施設の皆様へ

施設職員の声

つらい目にあっても、それを乗り越えれば必ず喜びがある

社会福祉法人 共生会「希望の家」
児童指導員 福家 英幸さん

社会福祉法人共生会は、児童養護施設と母子生活支援施設それぞれ3カ所、特別養護老人ホーム1カ所、葛飾区の学童保育5カ所、千代田区の学童保育5カ所と放課後こども教室4カ所を運営しています。

福家さんは現在、グループホームで男女6人を担当しています。

この仕事をしようと思ったきっかけはなんですか?

子どもに関わる進路を志し、社会福祉関係の大学に進学しました。大学卒業後、すぐに希望の家に就職しました。
「努力するものは必ず報われる」というのがポリシーです。いろいろつらい目にあっても、それを乗り越えれば必ず喜びがあるということを自分も信じているので、子どもたちに伝えたいと思っています。

指導員をされていて、難しいと思うことはありますか?

こちらがどんなに子どもたちに寄り添おうと思っていても、拒否されることですね。
心に傷を負っている子どもたちの心を開かせるのには、本当に苦労します。この仕事を始めたときは、自分の力の無さに落胆し、自己嫌悪ばかりしていました。
今はおかげさまで、多少のことでは落ち込まなくなりました。

どのようにして子どもたちとの距離を縮めていったのでしょうか?

まず、子どもにはこう言います。
「指導員だから、年上だからといって、人間として優れているとは思わない。ただ、長く生きていて経験している分、引き出しをたくさん持ってる。あなたの将来のために、そのことをできる限り伝えたいと思っているんだよ」と。

実際に、修羅場は何度も経験しました。
それをくぐり抜けたことで、多少の自信を持つことができたと思います。その自信を、子どもたちが安心して生活できることに役立てたいと思っています。

子どもたちに、「これだけは守らせている」ということはありますか?

グループホームの集団生活では、思いやりの気持ちがとても大事です。そのため、人を傷つけることは、絶対に認めません。人を小バカにしてからかったりするのは、徹底して叱ります。
それと、「あやまちは起こすのはいいけれど、後始末はきちんとしよう!」と言っています。子どもですから、あやまちを起こすのはある程度仕方がない。でも、その事実から逃げずに、きちんと謝ることだけは絶対にさせています。

子どもたちと向き合うときに重要だと思われることは?

メリハリですね。いつも怒っていちゃダメ。
やるべきこと、押さえるところだけはビシッと押さえる。けれど、ほかは子どもを信頼して自由にさせたいと思っています。
それと、感情のコントロールですね。子どもにはいつも。「感情のコントロールができることが、自立するためには重要だよ」と言っています。
自分も間違って子どもに怒ったりすることがありますが、間違いがわかれば「疑ってゴメン」ときちんと謝ります。間違いをきちんと認めることを自らが実践することで、子どもの手本となれる大人として、わきまえた行動をしようと心がけています。

たくさんの子どもたちのめんどうをみていると、学校での様子や子ども同士の関係などを把握するのに難しいことはありませんか?

学校としっかりと関係ができています。懇談会や参観日にもすべて出席しており、PTA役員も受けています。先生との関係も密で、その都度連絡を取り合い状況を把握しています。
子ども同士での、もののやり取りは基本的には禁止。集団生活のルールを徹底する中で、より家庭に近い環境で生活できるよう日々試行錯誤しています。
複数の子どもたちのことで学校と連携できるので、一般家庭よりは、子ども達のいろいろな面を知ることができると思います。

子どもたちが、就職や社会に出ることについて、どのような指導や準備をしているのでしょうか?

希望の家では、中卒で社会に出る子はおらず、全員高校に進学しますので、高校受験の段階で、高校卒業後にどういう進路に進むかをよく考えて高校選びをするようにしています。
進学の意志がある子は、大学進学できるように支援します。就職を望む子には、そのなかでもどういう業種や職種が適しているかを普段の会話から読み取り、情報を提供しています。以前の高卒での就職は、「第1条件が寮付きの仕事。第2に本人の希望」でしたが、今は本人の希望を第1に聞くようにしています。

職業に関する情報提供では、どのような取り組みをされていますか?

一般家庭にいると、両親だけでなく、親戚のおじさんや両親の知人など、いろいろな大人に接することができますが、施設にいると、知り合う大人が施設職員か学校の先生と限られてしまうので、仕事をする大人の具体的なイメージがなかなかできません。そのため、どんな仕事があるかというイメージだけでなく、「この仕事だとこんな働き方でこんな暮らしになる」 といったことが想像できないので、選択する意欲も生まれづらいんです。それを少しでも解消するために、社会人ボランティアを受け入れ、その人たちの話を聞いたり話しあったりすることで、職業観を身につけさせています。

ブリッジフォースマイルのセミナーに参加するのも、年齢、職業などいろいろなバックグラウンドの大人と会えるので、子どもにとって非常に役に立っています。

最後に、社会に巣立つ子どもたちへの思いをお聞かせください。

どんな仕事に就いて、どんな人間になりたいか、将来像を描くことは、なかなか難しい。それは、施設の子どもだけではなく、どんな子どもでも同じです。現実では、「なりたい職業」と「なれる職業」のギャップに直面して悩むことも多いはず。18歳前にそのギャップに直面して、職業を選ぶのは難しいことだけれど、うまく乗り越えられる力を持てるように頑張って欲しいと思います。

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