員で対応できるような状況ではないのが現実です。そしてオーバーワークした職員が仕事上のストレスにより、バーンアウト(燃え尽き症候群)していくケースが目立っています。職員の配置基準の見直しは緊急を要する課題です。
また、親から離れても安心して暮らすことができるはずのこの施設で、内部での虐待が相次いで報告されているという実情があります。施設職員による体罰や性的虐待、子ども同士のいじめや暴力…。国には年間十数件の施設内虐待が報告されていますが、研究者によればこの数は氷山の一角にすぎず、公表されないまま施設内部で処理されているケースが多数あるといいます。これについては、2008年11月に児童福祉法等改正案が可決され、児童養護施設に入所している子どもへの体罰や性的暴行など「施設内虐待」への対策強化がはかられています。
 
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